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「きのう何食べた?」118話 感想 モーニング50号

[amazonjs asin=”B07KF9DLFJ” locale=”JP” title=”モーニング 2018年 50号 2018年11月15日発売 雑誌”] 試験勉強中で、娘が問題を解いている間は暇なので更新(^^)
タブチくん回でした。
以下ネタバレありの感想です。
[adchord] なんとタブチくんの彼女・千波さんがピンで表紙に登場! 会社員らしくかっちりしたファッションで、夜の住宅街を歩いているということで帰宅中?って感じなんですが……。ヒール低めのパンプスの千波さんの後ろに、ショートブーツの女性の足。千波さんが足を止めると、後ろの女性も足を止め。不審に思った千波さんがダッシュすると、相手もダッシュでついてきますよ!
頑張って走ったけど息を切らして立ち止まった千波さん。その背中に「ぺちゃ」とかるーい音が……生卵です! やられた……と顔面蒼白な千波さんが振り返ると、帽子にマフラーの女性の顔がはっきり見えました。ものすごく眉をひそめて卵ケースを手にしてますが、美女! しかしその女性は何も発することなく、卵を入れたビニール袋を提げて走り去って行くのでした。
「うわ〜また?」
とタブチくんが叫んでいるので、どうやら継続中のストーカー案件らしいです!
コートまたクリーニング……と落ち込む千波さん。郵便受けにはこれまた何も書いてない葉書が連日入れられています。犯人は背の高いモデルのような美女。過去実際にモデルだったようで、正真正銘タブチくんのストーカー!!
タブチくん、結構焦っているみたいで、職場で店長(笑)に相談。
なんでも美容専門学校時代に付き合ってた人だそうで、頼んでもないのに高価なプレゼントをくれたりして重く感じて別れ。そのあと一年くらいストーカーされて、ところがある日急にそれが止んで、タブチくんも今ではすっかり忘れ去っていたそうなんですが……。
「毎日必ず1枚まっ白のはがきが直接ポストに入ってる」
コレが昔と今に共通していて、それで犯人が特定できたみたいです。
程度がこのくらいなので、タブチくんは積極的にどうこうしようとは思ってなかったんですが、今回は被害が千波さんに及んでいるとあって……。
「ターゲットが俺から千波になってんのが心配なんすよ〜」
うずらの卵→鶏卵とグレードアップしているので、さらにエスカレートするのが心配……と、悩んでいるタブチくんです。
相談されたケンちゃんはお家にお持ち帰りして本職に相談。
たとえ一つ一つは小さなことでも何日も続けば心のダメージが大きくなる、ましてや後つけられて卵をぶつけられるなんて彼女は相当怖い思いをしているだろう。
シロさん、状況を的確に判断。
ケンちゃんがききたいことは、二人が正式に法律上のパートナーではなくても、元交際相手から一方的にストーカーにあっているとして警察に被害届が出せる? ということ。
敏腕弁護士シロさん……ストーカー規制法をスマホで調べま〜す\(^o^)/
「ハイ! 大丈夫です!」
結婚してなくても、「当該特定の人と社会生活において密接な関係を有する者を対象として」(「LEGAL MALL」っていう法律系サイトから引用)相談出来るそうです。
「弁護士さんのくせに法律全部覚えてないの〜?!」
と、『弁護士のシロさん』に過度の幻想を持っているケンちゃんはちょっとがっかりしてますが、法律なんてしょっ中改正されてんのに専門外のことまで全部覚えてないっての! とシロさんおおいばり。うんうん、生きた仕事ってそういうものですよね〜。データなんて外付けで十分! それより相談を聞いてくれる時のシロさんの安定感が半端ない。前にも依頼人の話なら、まったく整理されてなくても何時間でも聞ける! って言ってましたよね。シロさんの才能。
そんなこんなでタブチくんは被害届を警察に出しました。
タブチくんは千波さんを心配してお迎えに行ったりして、二人の仲は上手くいっているよう。美人で実家も金持ちなのに、新しい恋人いないのかな、今あんまり幸せじゃないのかなあ……と夜道を歩きながら二人でしみじみしています。
ところが。
ストーカーの両親が、タブチくんに直接接触して謝罪兼口止めをしてきたのです。
分厚い札束の入った封筒を押し出して、両親揃って頭を下げます。お家や風貌からしてかなりのお金持ち。
申し訳ありませんでした! もう二度と接近させないので被害届を取り下げてくださいと……。被害届を受けて警察が加害者の自宅に行ったので全てが発覚したのです。
そもそも10年前の付きまといの時点で、両親は娘を東北へ転地療養させて、きちんと精神の治療を受けさせたのです。回復をみて東京に戻し、なんと! 「良いご縁もあって今年結婚する事になっているのですが……あまりに幸せすぎてマリッジブルーになってしまって……」
なんとなんと! 元々繊細すぎるといえば聞こえはいいですが、かなりプレッシャーや挫折に弱い女性なんですね。
結婚相手は過去を全て知った上で彼女にプロポーズした優しい青年だそうで、結婚しさえすれば娘の精神状態も安定する、さらに結婚後は海外に住むため決してもうご迷惑はかけさせないと両親がかきくどき、タブチくんも元々少し同情的だったため、
それなら「金なんていりませんけど!」と被害届も取り下げそうな様子。
結婚式を目前に控え、どうしてもトラブルを公にしたくない。娘の一時期の精神の迷いで人生を台無しにしたくないという親心をわかってください、お願いですから田渕さん! と、母親にも泣きながら今回の件を口外しないように頼まれて……暗鬱な気持ちで封筒を受け取るタブチくん。
「口止め料なんてもらわなくたって誰にも言うなってんなら俺誰にも言わないのに……」と、へこむとこそこなんだ?!
白紙の葉書を毎日……明らかに本当の気持ちを発信出来てないような感じだし、根本的な不安が解消されないなら、何もかも思い通りにならない子育てなんかしたら元の木阿弥なのでは。本人の謝罪もなしで、一生誰かに尻拭いしてもらって生きて行くのか……と思いますが、親の目のない海外に転地すれば劇的に人間が変わるかもしれないし、難しいですね。
それ以前に結局タブチくんたちとストーカーは薄い関わりしかないわけで、こうやってすれ違って通り過ぎて行くだけなんだから、今回の落とし所はやっぱりこれしかないわけで、必要なのは謝罪と対策で、それはもうもらったから金はいいんだよ〜っていうタブチくんも気持ちの落とし所がないようで……。
「剛君。それはたぶん受け取っとく方が正解だよ」
と、千波さん。落ち込み気味のタブチくんを置いといてお菓子づくりを始めます。
このお菓子作りというのも、おいしいご飯が作れない! と長いことコンプレックスを抱えていた千波さんにタブチくんが(ケンちゃんのアドバイスを受けて) 勧めたこと。108話参照。ケンちゃんって本当に自分に関わる周囲の人のことをよく考えていて、思いやりがあるよねえという感想は置いといて。
真面目な千波さん、分量通り手順通りに黙々と作業していきます。結構手間のかかるお菓子……。全部の手順が終わるまでにキッチンの片付けはもちろん、お風呂も済ませましたよ。
出来たお菓子は……、
・レーズンジャムサンドクッキー
ラムレーズンとマーマレードをクッキー生地にサンドして焼いたもの!おいしそ〜!
オーブンも復活したので中間試験が終わったら作ってみたい! でもラムレーズン80gで結構お金がかかりそう。
まだ落ち込みを引きずりながら、焼き上がっていい匂いのそれを口にしたタブチくん。「ほろほろっとケーキみたいなクッキーみたいな!」美味い! と絶賛。
二人でぐっとサムズアップ。
ここで千波さんから。お金受け取ってあげれば少なくとも向こうのおうちの人が安心できるよ。なんの解決にもなってないけど、後はもう向こうの人が克服する問題で、こっちは忘れてあげることしか出来ないから。剛君が気に病む必要は全然ないんだよ。剛君は誠実に対応したと思うよ。
時間差で訪れた慰めは、タブチくんの心に響きました。
「ずっと考えてくれてたの?」もう気にしてないかと思った。
「うん」あたしぱっと上手いこと言える性格じゃないから。
寝巻きで向き合ってお菓子を食べて、千波さんはスッピンだし、なんの気取りもない静かな夜。
このクッキーはシロさんへのお礼にするための試作でした。シロさんたちも大したことしてないのにといいつつ美味しい美味しいと。

「 ……二人だけの繭に入っているときよりも、他人のことを考えたり心配したりしているとき、一そう二人の間の愛情が深まるってことを。……それが他人をわれわれのために利用することになるだろうか? そもそも他人はみんな僕たちのために在り、僕たちは結局他人のために在るんじゃないだろうか?」
「他人のことを考えることが、私たちのことを考えることでもあるのね」
「君は今、幸福だから、そんなに心がひろいのさ」

三島由紀夫の「永すぎた春」。
タブチくんと千波さん、当初の想像以上にお似合いの二人ですね。いい感じ。

次回は2019年2・3合併号(12月13日発売)です。
「ストロベリー」(サライネス)が始まってから、モーニングを買うのが一層楽しくなりました。

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