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「きのう何食べた?」121話 感想 モーニング12号

ここから16巻収録分なのでネタバレにご注意ください!
表紙に「ドラマ化」の煽りが入りました。15巻も放送直前の3月22日発売だったんですよね。放送始まったら大好評で、見るのが楽しみです♪
[adchord] まずは食卓で向かい合うシロさんとケンちゃん。お母さんの『筧さんに会いたいから連れておいで』は、家族での食事会、となったようです。
真顔で驚くシロさんに、シロさんが嫌ならもちろん無しだけど……どう? と及び腰のケンちゃん。
嫌ではないけど何で(このタイミング)?と点目で首を傾げるシロさんですが、わかんないけどうちの母親が会いたいって言うんだよ、と説明するケンちゃん。「とにかく顔がみたいだけ」って、病気したから心細くなってるのかも、と推測します。
あ、これ、会っておかないと後悔する奴だ──とシロさんが思ったかはわかりませんが、「俺は構わないよ」と言われて、間に立つケンちゃんはほっとしてます。二人いるお姉さんも参加だそうです。
8巻64話、12巻89話で主に出てきたケンちゃんの実家の家族。
独身デパガの智恵子お姉さんと電話で打ち合わせ。埼玉まで来てもらうのは大変だし、総勢五人の利便性を考えて上野か銀座で食事はどう? と。良さそうな店探しとく! と請け合ったケンちゃん、和食? 洋食? とシロさんと検討します。
シロさんの職場が銀座なので、そこしか考えてなかった二人ですが、シロさんふと、上野に会食向きのお店があったことを思い出し、上野の方がみんな便利なんだよな? とそこに決まりました。
JRの上野駅! 先日GWにちょうど行ったところです。駅から公園がすぐでびっくりしました。そこでお母さんと二人の姉妹が合流。公園を抜けて会食場所へと向かいますが……すでに到着している息子とその配偶者は、個室の座敷でめっちゃくちゃ緊張の面持ちで座っています。
シロさん緊張しすぎ! もっと軽く考えて大丈夫だよ! と声をかけるケンジこそ、シロさんの実家に行った時は緊張してましたから、そういうものです。
さて実際に顔を合わせると、とりあえずみんなお仕事モード、よそ行きの顔で会食が始まります。
ところが挨拶を済ませたとたん、やだケンジ、ホントにすっごく素敵な人、良かったね〜! テレビに出てる人みたいじゃない! とお姉さんたち通常モードで大絶賛!
もちろんケンちゃんも、「でっしょ⁈ でっしょ⁈」と知ってる〜! と乙女全開。
シロさんはとにかくお母さんが気になっているのですがお料理が運ばれてきて、会話もそっちに流れてしまいます。
しばらくしてお母さんが「今日は早い時間に始めていただいて」年寄りにはありがたい、といった世間話が始まります。勤め人じゃないので融通が利きますから、とシロさん。そうかあ〜シロさんはやっぱり普通の時間極めのサラリーマンとは違うのね。
次女の智恵子姉さんはデパート勤め、長女の政江姉さんは八百屋さん。美容師で店長の末弟ケンジが一番休みが取りづらいんだからあんたに合わせるわよ〜と。和やかに食事が進みます。
お母さんも今日くらいは、とビールを飲んでご機嫌。健啖で結構なことじゃないですか!とシロさんはお仕事モードで相槌を打ちながら、(もしかすると俺に特に話すことなんて本当に何もないのかもしれないなあ)と。
何しろシロさん、今まで自分の実家では、どういうつもりで付き合っているのか、一生添い遂げるのか、保険は、家は、老後は、墓は、財産分与はとありとあらゆることをどう考えているのか、真剣に考えているのかと詰め寄られて来ましたからね……。
ちょっと拍子抜けなところに、わざわざコースとは別注の鰻の白焼きが!
料亭っぽいこちら、鰻屋さんでした。ふんわり柔らかで美味しい! とこれまた大絶賛。しかし真打ちはこの後!
鰻重の登場〜。お重の蓋をあけるとつやふわの鰻がああああ!甘辛具合が絶妙だそうで、ほんと美味しそう……。
おいしかった! 筧さんはここよくいらっしゃるの? とチエ姉にきかれて、久しぶりですね、とシロさん。「事務所のボスが鰻が好物で」新米の時に連れてきてもらったことがあって……って何十年前のことなんでしょう⁈
大ご馳走をいただいておかげさまで楽しい夜でした、と頭を下げるケンジの母に、「喜んでいただけたら何よりです」と、やっぱり今夜はただの会食って事だったんだなとシロさんは思ったわけですが。
みんなで水菓子を頂きながら、お母さんが今日の会食の趣旨を話してくれました。
それはお葬式、もしケンジが亡くなったら……という話なのでした。
年齢的にもうありえないことじゃないわけですから、もし今そうなれば、母か長姉のどちらかが喪主を務めるわけです。その時に、今のままシロさんとケンジの血縁の家族が顔も合わせたことがなかったら、シロさんはただの友人としてしかケンちゃんを見送れない──そんなこともありうるわけです。ずっと一緒に暮らしていたとしても。
もう長いこと暮らしてきて筧さんは賢二を身内同然に思ってくれている、それは知ってます。でもあたし達にとっても賢二は大事な家族だから、最期の時には寄り添いたいと思うでしょう。
二つの思いが喧嘩しないようにするには、例え一度でも、あなたとこちらの家族全員が顔を合わせておけばいいかなと。そうすれば賢二に何かあった時、お互いの気持ちを思いやって、家族として一つになれるでしょう。そう思ったんです。
お姉さんたちは事前に知っていたのか、異議を唱えることもなく穏やかに聞いています。
これからも賢二をどうぞよろしくと締めくくられて、シロさんはこちらこそ、と頭を下げます。「お母ちゃん…」とケンちゃんは、息子の人生を最後まで幸福で包みたい母の情愛に圧倒されてます。
お店を出て上野公園を通り抜ける道すがら、マサ姉が「あたし達の分!」と食事代をケンジに手渡してきます。
当然遠慮するケンちゃん&シロさん。
俺とシロさんで出そうって最初から決めてたから! と頑張ったところで、姉たちに勝てるわけもなく。
「だから今日はお母さんの分はあんた達に出してもらうわよ!」
でも次からは完全割り勘ね! 決めとかないと食事の度にもめるの面倒だしね〜!
と明るく笑い飛ばすお姉さんたち。
今日は? これから? 食事の度?
一人っ子のシロさん、こんな遠慮のない言い合いにも、当たり前のように身内扱いされることにも全く慣れてません。初めての体験。
でもほんと、いつか一人ずつ欠けていく、後少しの短い間のことなんですよ。お互いに敬意と思い遣りをもって、ご飯食べながら笑って一緒にいられたら、それが一番いいですよ! 正直夫婦で年を重ねていくメリットって、あの時あんなことがあったねーって思い出話が出来る、それが大きいと思います。
別れた後の地下鉄で。
今日のお店、料理もよかったけど、上野公園の側でロケーションが素晴らしかったねえとケンジ。「ありがとね」俺の家族と会うことを、大事に考えてくれて。
「初めて会うなら景色の綺麗なところがいいかと思って」
微笑んでこたえるシロさんが思い出すのは、事務所で働き出した頃の、若かりし大先生。大先生が同じことを言ってシロさんを連れて行ってくれて、それからずっと、シロさんは大きな問題もなく事務所でうまくやってこられました。
全ての偶然の巡り合いに感謝──みんなが満足なそんな夜でした。

いい話だった……(;_;)ケンちゃんもシロさんも、どっちにとっても良かったねえ……って思いました。

次回は18号(4月4日発売)でした。表紙と巻頭カラーのドラマ合わせで、一ヶ月半あいだがあいたんですね。

122話はこちら

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