「桜の花の紅茶王子」山田南平 感想④

「桜の花の紅茶王子」山田南平 感想④

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10巻

感涙必至の10巻。でもここまで正直、奈緒にあまり着目したことなかったw 吉乃が好きなんだな〜乱暴でガサツな感じだけど美人でいい子だな〜くらい。内面があまり描かれて来なかったから……と思うんですが、ちょっと流し読みし過ぎてたかも。
10巻読んでから読み返した今では健太奈緒のカップル(?)好き。

サクラと吉乃、二人とも本当の気持ちを打ち明けあって晴れて両想いですが、これ以上近付けないと分かっているだけに二人とも苦しくなるばかり。
奈緒は常に吉乃のために何か出来ないか考えているのでクリスマスイブに三つ目の願い事を叶えてもらってジョルジとお別れすると……。
なんで紅茶王子はもれなく主人と親友みたいになるのか、願い事なんて何でもいいじゃんとか、願い事の内容に干渉するのは違わない? とか、そもそもこれ紅茶王子には何のメリットがあってやっていることなのかとか、考えたらその時点で負けなので考えない。でも時々気になる……。
奈緒も吉乃も二人とも強がりだなあ。辛い時も周りの人のこと考えて出来るだけ笑っていようとしちゃうんだよね。
そして奈緒には奈緒のジョルジとの適切な距離感ってのがあるんだね。一日中一緒にいて、そりゃそうだ、他人のためだけの決断じゃないよね。健太も何も言い返せず。
最後の水族館友情デート、楽しそうですごく可愛い。こういうの先生すごく上手い。
そして雪の夜間飛行素敵! 「一番友達思いなご主人様」へのジョルジからの最後のメッセージも。一杯の紅茶、何気なく交わした会話、自分に向けられる笑顔、風に散る桜の花びら、木漏れ日、暖かい誰かの手、頬で溶ける雪。短い人生でその人の命と一緒に消えてしまう儚い思い出たち。きれいで優しいささやかなものがいつも奈緒さんの人生を支えるよ──
杏梨の「いちばん泣きたい人ががまんしてるときは」で涙腺崩壊ですよ……杏梨いい子じゃないの……泣ける〜!
最後に奈緒が健太の前で泣けて良かった。一生に一度の忘れられないクリスマスになりました。

11巻

恋情でも友情でも、大好きのピークに別れるのは同じくらい辛いことだよって吉乃に言ってもらって、涙ぐみながらもやっぱり笑ってる奈緒が切ない。うん、でも確かに縁の寿命が来て別れるより、一番いい時に自分の意志で別れるのもいい決断ですよね。
アールグレイはさすがに美しい! 金髪王子様二人並ぶと画面が華やか。
「君はドライなふりして案外」と、アールグレイがジョルジの気持ちを言い当ててくれたのは嬉しかった。そうかあ、ジョルジは線を引くことで他者の人生と自分自身を大切に扱っているんだね。
初日の出で女子三人が手を繋いでるのかーわーいーい!
吉乃の家を追い出されたサクラがアッサムのところで居候。ついにまとめに入る感じ? アッサムのことを思い出したわけじゃないけど、気安くまるで友達みたいに喋る方がなぜかしっくりくる──忘れてしまってもどこか深い部分が覚えてる、みたいなのいいですね。思い出すのか出さないのか? どっちだろう。

物語が佳境に入ってさすがにサクラと吉乃が中心です。どっちかというと、奈子とアッサムの二の舞はいやだな丸かぶりつまんない……くらいの気持ちで読んでましたね、この頃は。でも二人がすっぱり別れるなんてそれもなあ……と煮え切らない気持ちで。

12巻

恋愛相談してる薫ちゃん、単なる耳年増っていうのがかわいい。時には耳の痛いことも言ってくれる、でも本当に思いやりのある子だし、付き合いいいというか面倒見がいいというか。薫も自分がしてもらいたいことをしてるだけなのかな?
お前のような仕事のやり方をする紅茶王子は他にいない──紅に叱られるサクラ。やっぱり人間と恋愛関係になっちゃうのが特殊なんだよねえ。でも欠番いっぱいいるってアールグレイが言ってたしなあ。
絵里とルフナ、該当作品を読んでないので正直単なるうるさい女の子だと思ってたんですが、「それでいいんじゃないかなーって」この子たちはこの子たちでいい組み合わせなんだなーって、このエピよかった!
吉乃とサクラ、お互い心底好き合っているのにその気持ちをぐっと堪えて、一線を越えないよう踏み止まっているのはえらい……のかな? 段々、もうお前らそのまま物理的に離れたままで良くない? 国に帰れや……と黒い気持ちが湧いたりして。丁寧に描いてあるから感情移入出来るのはわかっているのですが、まだるっこしい!
人魚姫のお話。新訳ってあるのに随分古い感じの訳だな? と思ったら、1955年発行の本で、しかも訳者の楠山正雄さんは1950年に亡くなっているのでそれ以前の翻訳ですね。青空文庫で読めます→「人魚のひいさま」
杏梨の口から正体が漏れて、ついに真実を明かすことになったアッサム。
「どう説明するかは俺に決めさせろよ」
そう、それはアッサムの個人的な問題で、彼のアイデンティティの根幹となる大切なことだから。(「サイモンvs人類平等化計画」っていうYA小説で、ゲイであることを同級生によってSNS上でバラされてしまった主人公が、カミングアウトは自分のタイミングでしたかった、なぜならそれは俺の個人的な問題、俺の人生の一大事だから。っていう場面があって、すごく面白い小説なんです!)
人間と紅茶王子が、かいつまんでいうと結婚して幸せになる方法? 先に吉乃に話に行くという奈子、そのことを知ってアッサムに食ってかかるサクラ。
みんながそれぞれの立場で一番いい選択肢を模索している、特に自分と吉乃の立場を入れ替えて考えてみて、それじゃダメだと思った──というサクラが泣ける!ずーっとずーっと考えているんだね、吉乃が幸せになれるようにと……「すまん」とサクラの想いの強さを見誤っていたと、アッサムが淹れてくれたのはサクラティー。
一方で吉乃も、自分のことよりもサクラの望みを優先させるとみんなの前で宣言します。
そしてサクラの選択は、吉乃と二人、大切なものを失うことなく一緒にいられる方法を考える──びっくりして反省しちゃうアッサムと奈子の掛け合いいいですね! 二人も何か救われるものがあったんじゃないかな? って思わせてくれます。
温かい気持ちでページをめくっていって最後びっくり。事故!

⑤に続く。

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