「桜の花の紅茶王子」山田南平 感想③

「桜の花の紅茶王子」山田南平 感想③

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7巻

吉乃のマフラー可愛い。
前巻のことからテンション下がってるサクラがスキンシップ過多になるってのはどうなの……? つくづく直情的。そこがいいところなんだけどさ……。
そして猫登場! 猫絡みでサクラと吉乃の感情が色々もつれてくるんですよね、ああ楽しい。
いなくなったら自分のことは忘れて幸せに暮らして欲しい──猫と自分を重ね合わせた不用意な言葉の謝罪代わりに、吉乃がサクラにお茶を淹れてもらうところ。
吉乃の気持ちを考えなくて悪かったとサクラは素直に何度も謝って、吉乃の言い分を全面肯定する。別離がどんなに辛くても吉乃と出会えたそのことを大切にする、俺は吉乃の紅茶王子だから。
『ぜったい泣くもんか』
自分がサクラと出会えてどれほど幸福か、思い出だけで生きていけると思うほどにサクラを好きなこともまるでわかってない。ささやかな願い事なんていらない、ただずっと一緒にいたいだけ、私に他の人の面影を重ねて、勝手にかわいそうがる男の前で絶対に泣かない──
本心を押し込めて微笑み合う二人。危なっかしい、もどかしい、だけどそこがいい!
こんな状態なのに手繋いで「ちょうどいい・ってことだしな」って言っちゃう男、ヤバイですよね、そりゃ。
それに比べて薫は大人過ぎ! というか、大人でもここまで配慮出来る人なかなかいないからほんとすごい気を遣う子……松浦先生がいてよかった。秘密を持ってると人と親密になり切れない。例えば自分がオタクだってことを隠している人とか身に覚えがある感じじゃないですか? あと婚活とかでも起こりやすいですよね、そういうの。
この巻で初めて薫ちゃんの実家が出てくるんですが、成る程納得の苦労人だった……。紅牡丹は真正王子様で騎士なのでこの組み合わせぴったり!
吉乃と薫の距離が縮まったことで、二人の新しい一面が見られて楽しい。
薫の一つ目の願い事は、一見ささやかだけど自分ではどうしようもないこと。この魔法以上に紅というボディガードが出来たことも大きいですよね。「オレチョコ」は時々行き当たりばったりな感じがしましたが、今作はよく話を練ってあるなあと思います。
巻末のおまけ、杏梨はどの年齢でもあまり可愛くない。

8巻
奈緒が健太にデレた! 結局サクラもそうだし、優しすぎるって罪なことですねえ。好きにならない方がいい、好きになっちゃいけない相手なのに好きになっちゃう。辛くてしんどいことがあちこちで起きてる。王道。
ジョルジの女装、普段と変わらなすぎてインパクト薄いけど可愛い!
黒猫を引き取りたいという奈子の話に胸を打たれて、すぐさま吉乃をダンスの練習に誘うサクラ、そういうところすごくいい。ワンコかわいい。
しかし吉乃も結構気安く大好きって言ってるし、みんな根っこが素直なんだよね。見てて気持ちいい。
そめこが登場して、色々振り回されて動揺する紅がとにかく可愛いんだけど、ちゃんと過去は過去にして無印のみんなが大人になってる。それを外側から見る高校生組もみんな気を遣えるいい子……というか、恋した紅茶王子と別れて今は幸せになっている女性に会って、サクラと吉乃の無意識のイチャイチャが加速している……!
フードコートでも不安と安堵からサクラに抱きついちゃう吉乃なんですが、実際こんなカップルがいたら……? と思っても、この二人わりとさらっとしてるので確かにかわいい、で済むかな? なんかまだ全然恋人未満で……アイスを取り替えてくれるサクラ、ちょっとお父さん入ってるし。
そ、そしてナットのゆびわ……王道か! 8巻は二人のラブラブがすごいなー健太あわれ。
何気ない冗談が自分でもびっくりするほど嬉しくて、『忘れない』という宣言には堪え切れた涙が溢れてしまう吉乃の乙女心、いじらしい……。
そしてこのナットを媒介に思わぬところで吉乃と健太が一悶着。ここからの展開、熱くて燃えますね! 感情に振り回されて八つ当たりしたり、みんなで気持ちをぶつけ合ったり。ここで奈緒が健太を想っていること、ちゃんと描写されてますね。健太かわいそ〜の気持ちで目が曇ってた……。
健太本人からナットを返すように促す紅や、周囲のみんなの本音を汲み取って健太を諭すジョルジ、紅茶王子が周囲にいたらいいのにな〜って思うのは魔法よりもこんな時かも。冷静に第三者目線で傍観しているようなジョルジが、実は奈緒のことを誰よりも思い遣っているってのがもう、たまらなくいい。
「健太さんが恵まれてるのはさ、健太さん本人のあの素直さのおかげもあるよね」
ある種の人にとっては理屈を超えて、素直に振る舞う、そのことが何より難しいってことを理解してくれる相手がいて、奈緒も恵まれてる。
そしてロマンチックに冬の海で健太が告白! その陰でサクラもついに自分の恋心に気付く? と、いい引きですよね。ここ本誌で読んだ時は一ヶ月が待ち遠しかった思い出。

9巻

健太の告白を速攻で断る吉乃! この一途さが強さなら、確かにサクラは弱いんでしょうね。
吉乃にとってはサクラが初恋で、生涯一度の恋だと思い詰めて他のことは考えられない。サクラは以前八重のことを好きだったけど何も出来なかった痛みを引きずっている分迷いがある。
玉砕しても食い下がる健太えらい。好きな子をいじめてしまうって自虐してますが、自分の想いを全部伝えたのは頑張った! まあ吉乃を追い詰めてしまったわけですが……。
一方酔っ払ったサクラも熱烈な告白をしましたが、そこからこじれる二人。吉乃は意外と気が強くて、本人も言ってましたが欲張りなところが戦うヒロインって感じでいいです。全然流されないところが確かに強い!
奈緒と健太もいい感じ。
「今まで通りにできんの?」
「する覚悟なかったらいかないよ」
一夜明けて健太も強い。心を打ち明けられる相手がいるって素晴らしいことですが、何より健太の素直さがあってのこと。
健太にアドバイスするアッサムの「お前がしたい事をするんだろ」っていうここの会話、いいですよね……心に沁みるなあ。人は結局半分くらいはしたくないことをしてて、だから見返りが欲しいし誰かに責任を押し付けたくなっちゃうけど、自分が本当にしたいことでしか本当の満足は得られないわけだし、紅茶を飲む間くらいはじっくり考える時間があってもいい。紅茶は気分を変える魔法なんですね。
そしてついにサクラが「八重と吉乃は違う」「好きなんだ」と爆発。今好きな女子にあなたが好きだから一生独身でいるって言われちゃあもうそりゃあねえ……。大正も遠くなりにけり。自分の生き方を自分で決められる現代──地域限定かとは思いますが──ってやっぱり素晴らしい。自分が本当にしたいことを模索する二人を応援したい!

番外編の健太とアッサムの男同士の付き合いもよかった。健太昔から健気な子……奈緒と幸せになれ……っていうスピンオフ読みたい……。

④に続く

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