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「桜の花の紅茶王子」山田南平 感想①

[amazonjs asin=”B00TY28I2C” locale=”JP” title=”桜の花の紅茶王子 1 (花とゆめコミックス)”] 山田南平先生、デビュー作から読んでいて普通に好きなので、完結記念に全巻感想にチャレンジです(^^) 完結しているのでがっつりネタバレありです。

どこが好きかっていうとやっぱり絵? 線が綺麗。特に髪の描き方。ツヤべたもきれい。服や髪型がかわいい。ミニキャラが上手。小物の描き方、使い方が上手い。エピソードがちょっと真似したくなる感じでかわいい。人間関係にリアリティがある。ファンタジー作品の場合も庶民感覚がしっかりあるので興ざめしない。性格良い子ばかりじゃなく、色んな子がいて、切ない感情の描き方が上手い。群像劇なので主人公が苦手でも読める。背景にトーンが少ない、コマ数やまんが的効果の使い方が読みやすい。モノローグが少なくて会話主体なのでテンポがいい。集英社系ほど恋愛中心じゃないので、幅広い年代の人が読める。
過去の作品は苦手な部分も多くて、無印の「紅茶王子」は途中挫折組なんですが、「桜の花」はエンタメ作品として抑制が効いていて、あと構成がきちんとしてる!
最終回もすごくきれいに終わったので、アニメ化して作者さんの代表作になるといいと思うんですが、やはり続編ということと、キャラのインパクトが初代に勝てなかった、主人公の家庭環境の設定が特殊ということ、あと掲載誌の関係であまり広がりがなかった、ということなのでしょうか? もったいない。
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1巻

この表紙……せっかくのきれいな一枚絵、背表紙にも絵のあるデザインならいいのに(「ちはやふる」みたいな)。花とゆめコミックス、融通が利かないなあ。
そして裏表紙。今見返すと納得ですが、健太さんの恋を応援していた時期もありました……。
ロングヘアで大人しそうな吉乃とショートで元気な奈緒、タイプの違う二人の女の子。天然と過保護お姉さんの組み合わせに懐かしさを覚えます(しんくみの久美子と麻生ちゃん)。
満月の夜、紅茶に月を映して飲むと魔法を使える王子様が現れる……って、親友と真夜中のお茶会っていう時点で乙女の夢! 今回の紅茶王子、黒髪と金髪で前回と同じ組み合わせか……と思ったら、サクラがワンコ系でジョルジがドライ。俺様男なんて古臭いから断然この方がいい!
吉乃と奈緒が違う学校っていう設定も、SNSが発達した現代では全然アリになりましたね。セーラーとブレザー、二つの制服を楽しめるのも嬉しい。
吉乃は早々に一つ目のお願いをして、紅茶王子と恋に落ちるのは既定路線なんですが、思わぬ障害──サクラが吉乃の高祖母を好きだった──があるのがいいですね。
努力で変えられないことが立ち塞がっているために、このいかにも可愛い恵まれたお嬢様の吉乃に憐憫の情が湧いて、親近感が持てます。
そして前作のヒロイン奈子の弟の健太が登場するのが嬉しい! しかもすごくいい子! 健太大好き。(「ちはやふる」で言ったら太一ポジションでしょ?)
でも今作は全体的にみんな良い子で、ワガママ放題に見えるジョルジだって優しくて、巻き添えを食った桜の木におまじないして上げたり、物語の隅々まで神経が行き届いているので読後感がいいんですよね。奈緒も友達思いのツンデレで可愛いし。
吉乃は髪がすごくキレーなので見てて楽しい(178ページの3コマ目とか!)けど、無表情だからかあんまり好き!って感じじゃないです。サクラはアクがないので嫌いではないけど、オレチョコの律の方が好きかな……。

2巻

高校生になって本格スタート。吉乃の学校が古風で素敵!
何気に健太と奈緒の距離が……やっぱりよく顔合わせる相手がいい子だったら好きになるよね。でもほんと健太から吉乃への矢印に気を取られてここがどうこう思ってもみなかった。今作はほんと少女漫画の王道で、奇をてらってないところがいいです。
図書館で倒れた吉乃が保健室のベッドで寝てるのに、サクラがスカジャンかけてて、まったく意味ないけど心配な気持ちが表れてて可愛い。
みんなの溜まり場になる図書館をみんなで修繕するエピもいいですよね! 吉乃のフリルとリボンの私服もかわいい。
そしてまたタイプの違う新しい女の子が登場して、この薫が学校に泊まり込んでいたりして無軌道なヤンキーかと思ったら、意外と繊細な観察力と、自立心と大人っぽい優しさがあってやっぱりいい子!
だけど急速に距離を縮める吉乃と薫に奈緒は複雑な心境で……と、まあ、いずれ仲直りするよね? と安心して読めちゃう感じが王道なんですが、やっぱり無印に比べてインパクトには欠ける……のか?

3巻

スイーツ満載のカラー表紙可愛いな〜♡ 別花の付録、「まるごと紅茶王子BOOK」に『お菓子は褒められる事が多いんですが、実はそんなに得意意識はありません。毎回苦労しながら塗っています』ってありますが、いっつも美味しそう!
吉乃に新しい友達が出来たことをすんなり受け止め切れない奈緒と、そんなこととは知らず何か奈緒を怒らせたかと気にする吉乃。
健太がチラ、と視線を投げただけで察する薫はオトナだなあ。しかも仲裁してくれるし。女の子ってめんどくさい、って周りのみんなが微笑ましく見守ってるのがいいですね。自分では何もしないめんどくささは可愛くないけど、一生懸命考えて行動するめんどくささは可愛いです。
この一件から、古本市の準備もあり、みんなが急速に仲良しになるのが楽しい。
アッサムと奈子も登場して、無印の時はこのカップル苦手だったけど、大人になった二人はすごくいい感じ! 杏梨はあまり可愛く思えないけど……子どもとしてリアルだからかな? わがままぶりが。
弟の仄かな恋心に気付いたりするとこ、ほんとこんな弟・息子がいたら可愛いだろうな〜って思います。健太大好き。
ボロボロの絵本は誰かがとっても大切にしてるからなのねって、言わなくても気付いてくれる吉乃に健太がときめいちゃうの、いいですね。
そして早くも奈緒が二つ目の願い事を! このいつも他人のために願いを使っちゃうのもちゃんと伏線なんですよね。口は悪いしガサツだけど、奈緒はほんといい子!
健太が髪下ろしてほんとは若いんだよ!っていうエピもめちゃくちゃ可愛い。いつも前向きな健太がずーっと待っているのがアッサムなんだっていうのもぐっと来ますね。
「俺 なんでかこれがいいんだ」って台詞、すごく好き。読者はなぜなのかわかっていて、健太それ待ってもダメなんだよ……って思うのに、健太は笑ってて、いつかきっとっていう夢を大切に持ち続けている、その切なさがきゅんと来るんですよね。
そして吉乃、健太にしたら?!って思うんですが(笑)、反面吉乃がサクラに惹かれちゃうのもすごーく良くわかるように描写されているのが、今作のいいところなんですよね!

②に続く。

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