「ホイッスル!」文庫版 15巻 感想⑧

「ホイッスル!」文庫版 15巻 感想⑧

二年越しの宿題をついに片付ける意欲が湧いて来ました♪ WC期間中には時々読んで頂いてたみたいで嬉しいです。みんな「ホイッスル!」大好きなんだなって。
やっと最終巻。以下ネタバレありの感想です。

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表紙は将とシゲ。嬉しい、大好きな二人でほんと心から嬉しい。
STAGE.202から212までの11話、そしてエピローグ。このエピローグは別冊か何かに本編とは別に掲載だったような記憶がありましたが、奥付を見る限りWJ本誌に掲載だったんですね! 記憶違いでした。

対関西戦で、シゲが早速桁外れの身体能力と個人技を披露してみせて東京勢がびっくり。でも一番衝撃を受けているのはもちろん、『シゲのことは俺が一番よく知っている』と思っていた水野なわけで……。『本気のシゲ』と戦えることに夢中になっている将に対しても「敵 ほめてどうすんだよ」と試合中なのにイライラ。
ずっと一緒にいたはずの自分から見ても、なぜだか格段に上手くなっているシゲ。
「お前となら一緒に走っていけると思ってた」そう考えている内にもゲームは進行していて、ついに関西にゴールを決められてしまいます。見事にトリッキーなアシストを決めたシゲに、彼が短期間で関西のチームにフィットしていることを痛感させられて「俺じゃ役不足だっていうのか」俺のレベルにお前が合わせていたとでも? と、どんどん自分を追い詰めて行く水野。
この世代随一の実力の持ち主、将来のカリスマ──この試合を見ている者全員に圧倒的な存在感を示すことに成功したシゲですが、将だけは臆することなく向かって行きます。挑戦することが、何段階も上の世界が目の前に拓けたのが楽しくてたまらないというように。
持ち前の鈍感力で決して道に迷わない将、見せかけだけでなく本当の意味で大人へと成長しつつあるシゲ。「俺だけが……どこに向かって走ればいいんだ?!」と大混乱の水野。
「俺を殺す気か?」と、その昔水野自身の意思に関係なく、勝手に友情という、欲しくて欲しくてたまらなくて、でもあるはずないと諦めていたものに引きずり込んだその相手が、今度は外側から同じ台詞を言う。どうして俺じゃなく風祭なんだ──みたいなシゲ水のクライマックスですね、将置いてけぼり。
ここでソウさんが水野くんのことを「他人に自分の存在意義を見出す者」って断じちゃっているんで、やっぱ一番危ういのがこの子なんですよね。
そしてついにシゲが陰ながら無茶苦茶努力を重ねていたことが描かれて感動。カリスマ性だのなんだの言っても、結局は中学生。進んでいる方向に夢があるか、「ちはやふる」にもありますが、青春全部賭けても後悔しないと思える熱い気持ちを持ち続けられるか。誰のためでもなく、未来のなりたい自分のために。
シゲはその孤独と不安に正面から向き合うことを選べたんだ……ともうここ感動で、お寺の階段の上に将の幻を見るシーン、私的ベストです。泣ける。
大人になるって苦しい、しんどい。
水野は何に苛立っていたのか? 殻を破れない自分、過去にばかり執着している自分、大好きなサッカーに本気を出しきれない、恐れずに人にぶつかっていけない自分──痛みに耐える勇気。それを与えてくれるのが、この切磋琢磨するライバルたち、同じ未来を目指す仲間なんだと──本気になって初めてそれが得られることを、水野は将のゴールで気付くことが出来たのでした。もー今までの伏線が昇華されて、感動に次ぐ感動。
試合自体も取られたら取り返す一番面白い展開。各自、なんと不破くんにまで見せ場があり、練習試合とは思えないほどの白熱ぶり、全員が「誰にも負けたくない!」という意地のぶつかり合い。
「なかなか強いやろ、俺?」
「うん! すごい! 強い! …でも、負けません!」
という、物語全体を象徴するような会話をシゲと将が交わす頃には、将は体力の限界で……。ここでチームの監督の玲が、これ以上選手に無理をさせてはいけないとわかっていたのに将を交代させなかった描写があるので、その後ソウさんばりにそのことを悔いている場面があればよかったなあ……。玲は選手経験もあるんだし、その一点だけが残念です。
でも確かにゾーンに入った将がハットトリック決めた一連の流れは鳥肌ものなんですよね。脳震盪起こした将が目覚めてから言った言葉も。
そして少年は風になっちゃうわけですが……。
最終回は三年後。ほぼ全ての主要キャラクターのその後が見られると言う、オーソドックスで満足感の大きい終わり方。
フリーライターになった知佳ちゃんの取材を受けるシゲ──将の影響を一番受けた人物から新たな物語が紡がれます。シゲがUー19代表であること、鳴海と知佳が付き合っていること、あの試合の後、将が「取り返しのつかん結果」になったことなどが明かされます。
そして水野が登場。二人はすでにJリーガーなこと、水野はカッコつけをやめて自分の足元を直視できるようになったこと、次々と出てきます。
桜上水中では夕子ちゃんがサッカー部(部員100名!)の指導に燃え、同じ高校に進んでサッカーを続けている高井と森長のところに、これまたサッカー留学中の有希が現れ、国立にUー19の試合を見に行こう! と。
おでんのおやっさんも頑固親父からサッカーで国際交流を楽しむ国際人にまで激変してます。おやっさんの携帯電話にかかってきた電話……それは、功から。日本へ向かう途上、ヒースロー空港に功と一緒にいるのはなんと天城とその妹……そして、将。
当時選抜で一緒だったメンバーが、続々とUー19合宿に集合する中(ふ、不破もいる?!)、再起不能っていわれたあいつが本当に来るのか? と期待半分に言及する面々に、怪我くらいでサッカーを諦めるような奴やない、とシゲ。
あいつが必ずフィールドに帰って来ることを「あの日からずっと俺は信じてる」と水野。親も友達もサッカーも、自分自身でさえも裏切られて失望することが怖くて何も信じきれなかった、あのたつぼんの成長……! やばいこれ。涙……。
そして本当に将はすでにそこにいて、「ただいま」と……。
「ぼくらの新たな挑戦はまだ始まったばかり」。
打ち切りの際によく使われる文言ですが、「ホイッスル!」にはこれ以上なくふさわしいラストでした。諦めない限り、いつも新しい始まりがある。青春とは現状に満足せず、常に何かを追い求めること。
水野・シゲ・将が階段を昇って行く先に青空が広がるラストシーン、完璧です。決して終わりなき最終回です。

多分後一回で終わります。とてもエピローグまで行かなかった……。

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