「サムライファイト!」樋口大輔 感想 ( ホイッスル次世代編)①
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あの作品の続編が!と驚くことも多い昨今……。
ついに来ました「ホイッスル!」の続編が!
もう昨年のことになってしまいましたが、ナタリーで本作の発売を知ってからというもの、発売日を楽しみに待っていたんですが、なんと行きつけの本屋さんには売っていなくて、結局お取り寄せしてもらいました……。山のように平積みされると思ってたのに(−_−;)
掲載誌の「コミックバーズ」も名前は聞いたことありましたが、店頭では見たことがなかったです。幻冬舎もまんが雑誌を出版しているんですね。知ってたら掲載誌を買って毎月楽しめたのに残念です。
調べてみたところ、ワールドカップに合わせての掲載で、前後編の予定が中編を挟んで長くなったようです。
掲載時期が2014年の8~10月号で、すぐにコミックスになっていることからも、反響の大きさが伺えると思うんですが……。
かくいう私も、実際に表紙を見ただけで、もう感動!
続編はやはり絵が変わっているのが一番のハードルですよね。たとえ線がより綺麗になって、画面が洗練されたとしても、何か物足りなさを感じてしまうのが往時のファンというもの。
その心配はなさそう。歳月を感じないな……と安心したものの、裏表紙のあらすじを見てびっくり。
「蒼」はともかく「流星」?「朱羽」?!キャラの名前ですよね。か、かなり個性的……。でもリアルのスポーツ選手を考えてみたら、これが当世風ってことですよね、樋口先生!と無理やり納得したところで本編へ。
以下ネタバレを交えつつ、熱く語りたいと思いますので、色んな意味でお気をつけください。
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日独ハーフのサッカー少年・風祭蒼くんが今回の主人公です。
(前作の最終回をおぼろげにしか覚えてない方には、ここでもうドイツ?何で?って感じですよね。まさに私がそうでした。)
8~9歳くらい?試合中も余裕の笑顔で、背番号は10番ということからかなりの実力の持ち主だということが伺えます。そして「すばしっこい」。そこはお父さん譲りなんだね〜(*^^*)
敵チームの子に何か悪口を言われてカッとなって飛び掛かって行くあたり、素直な性格のようで、そんなところも……ときりがないので置いといて。
舞台はドイツから日本へと移ります。
懐かしい河川敷の橋脚のゴールの前にたたずむ蒼。浮かない顔です。
通りかかった日本のサッカー少年たちが、そんな蒼に話しかけます。
何してるの?サッカー好きなの?と。
「……わからない」それが蒼の答えでした。
ここで早速「ホイッスル!」から懐かしいキャラが登場します。
桜上水時代の将のチームメイト、高井です。こざっぱりとして、何かカッコよくなってます!地元のサッカー少年団のコーチをやっていて、河川敷にはちゃんとしたコートがあります。
高井はなかなか板についたコーチぶりで、子供達にも慕われています。
少し会話しただけで蒼と友達になった!と言い切る元気な朱羽は、サッカーが大好きで、心からサッカーを楽しんでいるのが分かります。
蒼は自分でもどうしたいのかわからないまま、そんな練習風景を眺めるだけ……。
そこへ車で河川敷に乗りつけた親子が降りてきます。
少し斜に構えた風の流星、その母親は、美人ですがかなりヒステリックな女性です。「ママの言いなり流星」と揶揄されるように、意思の疎通のない親子関係が提示されます。流星自身は決して意志の弱い子ではなく、母親を疎ましく思ってもいるようなのですが、思慮深さゆえにかえって身動きが取れなくなっているのがなんともつらい……。
流星はクラブチームにいただけあって、蒼も感心するほどの上手さで、なりゆきから二人は一対一の勝負を始めます。お顔のきれいな二人が楽しく競り合うこの場面は、やっぱり胸が躍りますね笑 流星の負け惜しみが見所です。
ほんの数時間で、サッカーを通じてすっかり仲良くなった子供たち。
楽しい時間と高井の気遣いは、流星を迎えに来た母親によって、台無しにされてしまいます。
母親のすることを恥ずかしいと思うことが、子供にとってどれだけ辛いか。
高井の対応が大人として立派すぎて泣けます。
その様子を見て、ずっと何やらふさぎ込んでいた蒼も、心の底にある悩みを吐露します。
「ぼくも…お父さんの夢をかなえるどうぐなのかな」と。
一方初対面から人懐っこく、何も問題のなさそうな朱羽も、実はギャンブル好きで酒浸りの生活力のない父親のせいで、食べるにも事欠く生活をしていることが明らかになります。
重い……。前後編で終わらなかったのも納得の問題提起です。
でもそんな中でもおでん屋のおやっさんが元気な姿を見せてくれたり、高井に元気すぎる奥さんがいることがわかったりと、ちょこちょこファンサービスがあるのが嬉しいです。読み返してみると、マリナスUー12チームとの練習試合も、あの人のコネを使って取り付けて来たのかな?とか考えると楽しい(^ ^)
そう二週間後に、上記のチームとの練習試合が組まれ、それには蒼も参加することになります。レベルがかなり違うようですが、ここで高井が自分の経験を踏まえて、すごくいい話をしてくれるので、もっとたくさんの少年少女に読んでほしいと思いました。
そしてついに功兄が登場!ロケ先という単語がさりげなく出てますが、功兄も夢を叶えたってことなのかな?それ以上のことがわからないのが残念です。
だけど可愛い甥っ子に、ちゃんと目線の高さを合わせて、わかりやすく的確なアドバイスをしてくれるところ、昔とおんなじです。相変わらず面倒見がよくて、優しくて、イケメンです。
どうでもいいことですが、せっかく功(コウ)、将(ショウ)なんだから、蒼(ソウ)にすればよかったのに。
そんなどうでもいいことを考えて油断していたら、この後大変なことが待っていました。
手繋ぎサッカーです!
「つらい思いをするのは、すごく大事なことなんだ」という高井コーチの持論に基づいた特訓の一貫であり、小学生を飽きさせない工夫がさすがなんですが、とにかくインパクトがすごすぎて!
着ぐるみの頭部分のかぶりもの、仕草と服装で誰だかすぐに分かっちゃうところが、さすが樋口先生なんですが、とってもいいアイデアなんですが、とにかくあの見開きが!
あれっこの2ページ何?!なんか輝いてるし!恋人繋ぎとか誰得?蛙さんと猫ちゃんよ、相変わらず仲良いな君ら。イメージが共有出来ているんやね……。
と、ファンサービスの濃さにびっくりしちゃいました。
とはいえ、かぶりものを脱いだシゲと水野、もう二人とも精悍でかっこいいです!さすがのイケメンっぷりは目の保養です。
蒼もこのミニゲームを通じて、サッカーをする楽しさ、自分が好きだから続けているという実感を取り戻せたようで、お父さんとも男同士分かり合えたみたいで何よりです。
大人になった将は昔と変わらず、人に何か強要するようには見えないし、現役の選手のようだし、なぜ蒼が「お父さんの道具」とまで思ってしまったのかは良くわかりませんでした。試合に出られなくてごめんって、息子に謝ってますからね、この方。
……相変わらず誠実で純粋でカッコよすぎでしょ!!もう素敵すぎる……
とにかく丸く収まったし、蒼を抱っこしている将が超絶かっこいいので、全て良しです!