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「とりかえ・ばや」感想② フラワーズ2017年6月号

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「とりかえ・ばや」episode58.白蛇(はくじゃ)

束の間の光子さまとの逢瀬を、睡蓮が涙を流して惜しんでいる時ーー
祈祷の用意が整いましたーーそう告げに参ったのは、銀覚の配下にある例の美坊主でした。
護摩壇に赤々と火が燃え上がり、多数の僧侶が居並ぶ中で、光子さまも一心に目を閉じて手を合わせます。
弓を手に静かに見守る睡蓮や石蕗。
厳かな祈祷の最中、美坊主が壺を手に護摩壇に近付きます。そして中身を一握り火中に投じると火の粉がきらめき、炎が勢いを増します。いやな煙が出て咳き込む警護の者たち。
「なんですかな? あの粉は」
「蛇……とか」
睡蓮も衣で鼻から下を覆い、このいやな煙をやり過ごそうとしますがーー立ち昇る煙は西寺の五重塔から漏れ出し空へと上がり、都へと流れ行き、ついには宮中にまで入り込みます。
寝所でお休みになっていた主上もその煙に巻かれます。
悪寒に身を震わせた主上が覚束ない足取りで寝所を出ると、沙羅が控えていました。
「熱…し。寒し」
と呟いて主上が崩れ折れそうになるのを沙羅が支えます。
具合の悪い上様、色っぽいー(^^)もう色気が半端なくて幸せー♡
熱を出された上様、女房たちが流行病では…怖い…と囁くのを、「ただの風病(風邪)じゃ」と沙羅がびしっと叱ります。
ここで挟まれる寝所の俯瞰図、きれい〜! 豪華! 病気してるのにこんなに人が出入りして、何もかもきちんとしてたら落ち着かないよーな。貴人ってほんと大変……。
沙羅はお側で一生懸命看病しています。ただの風邪。上様はすぐに回復される。でもなぜか胸が騒ぐ……正体のわからない不安に苛まれながら、万能薬と思われていた枇杷の葉を浸した水で濡らして絞った布で上様の額を冷やそうとします。
沙羅の手を感じ、ゆっくりと薄目を開ける上様ーー。
目が合うと、上様は沙羅の手を握ります。
「……侍っていよ」
苦しげに目を閉じて沙羅の手を引き寄せます。
(胸のとどろきがきこえそう…)
病で心細くあられるのだ、そうわかっていてもときめく気持ちを抑えられない沙羅、可愛い。乙女。
ところが上様は二人きりでちょうどいいと思われたのか、
「梅壺はーーそなたに何を申した?」
と例の件を追求の構え。
病人を置いて逃げ出すわけにもいかず、答えざるを得ない沙羅は頭を働かせます。
……肩を見せるように言われたことは話せない。けれど元々は私のことを女が男の形をしていると疑っていただけの梅壺様が、なぜ突然に兄妹入れ替わりを疑うようになったのか?……
女御である梅壺さまが、わたくしの存在を疎まれるのは当然のこと、けれど突然強硬手段に出られたのには何か裏があるのかもーー。
「なにを疑っておる?」
自分の考えを隠さず述べるように求められ、沙羅は意を決します。
「私の女房に怪しい者がおりました」
状況から見て銀覚と通じていたものと確信しています。
沙羅の証言に思わず身を起こす上様。
「梅壺にも…かの流人が関わっていると申すか?」
なんだかんだ言っても、女御の中では別格の位置にいる梅壺。身元もこれ以上ないというくらい確か。それなのに銀覚の手の者に付け入る隙を与え、こんな権力の中枢にまで奴の陰謀がーー!
激昂する上様ですが、熱のためにめまいを起こし、沙羅も慌てて身体を横たえるのを手伝います。そんな密着しちゃって美味しい♡と思う間もなく、枇杷の葉陰から音もなく姿を現したのはーー蛇!
するりと畳に降り立ち、沙羅の衣の側へ……!
上様どうかお静かに、今布を代えますると、水盤の方を向いた沙羅に迫る、蛇。
「! 蛇…」
いち早く気付いた上様が沙羅に注意喚起するも時すでに遅く、蛇を認めた沙羅はとっさに上様を庇おうと身体ごと覆い被さります!
目的を果たし、スッと闇に消えていく蛇。
肩を抑えて苦しい声を漏らす沙羅に、「いかがした?」と上様は飛び起きます。
肩を噛まれた……!
微塵のためらいもなく、沙羅の左肩をはだけた上様はそのままそこに吸い付きます。毒を吸い出そうと必死に……。
他の意味はないとわかっていながらも、愛する人の唇に触れられて蛇の毒よりも胸苦しく、
「もお大事ありませぬ…!」
と羞恥に頬を染めて拒もうとする沙羅。
毒を吸い出せたか……と荒い呼吸を整えて、改めて蛇による傷口に手を触れようとした上様は気付きます。古い傷跡に……。
沙羅もそれに気付いてはっと息を飲みます。
ついに二人の前に暴きだされた秘密ーー。沙羅の罪の証。最愛の相手が自分を欺いていたという、裏付け。
絶望に固く目を閉じた沙羅に、主上も長い逡巡を脱しこの場で決断します。
「噛み跡はすぐに消える、すぐに元の肌に戻る…白く…美しい、なんの傷もない肩だ」
上様に抱き締められながら、沙羅ははらはらと涙を零します。
あるものをないと上様が仰った。見ない振りをすると。何も問題ないのだと。私の罪はどこにもないんだとーー
私を許してくださるのだーー

ようやくここまで辿り着きました。゚(゚´ω`゚)゚。
感動……前回のキャットファイトでの沙羅の売り言葉に買い言葉のようでいて実は悲痛な願望が上様その人によって叶えられるという、見事な構成! 痺れる! さいとう先生も「ドヤァァ!」と思われてるに違いありません! きれいに決まりましたね〜ため息♡
写真は先日のストロベリームーン。好きな相手と見ると永遠に結ばれるのだとか! もちろん、色を足してあります♪(´ε` )

7月号に続きます!

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