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「海街diary」32 満月と言霊
浜田さんにメールを送るチカ。
母に連絡したこと、怒られはしなかったけど食事会には参加してもらえそうにないこと、かわりに大船の大叔母に出てもらうことーー最後に「ごめんね」と付け加えます。
そこへすずがもう出かけるねと声をかけてきます。
シャケのおむすび弁当作ったから仕事に持って行って。二人分なんだからちゃんと食べなきゃだめだよ、と真剣にチカに言い聞かせていると風太が迎えにきました。
二人は自転車に荷物を積んで一緒にお出かけ。みぽりんち→山猫亭→風太んちの順番でシャケを配って回るのです。
佳乃は坂下課長と一緒に豪福寺を訪問し、高台の霊園からの景色を眺めます。地元民の二人も思わず声を上げるほどの見晴らしです。
亡くなった二ノ宮さんはこの場所を気に入っていた。元気な頃も、病気が進行してからも、東屋に座ってずっとこの風景を眺めていた。
家族に苦しめられたから、家族の絆という言葉が嫌いだと。墓に入ってまでも煩わされたくないと。
だからこの霊園では血縁は問わない。一人でも友人同士でもペットと一緒にでもいい。魂は自由で平等だ。
「それに何より第一次分譲は即日完売!」
時代の流れにのったね。需要があるところに供給ありってことで、追加融資よろしく!
豪福寺のノエル(乃恵留:本名)住職、さすがやり手の生臭坊主です。バツ2です。
一連の話が終わったところで、二人は月見の宴に誘われます。二ノ宮のおばちゃんの月命日で満月だから。ミドリ一家と酒屋の光良も来る。あんたたちが来てくれればおばちゃんも喜ぶよ。
佳乃は祖母の口癖を思い出します。
「人づきあいでもなんでもしっくりくるものはきっとご縁があったから。そうでないものは、気に入らないと思わず、ご縁がなかったと思いなさいって」
そうだね。あの人も血縁とはしっくりこなかったかもしれないが違う縁を結んだ。それでいい。
そして「鎌倉七酔人」の内三人が二ノ宮さん・山猫亭のマスター・住職だということが判明。すごいご縁だなーとほのぼのしてますが、やりすぎ感が否めないような……。まあ伏線消化ということで!
帰り道、二ノ宮さんが生前銀行の助けを喜んでくれていたということに安堵する坂下課長。
二ノ宮さんも今夜のお月見にはきっと参加されますね……と佳乃。はたから見るよりずっと息の合う二人で何よりです。
そして海猫亭にやってきたすずと風太。マサの母とマスターにシャケとトウモロコシをお裾分け。チカが妊娠中なこと、すずがサッカーの特待生で静岡の高校の寮に入ったら姉二人になり寂しくなること、福田のおじさんは日本茶が好きなので帰省時にお土産が必要なことーーが皆に共有されて、ここを後にします。
次が尾崎酒店。よかったら昼メシ食ってくか?と言われてなんと!
「あ、お弁当作ってきたんです。風太…君の分も」と打ち明けるすず。
風太、初めての手作り弁当の破壊力に崩壊寸前です。
何しろシャケがあるんで、チカちゃんの作るついでに、とすずはいつも通りですが。
どこで食べる? 涼しいところ……と風太が案内したのは、「甘縄神明神社」。
チカが唯一来れなかったパワスポ巡りの最終地点でした。
本殿まで続く長い階段。「ここは当分おあずけだろうな」
じゃああたしがチカちゃんの分までお参りするしかないねっと階段を駆け上がって行く元気なすずです。
出勤したチカは職場のバックルームですずのお弁当を広げて、すずちゃんのお手製可愛い!と絶賛されます。ウインナに卵焼きにおむすび。
(そういえばお母さんのおむすびって記憶がない)
運動会も遠足も今までおばあちゃんかお姉ちゃんが作ってくれてた……。
それに加えて今では小さい手の妹が、小さいおむすびを作ってくれる。
自分が大切にされて幸福なことに気付いて、落ち込んでた気持ちが晴れて行くチカでした。
そして幸せを噛みしめる人がもう一人。もちろん風太です。あっという間に完食して、うまかったーとご満悦。石段のてっぺんに並んで座って、
「今日はごめんね」とすずが言います。
手伝ってもらって受験勉強のジャマしちゃった。
「ンなコトねーよ」
と即座に否定する風太。
兄貴の配達も手伝ってるし、ウチじゃ誰も受験生扱いしてくれねー。勉強はしてるけど、……夏休みの間はいつもどおりふつうにするのが気楽だから。
”中学生活最後の”
それは二人の間に、考えていたよりずっと重くのしかかる事実で、すでに気軽には口に出せないものになっていました。
(口に出すと 言葉は力を持って何もかも『最後』になってしまう気がして)
今ここで時間を止めたいとは思わない。何もかも新しい高校生活、サッカーでどこまで行けるのか自分を試したい。それに私は「おばさん」になるんだから。
ーーでも「中学最後の夏休み」は二度とこない。
気まずくなった二人は”祐也に新しい彼女が出来た”というネタで盛り上がります。
そこへチカからメールが来て、お弁当おいしかったって。よかった、チカちゃん食欲出たみたい、と喜ぶすずに風太が……!
「そりゃそーだろ。だってマジうまかったし」
ですと! 風太、普段はぼんやりだけど要所を押さえてくるいい男。もちろんすずの顔は見れないんですけどー。
さすがに照れたすずがあんなカンタンなの誰が作っても同じじゃん、みたいに返すと
「でもうまかったし。チカのために気合い入れて作ったんだろ?」
って二回うまいって言ったー!o(≧▽≦)o
甘酸っぱい。胸がきゅんきゅんするわ……。「チカちゃんのためだけじゃないけど」というすずの呟きは本当に聞こえなかったのかな?
「あーすごい。蝉時雨だあ」
手も握らない、キスなんて問題外。並んで座る二人の間には適度な距離があって。気持ちだって全部素直にはなれないけど。
風太と聞いた蝉時雨が、すずのあの日の悲しみを流して、これから先一生蝉の声を聞いても悲しい気持ちになるだけじゃない、ほのぼのとした明るさを残してくれる。
そしてさらにいつものコロッケを食べたい!というチカに、早く行かないと売り切れるっと慌てて駆け出すすず、お弁当箱を手に追いかける風太。
あー!こんな一生に一度きりの夏を過ごせる二人が羨ましい!
チカも元気が出たし、お弁当効果すごいですね。