「とりかえ・ばや」感想① フラワーズ 2017年1月号

[amazonjs asin=”B01LYEL9ML” locale=”JP” title=”月刊flowers(フラワーズ) 2017年 01 月号 雑誌”] フラワーズも年明け!新年号です。
「金の国水の国」が賞をとったりして何とも喜ばしい限りです。3月号からは「ポーの一族」も連載化で、今年もますます盛り上がりますように。
「とりかえ」の方は今月号は予想以上のハッピーエンディングでもう、読むだけで満足しちゃってました……こちらの方が後かなと思ってましたが、本当に良かった!
以下ネタバレありの感想です。

「とりかえ・ばや」episode.53 御来光

掲載順は2番目。表紙は日輪を背負った壺装束の東宮様。コケシみたいでなんか可愛い。ていうか何してても可愛いわ!

鞍馬山に到着した東宮様と愉快な仲間達。
ここは魔の山ですよという吉野の宮の忠告には耳も貸さず、右大将を捜すために輿を降りて徒歩で参る!とやる気いっぱいの東宮様です。
三の姫も狩衣で男姿になり、そのなりは……と驚く宮に、この方が歩きやすいので!と元気いっぱい。
睡蓮が落ちたと思われる崖を検分する一行。
確かに僧兵の槍は落ちていたが、その他には何も若様の手がかりはない……。この辺りも下流もずいぶん捜しましたが……。
崖のあまりの高さにぞっとして眉をひそめる東宮を、三の姫が心配そうに見守っています。
右大将は怪我を負って、遠くにも行けぬとどこかに隠れているのではないか?まだこの鞍馬山におられる気がする。そう宮が言うと、睡蓮の従者たちもそれは考慮のうちのようで、仮にそうだとしても、
「もう10日以上がたちました」
「若さまはご存命なのでしょうか?」
と不安を隠しきれません。
重い沈黙。皆がその可能性の恐怖と闘っているのです。
「あの方は、この鞍馬山で生きておられる」
東宮が静かに口火を切ります。この山に入った時、「何か明るいものを感じた。」あの方は生きている、私は信じている。
「渓流にそって上にまいろう」
下山するために必ず下流へ向かうはずという考えの逆を試そうとの提案で、山を登り始めます。
息を切らせながらも泣き言も言わず歩き続ける東宮と、手を貸して何かとそれを気遣う三の姫に、宮が優しい目を向けます。
そこへ睡蓮の網代笠が見つかりました!
ここからどちらの方角に行かれたのか……?と探ると、小道に崩れそうな橋が。
人の来そうにないあの橋を渡られたのでは?と勇んで駆け出す三の姫を宮が止めます。
女子の身で危ない!慣れていると言っても一人では行かせぬ!私だって山道くらい何でもない。
と、従者には東宮の守りを頼み、二人で橋に向かうんですが、私が先に行く、いいえ我が身が、とナチュラルないちゃつきぶりっていうか、もう読んでるみなさんもお腹いっぱいじゃないですか?
えーわしも行きたいのに……みたいな顔で見送ってる東宮がかわいいからいいけど!
東宮さまはこちらへ、と言われて振り向いた先に岩を積んだだけの素朴な祠を見つけ、目を見張った東宮はその前にしゃがみ込み、手を合わせます。
霧が立ち込める神秘的な場所で……、
「かしこみかしこみ 申し上げまする
どうか愛しい方のお姿をお示しあれ」
一心に祈る純な姿に、さらに霧が深くなります。
閉じた目から堪え切れない不安の涙が滲みでます。けれど何か光を感じ、目を開ける東宮。涙が零れおちるままに顔を上げると、霧の向こうの山並みに光が!
東宮は日輪を背負って祈りを捧げていたのです。あの光はーー自然現象を超えた何か?立ち上がり、垂れ衣から顔を出し、目を凝らして見つめる東宮。光の中心にあるのはーー木?
「見覚えがある…!!知ってる!!」
はあ〜!祈っていた東宮が異変を感じて顔を上げる三つのコマが美しすぎる……さいとう先生お得意のコマ割なんですがw垂れ衣に覆われた部分はトーン処理で、布からのぞいている部分が実線なんですがもう!表情の微妙な変化が最高。無垢な美しさにため息が出ます。
さて橋の方へ向った宮たちですが、こちらも霧が濃くなって視界があやしく。
宮は制止を振り切って橋を渡ろうとした三の姫の手を掴んで、叱りながら連れ戻します。
我が身はこの度のことに責任を感じるのです、求め合う二人の仲を裂いたのは我が身だと……っ。
叫ぶように懺悔する三の姫に、宮は一言「おごるでない」。
そなたのしたことが何であれ、それで縁が切れるならそれまでのこと。
「前世からの縁があるのなら、何があろうと天が二人を結ぶであろう」
そう諭されて「…はい」と赤い顔でうなだれる三の姫。宮ってば超カッコいい!男前。
そして東宮が見たのと同じ超常現象を目にして、あわてて二人は道を戻りますが、従者たちは血相を変えて霧の中で東宮を呼ばわっています。
さっきまで……!そこの祠で祈りを捧げられていたのです、たしかに!
にわかに霧が立ち込めて、気付いた時にはどこにもおられず、まるで神隠しのように……。
恐怖に顔を引きつらせつつ、東宮を探し回る従者たち。
宮たちも顔を見合わせます。

②に続く

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