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「海街diary」最終話 感想② フラワーズ2018年8月号

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「海街diary」最終話 行ってくる

[adchord] そしてついに風太の受験の日が。この日はバレンタインデーなのです。
風太は御守りを握りしめ、いざマサと共に北鎌倉高校へ。
推薦で決まっているすずと、エスカレーターのみぽりんは二人で学問の神様菅原道真公を祀った荏柄天神社で最後の神頼みに。
風太から「今終わった」との簡潔なLINEを受けて、すずは待ち合わせ場所に向かいます。しかし考えてみればこの二人、しょっ中会ってLINEしてと、結構濃密なお付き合いしてますね。受験終わった途端に彼女に連絡して会って……なんて、正直めんどくさそう! いやいや遠距離前提の二人の関係だからこそ?
待ち合わせ場所は海、いつもの石段。一番上に座って海を眺めている風太に「よっ」と声をかけるすず。試験どうだった? なんて話をしているんですが、マサがヘタこいたって話から、どうもそっちはみぽりんと会っている様子なのです! バレンタインデーなのに……?
そこについてはそれ以上の描写がないので置いといて、すずからの本命チョコ! 人生初の……ってめちゃくちゃドキドキしている風太ですが、にこにこしているすずは一個もらっていい? と言いながら4個くらい食べちゃって、美味しい! やっぱこれにしてよかった〜っとご満悦。半分以上食われたけど、貰ったという事実が大事なんだし、甘いもんのことで女にアレコレ言っても無駄か……と達観するしかない風太。初々しいかと思うと熟年夫婦のようで、ほんとお似合いの二人です。
もうすぐ静岡へと旅立つすず、見送りはいいとみんなには言ったようです。
ちょっと遠い学校へ行くだけ、ちょくちょく帰ってくるし、出て行くわけじゃない。
「あたしの家はここだから」
何かが吹っ切れたような、意志を感じさせる明るい横顔。
風太も微笑んで、「おれは見送り行くけどな」
行っていい? じゃなくてきっぱり言い切られて、ちょっと照れてしまうすず。受験終わったから? 風太も少し変わりました。男らしくて、ちょっとカッコイイです。
そういや直ちゃん(っていつのまにか風太も呼んでる)の写真集、見せてくれよと言われてぎくっとするすず。高校受かったらね! と誤魔化して逃げ出します。

後日の山猫亭。パートのマサ母が、息子が北鎌倉高校に受かったー! と喜びの世間話をマスターと住職相手にしているところに佳乃が営業に来ました。ちなみに風太も無事合格で、マサの兄篤志と三人同じ学校になるみたいです。裕也も有名進学校に決まったようです。
おめでとうございます♡と佳乃が学費積立の案内を渡してますが、息子二人、学資保険はやってるのでは? と思いますが、マサ母はさっすがデキる女やなーとご機嫌。
しかし佳乃の本題はマスターに定額送金の書類を渡すこと。ミドリさんのパート代を毎月自動的に振り込む手続き──
「わし しばらく留守にする。日本を離れるんや」
「え!!」
持ってきた佳乃さえも寝耳に水だったようで一同びっくり。

ヒマラヤへ行くというそのことを、佳乃の口伝てに聞いた時、坂下課長は「決心されたんだね」と受け止めました。遺言の話をした時に、いずれ……とは聞いていた模様。
若くて血気盛んだった福田さんが、人を陥れて追い込んで自死させた自分の罪から逃げ出して、最後にたどり着いた場所。神が住むという白い山に毎日見下ろされて、誰に断罪されることがなくても、人は自分の良心からは逃げられない。復讐に出口がないことを若かった自分は知らずにいた。今度は自分を痛めつけることで少しでも罪の意識を軽くしようと──何もかも勝手な話だ。
自分の全てを受け入れて寄り添ってくれた二ノ宮のおばちゃんに、ついにこの話をしなかった。向こうは聞こうとしてくれたのに、はぐらかしてばかりいた。自分が大切に思う人に、心の底を打ち明ける──その勇気が出せなかった。そのことを後悔していると、坂下はそう聞いていたのです。
「福田さんはきっと帰ってくるよ」
ここにはあの人の大切なものがたくさんあるんだから。自分が自分らしくいられる場所をようやく見つけたんだから。
「そうね、あたしもそう思う」
じゃあGW、あたしたちも(帰って来るために)旅行行こっか、はい決まり! といつもながら強引な愛の狩人にお酒を吹き出す坂下課長。
実は風太の兄のバーのカウンターで飲んでいたんですが、惚れた女にゃ勝てないねえとテルヨシにも思われている、お似合いの二人でした。

ここまでほんと長かった! ついにすずの卒業式。幸は仕事がどうしても抜けられず、チカは産気付いて入院中。でも佳乃が来てくれました。
そこへ生まれたと連絡が。男の子です! 式が終わって病院に駆けつける佳乃とすず。幸の勤めている病院のようで、幸の姿も。四姉妹勢揃い。
赤ちゃんの顔も見て、卒業式出られなくてごめんと謝る幸に、すずは明るい笑顔を見せます。
「あたしはお別れじゃないもん。高校に行くだけだもん!」
と一足先に病院を後にします。
みんなが待ってるから! と振り返りもせずに駆け出して行く姿。父の葬式で初めて会った、半分だけ血の繋がった妹。感情を押し殺すことでなんとか自分を守っていたあの小さな女の子はもうどこにもいないのね……とふと感傷に耽る幸に、お姉ちゃんの子育てもやっと終わったね、そのトシで二人も育ててご苦労さん、「婚活上等よ」と口を挟む佳乃。
「えっらそーに!」と当然怒り出す幸。ハイハイ受け流して仕事に戻るわと佳乃。
佳乃も成長して、幸の苦労が一番身にしみてわかるようになって、一人で何でも背負いこむことないのに、でもこの人そういう性分だからなあ……と歯がゆく思っていたんでしょうか。戦友的な気持ちだったのかもしれないですね。

そしてついにすずの旅立ちの朝。ついにって何回書いたかわかんないですが、最終回だから「ついに」の連続なんであって、ここをきちんと描き切ってくれた先生に感謝。
佳乃と二人きりの朝食ながら、日本の朝は米! とか言っておっさんと飯食ってるみたい……とひそかに思っているすず。初めて会った頃はイケイケのおねいさんだったのに今や別人。そのおっさんが言います。「こまったことあったらすぐに連絡しなよ」誰にでもいいんだからね。自分以外の人に助けを求めるんだよと。
「うん」頷きながら、(おっさんのよっちゃんもイケてるよ)と思う姉大好きっ子のすず。玄関で元気よくハイタッチして別れる二人です。

③へ続く

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