のんのんの部屋

まんがの感想をあれこれと

「海街diary」感想 ③

time 2016/07/11

「海街diary」感想 ③

続きです。②はこちら。もうタイトル打つのがめんどくさくなりました。

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「海街diary」30 恋と巡礼

院内フォンで呼び出された幸が病棟へ向かうと、病室の前で佳乃が待っていて、ここに至る経緯を説明。
「妊娠10週目ぐらいだって」
軽い熱中症だけど様子見で一晩入院だよ。チカのやつ、なんかおかしいと思ったら。賭けてもいいけど(当事者の)アフロ店長も知らないよ、このこと。
「知ってたのはたぶんすずだけ。あたしの顔見たら号泣しちゃってさ」
眉間にシワのよっちゃんです。
後で幸が諭してくれますが、あの日すずが号泣したように、表面は明るく振る舞いながら父に迫り来る死と一人残される恐怖に耐えていたすずが、今度は生まれてくる生命とチカや店長に何かあったらという恐怖に耐えていたんですよね。
思春期の少女ですから内心葛藤もあったことでしょう。隠し事をしていた後ろめたさ、上手くサポート出来なかった自分への不甲斐なさ、本当に黙ったままでいいのかという不安と不満、自分の判断が間違っていたらと怖くてたまらなかっただろうに、誰にも相談出来ずに抱えていたものが佳乃の顔を見た途端爆発して、もう誰にも嘘をつかなくていい、何があっても自分より姉が上手く対応してくれるという安心感が溢れて止まらなくなったすずを思うとこちらも涙ですよ……。
病室に入って来た姉たちを見て、まず謝るすずを制して、チカは全部自分が悪いとベッドに横たわったまま訴えます。……ほんとだよ〜!すずに嘘をつかせるんじゃなく、検査薬が見つかってしまった時点で自分が嘘をつけばよかったのに。そんなこと言っても始まらないし、話も展開しないからしょうがないけど。
そーね、あんたが悪い!と水くさい妹にお怒りのよっちゃんはともかく、幸ねえは冷静です。一度も声を荒げたりしませんでした。
あたしたちに話すのが気まずいのはわかるけど、浜田さんに話さなかったのはなぜ?
……大事な仕事の前に心配をかけたくなかったから。
たどたどしく説明するチカに佳乃が怒鳴ります。
子供と仕事の話は全然別物でしょ?子供のことを知ったらエベレストには行けないっての?山であの人が死ぬと思ってんの?自分の男のこともっと信じてやんなよ!
「もうやめて!」とたまらず割って入るすず。チカちゃんだって怖かったんだよ、店長さんのこと大好きなんだから……。中学生のすずにリアルに実感出来るのは、好きっていう想いだけ。それだけは痛いくらいわかるすずの涙に、佳乃も口を閉ざします。
「……わかったでしょ チカ。これがあんたのしたこと」
そんなつもりはなくてもあんたはまだ子供の妹を傷つけたの。嘘に巻き込んで、自分の重荷を一緒に背負わせたの。
相変わらず幸の洞察力すごい!お説教なんだけど回りくどくなくてズバッと本質だけついてくるの。そしてこの幸の透徹した姿勢が今までの長女としての苦労から成っていることを思うと、ちょっとお馬鹿な彼氏とお幸せに……と願わずにはいられないですね!
あとここで幸が「浜田さんの登山家としての誇りを傷つけるところだった」って言うんですが、よく意味がわからないです。すみません。エベレストに集中してもらいたかったから話せなかったというチカの言を受けてのこと?子供のことで迷いが生まれるっていう発想が失礼でしょってこと??
とにかく大切なことは大切な人とちゃんと話し合いなさい。そう幸が話を締めたところで、店長が駆けつけて来ました。光良経由で。
「チカは……子供は⁈」と。
大丈夫ですよと幸が請け合い、佳乃も妹のために嘘をつきます。今度は誰も傷つけない嘘を。
びっくりしたでしょ⁈あたしたちも。この子初期流産の危険があるって言われて怖くてそれで誰にも言えなくて黙ってたんですって。(だからあなたに隠していたわけじゃないんですよ!わかってやって)かえって心配しちゃった、人騒がせな!
お礼をいう店長とチカを残して病室を出た姉妹、幸が一言「お見事」と褒めれば「まかして」と涼しい顔の佳乃。オトナのオンナってすごーい!とひたすら感心のすず。
やっといつも通りです!
そしてチカと店長さんもやっとお互いの思いを打ち明けます。
エベレストで足の指を失くしたあの時のことは、今振り返れば致命的な違和感という警告を無視して、功を焦ったことが原因だった。若さしかなくて何者かになりたいと、なれると思っていたおれと高山は最悪のタイミングで欲を出してしまって、結局ビバークした。……
でも山の女神はおれたちの生命までは奪わなかった。
結果よりも大切なのは過程だった。目的と手段を取り違えていた。子供の頃のおれは臆病で、よく兄きたちにからかわれていたが、山に登るのだけは無性に好きだった。あの頃の自分を取り戻すためにもう一度あの場所に行ってくる。
……多分そんな感じのことが描いてあると思うんですが、正直山に登りたいという気持ちが全くわからないので、店長さんが言ってることもよくわからない。ちょうど昨日買ってきた「パリパリ伝説」でかわかみ先生の愛読書が植村直己の「青春を山に賭けて」とあったのでAmazonで検索してみたら熱いレビューがいっぱいあって面白かったです!
そしてこの2人らしい、率直で素朴なプロポーズ。ここは感動……。逆光表現大好きな私にはたまらないです。なんてすてき……。

ひぐらしの鳴く夕暮れ、結局由比若宮を訪れたのは風太でした。思ったよりちっちぇーと拍子抜けしながらも、風太はひとり静かに手を合わせます。
佳乃とバスを待つすずは渡しそびれた合格祈願のお守りを見つめています。
店長とチカのようには未来を約束出来ない二人は、お互いにどれだけ強く相手の幸福を祈っていることでしょう。
家路を辿りながら佳乃はチカが安定期に入ったら、「みんなでお父さんのお墓参りに行こうか」とすずに言うのでした。

何だか四人とも彼氏が似たようなタイプじゃないですか?(*^^*)一見かっこいいというより地味なんだけど、誠実で相手の立場になって考えてくれる優しさがあって、暖かい人柄で「いい人」なの。
それにしても思ったより早くチカの問題が一応の落着を見せてくれたので一安心です!
次回は12月号(10月28日頃発売)です。
すっごく面白かった~満足です。読み応えが違いますね。あと座談会についても書きたいです。裏話満載でこれまたファンにとってはたまらない記事だったんですよ。「フラワーズ」ありがとう!大好き!

12月号はこちら!

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コメント

  • はじめまして。アラフィフのおっさんですww
    海街diaryはレンタルで借りてきた映画があまりに良かったので即座にDVDのスペシャルエディションと原作コミックスを揃えました。映画の音楽もすごく良かったので、サントラCDも欲しいな・・なんて思ってます。

    おっさんなので月間フラワーズはさすがに書店で手に取れず(笑)、コミックス未収録の話はこのブログで追いかけていたりしてます。別にネタバレしたからといって読む価値が減っちゃうような話じゃないのでww
    でも8月号は買いました!正確には娘に買わせたのですが(笑)。そうかこの手があったか、という思いですww

    ところでヒマラヤ経験はありませんが、今でも登山していて若い頃はクライミング、冬山とひととおりやってます。その頃にヒマラヤ遠征の話もあったのですが、遠征費とかその他諸々の条件が合わず、断念しました。

    で、その登山経験者から見た今回のチカの行動をどう感じたか、ということについて。前置きが長くてすみません

    チカの気持ちはすごく判るし、あながち間違っちゃいない、とすら思います。
    国内の冬山しか経験していない私でも、ほんの一瞬の気の緩みやミスとは言えないほど軽いミスや判断ミスで簡単に死んでしまう状況は、ある種の冬山では入山してから下山するまでずっと続くわけで、まして8,000mの高所では、それに低酸素による思考力や判断力の低下(簡単な2ケタ程度の足し算ができなくなることもあるそうです)も併せて考慮すれば、死と隣り合わせどころか常に死神にがっちり首根っこを掴まれているようなものです。

    で、つき合ってる女性が妊娠する、というのは、普通の堅気の人にとっても人生の一大イベントでしょ。正の方向であれ負の方向であれ、とにかく「動揺」はとても激しいです。
    死神がいつも目の前にいる時は、正であれ負であれ、動揺すること自体を避けて可能な限りニュートラルな精神状態でないと危ない、という感覚はあります。

    なのでチカが浜田に妊娠を言わない、という選択をしたことは、ある意味正しい選択、とすら思います。

    ただし。
    それって人間として男として、かなーり「半人前扱い」というか、気を遣われすぎというか、情けないですよね。
    そこまで自分の女に負担をかけるくらいなら、エベレストなんてやめちまえ、とも思うわけです。
    私は結婚して子供ができたときに、「こんなの家族を持ってする遊びじゃない」と思って冬山などのリスクが高い登山はやめました。
    ま、そういう動揺も背負って、それでもニュートラルな自分を保てるなら、登れば良いんですけどww

    だから正直、佳乃の「それとこれとは別」という意見には素直に同意できないですww
    幸の「登山家としての誇りに傷を付けるところだった」も然りです。
    しょせんは山を知らない人のセリフ、という気はします。

    ただ、仮にこのままチカが黙っていて、浜田がヒマラヤから帰ってきてから知らされたとしたら、浜田はそこまでチカに負担をかけた自分を情けなく思ったでしょうね。
    だからヒマラヤに行く前に告げるという選択はやはり正しいと思います。あとはそれを背負って登れるのか、それともやめるのかは浜田が決めるべき問題でしょう。

    ま、今回は6,300mのABCまでってことなので、そんなのエベレストに登ったうちには入らないほどなので、最初からそんなに悩むほどの問題ではないんですがww

    だから幸のあのセリフは、「浜田の男としての誇りに傷を付けるところだった」と変換して読んでます(笑)

    長文失礼しました。

    by 因幡の黒ウサギ €2016年7月11日 6:35 PM

    • 因幡の黒ウサギ様、初めまして!男心の解説ありがとうございます。前回の29あたりから、この山にかける想いっていうものが、完全インドア派でぬるく生きてる自分にはどうしてもわからなくて……というかもう、「山が美しい」ということ自体が未知の領域で、感想書くのに苦労してしまいました。でもこれだけ人生経験に基づいた深い読み込みが出来る、そうしたくなるということ自体が作品の素晴らしさを表していると思います。長文コメントありがたいです!
      吉田先生も座談会で映画と原作、違った良さがあるって言われてましたね。リップサービスじゃない深い感じだったので、私もいつかDVDを観てみたいです。音楽が良かったって魔法の言葉ですね〜。観なきゃ!って気になります。
      娘さん、お父さんのお願い聞いてくれて優しくてうらやましいです(^◇^;)

      by スウ €2016年7月12日 12:18 AM

  • スウさんレスありがとうございます。

    映画、良いですよぉ~ww
    私、何の予備知識もなしにレンタルで借りて見ていたのですが、序盤のすずが「行きます!」と即答するシーンで半泣きになりましたもん(笑)。あ、この子はここには居場所がないって感じてるんだ、って。

    映画は、原作ではほとんど隠れテーマになっている「三姉妹とすずが『家族』になる話」をメインテーマにしていて、エピソードもそれに沿って取捨選択されている感じです。
    なので原作とは違い、すずが中盤まで姉たちに敬語を使っていたり、大叔母以外にもすずを引き取ったことに対する疑問を口にする人物がいたり(ほんの1~2シーンですが)、すず自身も迷う気持ちを出すシーンがあったりと、けっこうそのあたりを変えています。

    でも、すずが姉たちに”ほぼ”敬語を使わなくなる境目が梅酒事件だったり(映画では梅酒事件は冬のエピソード)、原作で非常に重要なセリフ(私的にですが)は、場面は違ってもちゃんと原作どおりの意味で使われていたり(それを喋る人は違っても)して、原作を読み込んで全面的にシンパシーを感じている人が作った映画、という気がしいます。

    都の初登場シーンなんて、絵柄的にもセリフもほぼ原作どおりなのに、大竹しのぶ “怪演”のおかげで、映画は都が出てきた瞬間にどういう人物か瞬時に直感的に判ります(笑)
    また、幸と都のケンカが父親の話に及んですずが傷つくシーンでも、映画は映画でしかできない手法で表現しているので、この映画、画面の隅のピントが合ってないところからも目が離せません(笑)

    音楽、優しくて美しい音楽で良いですよ。
    DVDのスペシャルエディションにロールナンバー集というコンテンツがあって、それも各シーンの撮影日が判って面白いのですが、そのBGMに本編でもあるシーンで使われた曲が流れていて、その曲が好きなので一時部屋でエンドレス状態でかけていましたww
    そのうちサントラを買えばいいんだ!って気づいたのですが(笑)

    ま、とにかく映画、見てみてくださいww

    by 因幡の黒ウサギ €2016年7月13日 4:04 PM

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