まんがのクリスマス⑤ 「かよちゃんの荷物」

雁須磨子先生のまんが大好きです。絵がとっても可愛いし、キャラクターの表情がもう秀逸で。説明し過ぎないというか意味のわからないところがあったりするんですが、そこがいいんです! リアルでもよく分からないまま、まあいっかで人間関係進んでいくところあるじゃないですか? (自分は特にぼんやりしているのでみんなの会話の内容がその場では分からなくて、後で別の人に聞いて答え合わせしたりとか、わからないままとか職場でもしょっ中) あの感覚が楽しめる(?)まんがなのです! リアル感がすごいんです。
以下ネタバレありの感想です。
[adchord] この作品は竹書房さんの「まんがくらぶ」に不定期掲載されていた基本8ページのショートコミック。全3巻、37話。クリスマスネタは28話です!
主人公はアラサーの「かよちゃん」。九州出身の頑固者の長女で、いつも無駄にカバンが大きい。まずこの無駄さがすごい。暇つぶし用に雑誌2冊に文庫本、どんな場面にも対応できるよう胃薬・下痢止め・頭痛薬など常に持ってるのに友達に求められたらこれ古いから! と新しいのを買っちゃう。折り畳みを持ってるのにさすのが億劫だからビニール傘を買う。さらには同僚の鼻毛が気になるからと転職して(辞める時鼻毛切り鋏を餞別に渡した)、今は不思議な輸入雑貨を扱う雑貨屋さんの正社員。彼氏はいないけど、たまたま入った美容院で、歳下のビジュアル系(オカルト)オタク美容師と意気投合しちゃったり。
そんなちょっと変わり者でとにかくおおらかなかよちゃんが、仲良しのひとみちゃん、まきちゃんと楽しく独身アラサー生活を送っている日常まんがです。

日常生活に否応なく差し込まれてくる年中行事、それにどう対処していくか常に判断を迫られる現代人。
クリスマスをどう過ごすかって若い時は重大だったよね、お互い一緒に遊ばない? って言えずにバイト入れちゃったり。世間の風潮に反発して突っ張ってみたり、色々あったけど段々どうでもよく……はないけど、割と普通に予定なくてさみしーって言えるようになったり……もしないけど!
と、岩盤浴を楽しむかよちゃんとひとみちゃんの腹の探り合い(思いやり機能付き)の会話から始まって、じゃあ今年はかよちゃんちでクリスマスパーティーね! と無事にまとまりました。

そして今回は知らない人、まだ家に呼んだことのない人も呼んでみよう! とかよちゃん。
まず思いついたのは職場の店長。ここは2号店で店長とかよちゃん二人だけの職場です。店長はちょっと昔風のイケメンなんですが、もちろんすごい変わり者。

一言多いタイプで、繊細なひとみちゃんとは微妙だと分かっているのに、ちょっと面白いかも! と誘おうと思ったら店長はクリスマスはモロッコで過ごすとのこと。聞いてみないと分からないもんだわねえ……とある意味感心するかよちゃん。
そして大型一号店のヘルプに出かけ、そこで仲良しのしっかり者ロリータ店員のミイちゃんを誘うと二つ返事でOK。
困ったのはそこまで仲良くないしっかり者の若葉さん。チラチラ見られてるけどこれ誘うべき? でも? うーんで思い切って誘ったところ、「友人と食事の約束が」と。そこでお互いいいクリスマスをね! となごやかムード。
「誘われないと断れない」みたいなのってあるよね、と頑張って誘ってみたことに安堵のかよちゃん。

かよちゃんは大勢でわいわいするのが好きで、まきちゃんとその彼氏も誘ってみたら来るって言うし、誰でも期待するし期待されることもあるし、素直に楽しめる「今」の自分ていいよねとか色々思っているんですがそれとはまた別に。

歳下(結構)だけど気が合って、素顔は結構イケメンで、ほんとにいい奴な美容師・アニメくん。ちゃんと誘ったんだけど、友達のバイトのヘルプがあるって断られ、残念だけどしょうがない、「いーよいーよ…全然!」って言ってたら、「でも俺的にはかなりのラインで残念っスよ──」ってちゃんと言ってくれるアニメ、いい子。
おかげでかよちゃんも一歩踏み込んで、一緒にクリスマスしたかったよー! って言えたのでした。
落ちは宅配ピザの配達員さんがアニメで、一枚サービスしてくれました。
素直に反省する、素直に喜ぶ、素直に頭を下げる、素直に好意を表明する。大体いい結果になるはずなのに、大人になるとめちゃくちゃ難しいことばかりですね。
言った方がいいこと、言えてよかったこと。普段付き合いのある相手なら、一歩踏み込むきっかけになってくれる、そう思えば年中行事とかも無駄ではないのかも。

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