まんがのクリスマス② 「Papa told me」

まんがのクリスマス② 「Papa told me」


長期間連載が続いていて、しかも「サザエさん時空」だと、作中で何度もクリスマスを迎えることになりますよね。でも、定番のシチュエーションは何度見てもいい! 何度でも読みたい。毎回少しずつ違うのがまた楽しい。Cocohana ver.でも3・5・6巻でクリスマスを迎えている知世ちゃんですが、今回はYoung You版の24巻から。
以下ネタバレありの感想です。
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2000年のクリスマス。1日につき1ページのまんがで、クリスマスまでのカウントダウン。アドベントカレンダーにかけてあるんですね、楽しい。

毎日ひとつずつ新しい扉を開けている間、シリアルの懸賞に当たったり、公園でたき火を見つけたり、こたつを出したり、新しいコートを褒められたり。知世ちゃんに毎日ちょっとしたいいことが続きます。

クリスマス当日が来ると開く扉はなくなってしまうけれど、毎日を新鮮に感じる気持ちがあればいいことは続いて行くんだよ──という、クリスマスらしい可愛いお話。
そして、そのすぐ後に収録の「スノーボールタウン」がとてもいいお話なんです。
いつものアリスカフェでテイクアウトのケーキを用意してもらっている間に素敵なスノーボールを見かけた知世ちゃん。ひっくり返してみようとしたところ、それは特別製で非売品だから触っちゃダメ! と叱られます。雑貨屋さんも兼ねているんだから、そんなこと言うなら飾らなきゃいいでしょと正論で返すと、だって見せびらかしたいから〜! といつも通り自由な双子のお姉さんたち。
ゲストキャラクターは引きこもっている中学生の女のコとそのカウンセリングを担当しているお医者さん。この回では無神経な人物は電話の声のみの登場なので、全体的に静かな雰囲気。

知世ちゃんが心惹かれたスノーボールは小さな街。石畳の広場に一本の街灯、ぐるりと取り囲む淡い色合いの建物。お姉さんたちの隙を見てこっそりひっくり返してみるとキラキラと雪が舞います。

次から次へと訪れるクライアント、一朝一夕には進まない治療、理不尽に電話で怒鳴りつけられてお疲れ気味の先生が居眠りしているとなぜかその広場にいるのがパパミーの世界。

静かな静かな街。雪というものはその白さで全てを覆い隠すだけでなく、音を吸収してしまいます。何もしないでただ眺めているだけで、波立つ心が凪いでいくような……。
さらに当の引きこもりの中学生のコを窓越しに見かけて、「ちょっと広場まで出てこないかい?」と誘うと、そのコは無言ではありますが外へ出てきて、降り続く雪を見上げて笑顔を浮かべます。

冒頭に「安らかに 静謐に」と書かれてある通り、疲れた人のためのほんのひと時の休息所。あーいいなあ。この場所に行きたいなあ! って思ってしまいます。
「うっかり壊したりしたらたいへん」「一種の公共物だね」――こんな素敵なスノーボール、本当にどこかに存在して、誰かがやさしい手でひっくり返してくれるといいですね。
夢から覚めても降っている雪に、事態が好転しそうな気配を見せて物語は終わります。
Cocohana ver.では5巻の「サンタステーション」がいいです。王子様のドールハウスショップが好きだから。定食屋さんのご夫婦もいい感じだし。
クリスマスの飾り付けで「いつもの街が物語の中の街みたい」になるからクリスマスって素敵! と知世ちゃん。
何度繰り返してもその年その年でマンネリを超越した良さがあります。

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