「フラワーズ」2016年2月号 感想 とりかえ・ばや

[amazonjs asin=”B017A620PY” locale=”JP” title=”月刊flowers(フラワーズ) 2016年 02 月号 雑誌”] 長いことサボってましたが、またブログを再開したいと思います!
勝手な話ですがやっぱり自分が面白いと思う方向に展開していかないと、どうしても感想を書く気力がなくなってしまうんですよね……(^^;;
沙羅と帝の仲がどう進展するのかな〜とわくわくしてフラワーズを買って来て、後半石蕗だった時のがっかり感が長く尾を引いてしまいました。←小学生並の思考です。
そんな内容でしたが、簡潔に感想行きたいと思います。

「とりかえ・ばや」episode42 たらちねの

今回も美麗な表紙!
矢の束を抱える沙羅と、弓を手に腰をかがめて反対の手でその顎の辺りに触れる帝。いわゆる「顎くい」的な? 目を伏せている帝は半端なく美しいんですが、沙羅の表情があどけないというか、最近沙羅に何か物足りなさを感じてもどかしいんですよね!でも物語を通して読むと、これが計算された演出ということになるのかな?とも思うし、連載って色々難しいんだろうなー。もしかしたらさいとう先生も、もうちょっと待って!すごいの用意してるから!って感じなのかしら?……とか妄想を繰り広げていると、いい年して自分ってドおたくだな……!って思います♪( ´▽`)

「決めたぞ」
と東宮さまの鶴の一声から物語がスタート。
あっさり宮中に戻ることが決定しました。
頬が丸々でツヤツヤしてて、気力充分、臨戦態勢完了って感じで頼もしくてしかも可愛い!
三の姫を筆頭に、梨壺の女房たちが喜びに沸きかえる中、主上のお渡りが。
主上の見舞いの言葉に、二人の尚侍の尽力に感謝の意を表す東宮さま。部下を引き立ててくれる出来る上司ですね。それを受けて主上からもねぎらいの言葉を受けたのですから、通常でしたら誇らしくてたまらないといったところですが、三の姫はともかく今の沙羅は……。
朱雀院での騒動は自分に責任がある。兄一人に罪をかぶせるわけにはいかない。尚侍を辞め左大臣邸で蟄居したい。
それが沙羅の出した結論でした。
初耳の三の姫は驚いています。
主上は沙羅に決心に変わりはないかと尋ねられ、沙羅もうべないます。
関白左大臣も関白の位を返上したいと申し出たが、関白に責はない。だが尚侍は東宮を良くお守りしていたとは言えない。……結局若輩の二人が暴走してしまったとそんな落とし所?
東宮の尚侍は五節の尚侍一人で充分だと。三の姫、仕事ぶりを褒められて嬉しそう。
沙羅もこれで主上の公平さが保たれた。こうでなくては上様の求心力が低下してしまうと、今回の処置には納得しています。
話は終わったと御簾を出られた主上は、東宮さまの隣に控える沙羅の前で足を止め、身をかがめると、俯く沙羅に直接声をかけます!
「憂えることはない。世が静かになったらあなたを呼び戻す」
沙羅が赤い顔を上げ上目遣いに伺うと、微笑んだ主上はさらに尋ねます。
「ところでもみぢはお気に召しましたか?」
思いもかけないことに頭が混乱した沙羅は、たどたどしくお礼を申し上げます。
「秋のもみぢ、そして春のーー」
桜を賜ったのは睡蓮の尚侍ではなく沙羅双樹ではないか!失言を……と汗をかく沙羅を、主上もけげんな顔で見つめます。
震えながら平服する沙羅をそれ以上は追求せず、
「そなたが疲れを癒すのを待っている」と涼やかにお言葉を残して主上は戻っていかれます。
しかし春といえば「桜」。尚侍は何を言おうとしたのかと、いぶかしむ主上。
うーん、衆人環視の中、ほとぼりが冷めたら……なんて個人的なことを言っちゃう主上、さっきまでの公正さが台無しじゃないですか?これはありなのかな?もうちょっとツンデレ出してきてもいいような……そんで一方的に沙羅が想いを募らせる方に行くと萌えたんだけど。個人的な趣味ですが。
やはり少女漫画的に「自分の全てを相手にさらけ出して受け止めてもらう。それが真の愛情」的なセオリーを外せないから、とりかえを主上に気付かせるために必要なエピソードを重ねているのかな?

そして二人のターンはここで終わり、なんと!この後は石蕗&四の姫のターン!
予想外だったのでほんとにびっくりしました!
右大臣が娘の四の姫に縁談を持ち込みます。地方の受領(摂津守)の有吉殿。
私には夫がいるのですよと、当然拒む四の姫ですが……。
・蟄居先の睡蓮には文で離縁の了承をもらった。
・左大臣家でもこんな騒動の折、全てそちらのよいようにと。もはや左大臣家の世ではない。
・二人の姫も連れて来て良い。
・悪い噂は一生ついて回る。この父が死んだ後のことを考えよ。
家の中だけの狭い世界しか知らず、蝶よ花よと苦労なく育てられて、何の力もなく、何一つ自分では決められず、男の決めた運命に流されるだけ……。たったの2ページで、勝気な四の姫がことごとく寄る辺の希望を打ち砕かれて、抗う気力をなくしてしまう様が、厄介な娘を片付けて、さらに家を盛り立てることしか考えのない、浮かれた右大臣との対比でなんとも切なく胸に迫ります!なんと数奇な運命に翻弄されることか……もって生まれた美貌が自身の幸福になんの意味も持たない、可哀想な姫です。さいとう先生、こういう描写がほんっとうに上手ですよね!
一方この話を聞いた沙羅はというと、憤懣やるかたなしと大騒ぎするのですが、お母様はまったく動じず、この件を読み切ってます。政治的にも女の身の処し方としても、よくあること、理にかなっているのですよと。
唐突ですが、光文社発行の奥様向けファッション誌、「VERY」のキャッチコピーをご存知ですか?「基盤のある女性は、強く、優しく、美しい」。沙羅のお母様が体現してますね。沙羅や四の姫などまだまだほんのひよっこです。
納得できないまま眠った沙羅が夢を見て、それが石蕗にリンクします。この辺り平安っぽい。石蕗の「三人の」子供が鍵です。
久しぶりに登場の石蕗さん、「一心に働くことこそ尊く思える」と、心を入れ替えて別人のようになってます。防鴨河使庁長官として、周りも感心するほどの献身ぶりのようです。
そこでの世間話で四の姫の再婚を知り、衝撃を受けます。
四の姫はこの再婚話に逆らっても、周囲は困惑し同情したとしても、打開のために尽力してくれる相手は誰もいないとわかっていて、娘二人の幸せだけを拠り所にする諦めの気持ちです。今までたくさんの人の信頼や期待を裏切って来たのは自分です。
「これ以上、父上や背の君を困らせるわけにはゆかぬ」と。
ところがこの決意をぐらつかせる事実が判明します。二人の姫が養子に出されることを左衛門が聞きつけて来たのです!動揺する四の姫。
引き返そうとするもすでに船の上。淀川を下っています。このまま海に出てしまえば、もう引き返すことは不可能です。どうする?!と緊迫する中、
「待てっ……」
とヒーロー登場!馬を駆る石蕗です!なにこの展開!平安か?
「四の姫! 行ってはならん! 姫たちと引き離されてしまうぞ!」
お付きのものを馬で蹴散らし、がしっと四の姫の手を取ります。
「私を信じてくれ! 今一度だけっ…」
そして馬上に四の姫を攫います。
追っ手がかかる中、付いて来い!と言われて素直に馬を用意する左衛門もおかしい。
何もかもがおかしいんですが、絵はきれいですよーさすがに。石蕗もかっこいいです。今までの女の人生についての深い描写が全部吹っ飛んでしまいましたが、こうして改めて読んでみると、意外と面白かったです!ていうか、ほんとにかなり面白かったです。
この二人、3月号では収まるとこにきれいにおさまったので、そちらも近い内にあげますね!

1月10日にWEB拍手で一言下さった方、ありがとうございます!嬉しかったです(^^)

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