「フラワーズ」2016年3月号 感想1 とりかえ・ばや

[amazonjs asin=”B018R7G100″ locale=”JP” title=”月刊flowers(フラワーズ) 2016年 03 月号 雑誌”] 3月号の表紙は西炯子先生の新連載とあって、中々売れ行き好調なのでは?買いに行った時、すでにかなり減っているように見えました!色使いも黄緑にピンクと春らしくていいですね。お花は紅梅。「初恋の世界」についてはまた別記事で!
というわけで、以下ネタバレありの感想です。

「とりかえ・ばや」episode43 再びの縁(えにし)

今回の扉絵は石蕗と四の姫。二人がまた結ばれるということを表すイメージ画です。さすが作品内きっての美男美女カップル。美しいです。

鄙びた場所にしては小綺麗な、手入れの行き届いてそうな邸。石蕗が四の姫を攫って来た先は、鳥羽の別荘でした。
馬から抱き下ろし、疲れたであろうと石蕗はなにくれとなく世話を焼こうとします。沙羅の時もそうでしたね。邸内の四の姫と二人の娘たちのために用意したという部屋には調度の他にまりや貝などおもちゃもありーー今回のことは一時の衝動ではなく、最善の策を考え抜いた結果なのだと、石蕗は告げます。
今まで無言だった四の姫は、硬い表情を崩さず、真っ向から覚悟のほどを尋ねます。
石蕗もここが運命の岐路とばかりに、真剣に向き合います。
摂津守は60代の老人であり、口ほどには姫たちを歓迎していなさそうだ。そこへ大納言家から珠子を引き取り、后がねとして養育したいという良縁があった。珠子の幸せを思えばそれを受け、雪姫は自分に懐いており何より可愛い盛りなので、手元で育てよう……右大臣さまはそうお考えのようだ。
石蕗から聞かされた真相に、なぜ自分には一言の相談もないのか、吹けば飛ぶような女の身の自分にも心があることを、なぜ誰一人として尊重してくれないのか?と、無念さから思わず涙を流す四の姫。
初めて素直に感情を表した四の姫に、石蕗が取った態度はさすがに腹が決まってました。
「あなたはどうしたいのか、教えてくれ
どの道を選ぶか、あなたの思いを第一にする」
なんと摂津守の元で姫たちと暮らしたいなら、つてを頼って私が説得してもいいと。
この提案、あえて自分には何の利益もない道から示したのが、男を上げましたね!四の姫に選択権を委ねた男は石蕗ただ一人だけ……感動です。
話を聞いてほしい。
女性がパートナーに求める最たるものを、ここにきて石蕗が実現してくれました。
当然四の姫も心を打たれます。
そこへ二人の姫の親である以上、何があっても前世からの契りは消えぬ!とたたみかける石蕗。
姫たちと離れて暮らす気はない。
四の姫にとってそれが大前提ですが、睡蓮と別れるのはやむなし、騙し討ちにした父の所に戻るのも……とやはり八方塞がりのため、自分一人なら出家すれば……と弱音をもらした四の姫に、
「それはならぬ!」と必死に詰め寄る石蕗。
摂津守、背の君、父親……もうどこへも行く当てのない中、残ったのはたった一つの道。石蕗と夫婦になって、娘たちを育てる道。
「……むろん押しつける気はない。あなたは信じないかもしれないが、私は本気だ」
高圧的でなく、むしろおろかな願望を口にする少年のように顔を赤らめ、四の姫の目を見ることも出来ない石蕗が、なんだかいじらしく可愛い男に見えてくるこの演出、さすがです先生!
「うつけじゃ」
石蕗の言葉をそう受ける四の姫の横顔、美しい……!わずかに入ったトーンの削りが効果を出してます!
その道を選んでも都中から失笑を買うだけなのに……
四の姫の拒絶と受け取り自嘲した石蕗に、
「うつけとはわれのことじゃ」そう告げて、四の姫は石蕗の胸に飛び込みます。涙ながらに抱き合う二人。表情の一つ一つが見応えありました。きれいでした。

そして三日後。石蕗と四の姫の出奔に混乱状態の右大臣邸に、なんと二人が連れ立って戻ってきました!姫たちはどこですかと超強気に父に迫る四の姫。戻っていた左衛門が面倒を見ていました。再会を喜び合う母娘に何も言えない右大臣です。
そこへ石蕗も進み出ます、こちらも強気!四の姫と夫婦になることを願い出ました。
激昂して石蕗を足蹴にするお父さん。またか、また四の姫を不幸にする気か、こやつは……!と。
四の姫が身を挺して庇いますが、石蕗も今回は引きません。
内容はもうはしょりますが、誰にも損のないように石蕗が上手く手を回して、摂津守の件はなんと四の姫を攫いに行く前から手を打ってあったんですね。
だから万が一四の姫がそれでも摂津守の元へ行くと言えば、石蕗のやったことはすべて徒労に終わり、それどころか摂津守を再び心変わりさせるために大変な労力を払わなければいけなかったんですよね。四の姫がその道を選ぶことは十中八九ないとは思いつつ、それでも選択肢として用意して、恩を売るような真似をせず、四の姫の気持ちを最大限尊重したんですね。
四の姫もさらに石蕗を見直して、右大臣にもいっぱしの男であることも示せたし、あとは娘たち。
雪姫に「ととさまじゃ」と言われて、涙を流して今までのことを娘に詫びます。
必ず出世してみせますから、婿として認めてください!と不退転の決意で迫る石蕗。「そなたは信用ならぬ」と怒鳴り返す右大臣ですが、四の姫に心配しないで下さい、私ももう人の親、独り立ちする時ですと言われ、こちらも涙……。
収まるところに収まりました。

二人がよりを戻したことを父から伝え聞き、心から安堵する沙羅。ですがお母様は、世間の目というものはそう甘いものではないからねえ、ここからが苦労ですよと。
ならば我が家が先陣を切って交際を始めては?という提案をする沙羅に両親はびっくり。あなたの兄と離縁して再婚したばかりの方と親しいお付き合いを?それはいささか浮世離れしてない?と。
ちょっとここの沙羅、無邪気すぎてこわい(^◇^;)沙羅が去った後、実は主上から内談があってな……と左大臣が耳打ちして、お母様は嬉し涙にくれるというくだりがあります。いいお話があったんですね、きっと。
さてそれからは沙羅のために美しく立派な衣が山のようにたくさん仕立てられ、家を守る女主人としての必要な知識・教養・作法を沙羅に厳しく仕込み始めるお母様。
乙女の時はそろそろ終わり、人として女として成熟せねばーーと言われても、いまいちぴんとこないながらも、真面目に箏の練習に励む沙羅。娘々していて可愛いといえば可愛いですが……。
花の盛りのある日、左大臣邸では花の宴がひらかれます。蟄居の身であると宴に出ることを拒んだ沙羅は、邸の奥で読書や書き物をしてのんびり過ごしています。
人気のないしんとした部屋から、桜に誘われて渡殿に出た沙羅は、また巡ってきた春に郷愁を覚えます。それは喜びだけではなく悲しみもあり、ほんの少し前まで男姿で桜の木に登っていたなど、まるで夢の中の出来事のようだ……と物思いにふける沙羅の耳に、「ああっ…危なし…!」という悲鳴が。
なんと四の姫その人が!お転婆にも欄干に足をかけ、かなり高いところの桜の枝に手を伸ばしていたところをバッチリ見られてしまいました。確かにフツーの姫君は絶対しないわ(笑)この行為。驚いて振り返った沙羅が美しいだけにちょっと笑えるこのシチュエーション!どうなる?次号!

うふふ(^^)次号ではとっても素敵にこの事態も回収されるのでご心配なく(^^)

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