「フラワーズ」2016年3月号 感想2 初恋の世界

西炯子先生の新連載!……始まって3ヶ月経ってますが、40代に取っては3ヶ月前はつい最近。表紙&巻頭カラーで登場。西先生にしては癖のない感じで読みやすい。けれどその分ちょっと印象が薄いかも。
絵はいつも通りきれいです。
以下ネタバレありの感想です。

「初恋の世界」第1話 あれ?ちょっと待て

メガネにストレートのロングヘアの主人公・小松薫が職場で40歳の誕生日をホールケーキでお祝いされている場面から始まります。結構微妙な状況で、その時の薫さんの心境がそのまんまサブタイトルになってます。「待って」じゃなくてあくまで「待て」なところが、前作と打って変わってサバサバ姉御系主人公なんだな、と。その方が世界観に馴染んでいるし、見た目も中身も「恋と軍艦」の晶の成長した姿みたいで、最初から好印象です。
十の位が3→4になったことで、視覚から一気に人生後半戦に突入した気分になって、軽くへこむ薫さん。そうは言ってもチェーン店のカフェの店長さんです。
「モリノカフェ」はライフスタイル提案型のコーヒー店。豊かな空間で本当においしいコーヒーを。ソファとか芸術書を置いたおしゃれカフェですね。都内に3店舗全国に5店舗と、それなりの高評価のチェーン店です。
いつのまにか人生残り半分。まだ何もしてないよ……と40代あるあるトークをこぼしていたら、「結婚は?」と27歳の後輩女子から突っ込まれました。
20代の彼女の結婚観は「安定」「スタートライン」と地に足の着いたもの。40代は「恋愛原理主義」の人多いですね、運命とか信じてて愛はロマンチックなエターナル、そんなの古いですよとばっさり。
まあ人それぞれと聞き流し、一人暮らしの部屋に帰って来た薫。急に思い立って断捨離を敢行したばかりのなのでさっぱりとしてきれいです。来月の賃貸契約の更新を機会に、一生使えるものに全て買い替えよ!という動機のようですが、誕生日だからか「一生使える一人分のあれこれ」に自分でも少し引っかかりを感じます。
そこへ旧友の「りさん」こと香織からおたおめメール。子ども二人の賑やかで忙しそうな近況に触れ、私自身も40にはこういう生活してるだろうってイメージしてたけど、仕事仕事で「こんなとこに流れついちゃってる」なあと……。すごい普通!思考の流れも友人への対応も、仕事が充実している40代独身女性として、すごく自然。今までの主人公たちは独自のこだわりや焦燥感を持ち、ややエキセントリックな傾向がありましたが、薫はごくごく普通の自然体で、なかなかいいですよ〜!
そんな風に上手く自分の感情を処理して平穏な日々を送る薫の元に、会社から思ってもみなかった人事異動が告げられます。薫の郷里角島県にも支店があるんですが、オープンして一年業績が思わしくない。テコ入れのために転勤して一年行って来てくれと。
現店長の鈴木くんも現地採用ではなく東京からの出向組。本社は元々コーヒー豆や器具の販売が本業で、薫はカフェ部門の立ち上げから関わっている社員なのです。さらに独身で賃貸住まいの身軽さとあっては、断るための理由はなく……。
鈴木くんには嫌われてる気がするんだけど、私と交代で店が軌道に乗るとプライド傷つけちゃわない?私が気にすることじゃないか。
今までの恋愛全て私がフラれて終わるか自然消滅だったな、もう5年誰とも付き合ってない。女として魅力がないってこと?
毎年恒例の「りさん」からの誕生日メール、桜の開花、一年があっという間に過ぎて行く。ここが分岐点なの?
……色々考えた結果、前向きにこの転機を薫は受け入れることにしました。
ロッカーの私物を整理して、惜しまれつつも転勤の準備を進める薫、角島店に電話します。応答なし。2コールで出るのが基本でしょ?と訝しみながらかけ直そうとしたその時、やっと反応がありました。
「…………ハイ。何でしょうか」
アルバイトと名乗る男性のぞんざいな応対。午前中病院の鈴木店長。今忙しいと一方的に切れた電話。
どういうこと、ちょっと待てーーと。
40代、立ち止まって色んなこと考えて、自分の人生に杭を打って、生きている証を刻みたい。
キャラクターも設定もいい感じじゃないですか?薫さん好きになれそう。あんまり長くなる感じはしないけどどうでしょう?フラワーズにまた一つ楽しみが出来ただけでも嬉しい(^ ^)

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