「フラワーズ」2016年 7月号 感想 とりかえ・ばや①

あの人が帰って来た!いや帰って来た……は違うかな?再登場したってことです。
そしてゆづるくんはとっても素直で可愛らしい子でありましたでぞんず。
さらに主上はもうセクハラすれすれにやりたい放題でぞんず。
そんな今月の「とりかえ・ばや」、以下ネタバレありの感想です。
今回盛り沢山ですごく長くなりそうなので2つにわけます(・_・;

「とりかえ・ばや」episode47.乱の気配

表紙は沙羅&弓弦王。上手く言えないんですが、デフォルメバージョンというかミニキャラっぽいというか、お人形さんみたいな二人。弓弦王かわいい。

主上より親王の位を賜った弓弦親王。
公式の場での振る舞い方が分からず、側に寄り添う式部卿の宮に促されて初めて、自分が宣旨を受け取るのだと知って顔を上げます。
「かたじけのうぞんず」
当然立ち居振る舞いにも優雅さのかけらもなく、言葉遣いも山出しの子どもそのまま。
「上さま!うれしゅうぞんず!」
と主上に対して声をはりあげるなど、さすがに沙羅も、元気で良いが礼儀作法を知らぬのは困ったことだと主上の顔色を伺いますが、主上は弓弦親王を見ていませんでした。
主上の視線の先には僧が。……あれが弓弦親王を担ぎ上げた銀角か!聡い沙羅はそう察すると、声を聞けばあの日の鞍馬山の悪坊主かどうか判別が付くと考えて、
「…上様、銀角にお言葉をかけられては?」と奏上します。
沙羅と目を見交わした上様はすぐに、
「銀角!尽力ご苦労」と発せられ、それを蔵人頭が銀角に伝えます。
名指しでお褒めの言葉を賜り驚き感激した銀角、
「この上なき幸せにございます!」と頭を下げます。
間違いない、この声はあの時の悪坊主!と確信する沙羅。
嬉しそうな表情で顔を上げる銀角に、沙羅は御簾ごしに射るような視線を送ります。
それに気付いた銀角が挑むように睨み返して来た時にはもう、沙羅は扇で顔を隠して素知らぬ顔。お互いの存在を強烈に意識し合ったこの二人、戦いの火蓋が今切られました。この緊迫感、主上と沙羅が阿吽の呼吸なのもいいですね!わくわくします。

一方退出した弓弦親王は、のんきに宣旨を透かしてみたり、寝転がって眺めたり。
「これで私は東宮になったのですか?宮さま」
と状況が飲み込めていない様子。まだまだですよと、お行儀の悪さを指摘して、きちんと座るよう促す式部卿の宮。思ったよりずっと和やかムードです。この二人なんか可愛い。
そこへ意気揚々と入ってくる銀角。立太子(東宮を正式に定めること)はいつに?と先走っていますが、式部卿の宮は聞こし召しながら受け流します。
東宮選びは後の帝選び。慎重に慎重を重ねてまだ検討するようですよ、と。
それは新しい尚侍を迎えられたことと関係が?
鋭くそう指摘する銀角に、薄く笑って舌なめずりしながら、宮は答えます。
あれは東宮に仕えていた睡蓮の尚侍だと。
まあ時間の問題ですが、あっさり沙羅の正体がバレてしまいましたね。鞍馬山を訪れて、しつこく追及しようとした姫だということが。
なるほどあの方が……まだ若く美しく家柄も最上、主上の寵愛を独り占めし王子誕生となれば……と銀角は恐れおののきます。
主上が立太子を迷われているのは確か、と宮は銀角の不安を煽ります。ワルですね、面白がっているんですね?困った人です。
睡蓮の尚侍は危険だーーそう考えを固める銀角、弓弦親王は何も知らない様子です。

「あの声、あの僧です」
重大な情報を早速主上にお伝えする沙羅。女房たちは真剣な表情で見つめ合う二人を遠巻きにしています。
無言で主上が沙羅を手招きします。
(え…中へ?でも…)
拒否することなど出来るわけもありませんが、人目を気にして頬を染めてためらう沙羅に主上はさらに、
「帳(とばり=内外を遮る布)を下ろして」と。
周りに誤解されてしまうと困り果てる沙羅に対して、主上は楽しそうでのりのり。
「秘密の話をするにはそう思わせておくのが得策」
と袖に隠れて内緒話。悪そうなお顔もきれいです。するりと目の前で帳が下されて、目を剥く女房たち。
ここから4ページは上様の大人の魅力全開です。
銀角という僧は例の悪坊主に間違いないです!
沙羅が真剣に言い募るのを真面目に聞いている上様なんですが、声が大きい、近くにおいでとこの状況を楽しんでもいらっしゃるような。
声が似ているというだけでは弱い、呪詛したお札と御供米はないか?
米は捨てましたが、布袋とお札はあります。
真剣に話しながらも、あまりの近さに上様の香りが……と意識してしまったり、甘い言葉をかけられて、どうしても頬を染めずにいられない沙羅。上様はもちろん意図的で、沙羅が困り果てる様子が可愛くてたまらない様子で、
「尚侍が赤くなるのを見るは楽しい」
とうんと優しいお顔でそんな風に。
うまくあしらうことも受け止めることも出来ない初心な沙羅は、真っ赤な顔でしどろもどろ。
「上様はまことに弓弦親王を東宮にするおつもりでしょうか?危険では?」
話が核心に触れるとそこは上様、一転して厳しいお顔で、親王の人となりを見極めてから決めると、いつもの公正さを発揮されます。
親王は貧しい田舎暮らしからいきなり東宮候補にされて、帝王学を何も知らないこと。若年ゆえ素直に学べば伸び代はあること。式部卿の宮の世話になってしばらく内裏に住まわせるので、私とそなたで、
「東宮の器であるかどうか、導きながら判ずるのだ」
上様の為ならばやってみますーー暗がりで静かな声で頭上から諭されて、沙羅はうつむいた顔を赤らめながら、いじらしく答えます。
愛おしそうに目を細め、上様は沙羅の髪に優しく手を触れて、
「あの……」と戸惑う沙羅に構わず、
「少し乱れ髪の方がそれらしい」と細工を施します。
髪だけでなく衣も少しだけ乱して、二人は皆の前に出てきます。
沙羅の姿に、思惑通り驚き顔を赤らめる人々を尻目に上様だけは涼しい顔。
「蔵人頭、何を赤くなっている」などとしゃあしゃあと仰ってお仕事に戻ります。何か手慣れてますねぇ。いつもの清廉潔白で、掌中の珠のように沙羅を慈しむ上様も大好きだけど、こういう悪そうな一面もたまらないですwカッコいい……(#^.^#)
私が「お手つき」と皆が信じ込むことを楽しんでおられる?とちょっぴり閉口しながら、身なりを整える沙羅でした。

二人の距離がぐっと近付いて、もう逃げられない安心感からか余裕たっぷりに駆け引きを楽しんでいる上様です。沙羅の表情が色っぽくなりましたね。13ページ目の二人の横顔、とっても美しかったです。
ここまでで半分、後半は弓弦親王と沙羅が交流するんですが、親王可愛いです。素直で愛すべきお人柄でした。
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