バラ色の聖戦 93話感想 「Kiss」2016年5月号

[amazonjs asin=”B01D4DHX4K” locale=”JP” title=”EKiss 2016年5月号2016年3月25日発売 雑誌”] 表紙可愛いですね。黄緑が春っぽい。「志のぶ」は面白いけど、ハマるほどじゃないんですよね。展開が遅いからかな?
そして年度末で忙しくて読み流していましたが、「バラ色」が巻頭でした。
以下ネタバレありの感想です。
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「バラ色の聖戦」Stage.93 真実の瞬間

「これはアクリルで作られたフェイクなのです」
真琴の言葉にその場は騒然となりました。ファーを扱い慣れている「クロンヌ」のスタッフが手にとって見ても、本物の毛皮にしか見えない、一本一本太さも長さも手触りも違うし、刺し毛だけじゃなくちゃんと綿毛もある、これがフェイクなんて!
紗良の話を聞いて、ファーを使ってしまった失敗を慌ててごまかしているのではないか……真琴は小さな繊維メーカーに作って貰ったと説明したのですが、信じてもらえません。
真琴の回想シーン。初詣の夜、閃くものがあった真琴はすぐに敦司に電話して、和歌山の多田野繊維という名前を聞き出します。従業員は四人だけ、プレハブの工場、簡素なホームページにかろうじて画期的な技術があることが載っていました。
電車とバスを乗り継いでやっとたどり着いた山奥の工場、展示品のフェイクファーを見て、真琴はその技術の高さに圧倒されます。
真琴は社長の多田野氏に頭を下げて必死に頼み込みます。限りなく本物に近いフェイクを5日間で作って欲しいと。それがあればオーディションに勝ってパリに行けると。
社長の返事は、期日に間に合わせるためには特別工程を組む必要があるし、むしろ本当の動物の毛皮より値段が高くなりますよ、現金一括払いで20万。それでもいいですか?
正式な仕事ではない、ただのオーディションのために20万!
「かまいません」一瞬躊躇しましたが、真琴は力を込めて言い切りました。
動物の命を守るこのファーにはそれだけの価値がある、と。
真琴の熱意に心を動かされ、社長はついに承諾してくれました。あなたを応援します、是非合格してください……真琴は今度も新たな扉を開けることに成功しました。
しかしそれほどの傑出した技術を持ちながら、全く無名のメーカーなど……と審査員たちは真琴がウソをついているのではないかと疑っています。
真琴が多田野繊維の名前を出そうとした時、無言で席を立った羽鳥が真琴に近付いて、ファーに手を触れて言います。
「多田野繊維のブロパールね」
羽鳥も新聞の記事を見て以来、ずっと興味を持ち調べていたのでした。
動物のために毛皮を扱うことはやめよう、そう決めたけど、本当にファーの美しさ、優雅さ、圧倒的な存在感、独特の雰囲気……全てが本当に大好きだから辛くて葛藤していたの。でもこのクオリティは想像以上に素晴らしい!うちもこれから取引させてもらいたいわ。よく見つけましたね、このメーカーを。
羽鳥に認められた!紗良より優位に立てたかもしれない!
感動する真琴の横で、屈辱にまみれた紗良は顔を歪ませますが、一次審査はこれで終了です。
日本人モデルのどちらを選ぶか。審査中に羽鳥は真琴の行動力を手放しで褒めます。ノーファーに転換することに気付いたのに、「クロンヌ」の世界観には絶対にファーが合うからと、信念を持って最高の品質のフェイクを用意してくれた、その姿勢が嬉しい。ブランドに対する一歩踏み込んだ愛情を感じた。
二人のモデルとしての実力はほぼ互角、では今回は真琴さんを?……
事務所で待機する真琴とまどか社長の元に「クロンヌ」から電話が。
オーディションの結果は、どちらとも決めかねるので2次審査へもちこし、というものでした。真琴のファーへの情熱と表現力には感心したが、パール一つであれだけの気品を見せた紗良も素晴らしかったから、と。
一次は引き分け、次こそが本番ーー気を引き締める真琴ですが、一方紗良は。
このオーディションは出来レースのはずでしょう⁈
激怒した紗良はマネージャーから三原編集長に確認させますが、もちろんうちは美生館にお世話になっているんだし、紗良さんを推してますけど、デザイナーの羽鳥さんに最終決定権がありますからねえ〜と、のらりくらりとかわされてしまいます。
あのタヌキめ!と紗良サイドも話題作りに利用されたと気付きますが、時すでに遅く、次の審査では自分が落ちる可能性がある?と、紗良は恐怖にさいなまれます。
ここで真琴が多田野繊維の件で敦司に電話してお礼を言い、デザイナーがパリコレで使いたがっているという情報を伝えて、敦司の慧眼を褒めてますので、自信を回復した敦司サイドに何か新展開が生まれるかも?

さて自宅でオフを過ごしていた紗良の元へ、例の毒母が隣からやって来て一緒にお茶しましょうと誘います。
(お母さんがわざわざ声をかけてくれるなんて)と大喜びの紗良ですが、そろそろパリに行く準備をしないとねぇ、パリなんて初めて、楽しみ、紗良の晴れ舞台ですものワクワクすると普通の母親のようなことを言われて、もしパリコレに出られないなんてことになったら、この人とはもう終わりだ、残りの一生を顧みられることもなく、土の下の虫けらのように送るしかないんだーー現在の幸福との落差にゾッとして、どんな手を使っても真琴に勝つ!と思いを新たにする紗良ですが、ここから意外な展開が待っていました。
実は紗良に頼みがあるの、あんたしか頼れる人がいないの。
そんな甘い言葉に、思春期以降ずっと母の愛に飢え続けている紗良は飛びつこうとしますが、母の依頼とはなんと、紗良の姉が経営している病院の規模拡大のために一億円を無利子で貸してあげてほしいというものでした。
この無茶な依頼はさすがに拒否した紗良、薄情な子ね、お姉ちゃんがあんなに頑張ってるのにと母に言われて、「あたしだって頑張ってるわ!」と言い返します。
紗良が説得出来ないとわかると、窓から見える豪邸を指して、じゃああの家を売ればいいわ、土地だけで数億になるわと、なんとも簡単に言ってのけました。衝撃を受ける紗良。義父との思い出の家を離れたくないという義母(姑)を非道に追い出してまで手に入れて母に与えたのにーー
それは有難いと思ってるけど、もっと年取ったら医者のお姉ちゃんと同居した方が何かと安心だし、どうせ空き家になる家じゃない?
私がどんな思いであの家を……と、こらえきれずに涙を流す紗良。
「なによ、泣くことないじゃない」
私がどんなに頑張って期待にこたえようとしても、結局お母さんはお姉ちゃんの方が可愛いのね。
自分の言動が娘に与える影響の大きさを意識していないように、母はどこまでも紗良の魂の叫びを聞き流してしまいます。
だってお姉ちゃんたちは医者と弁護士という自分の力で一生ものの仕事をしてるのよ?あんたは今はちやほやされているけど、人気なんて「水もの」でしょ?美生館という大企業の社長夫人という立場は立派だと思うけど、子供もいないし今後どうなるか……、
「そうだ!じゃあもう早く子供つくればいいのよ。そしたら安定して将来みっともないことになったりしないわ!」
ほうら、ちゃんとあんたのことも考えてるのよ、とりあえず今日はこの話はこれで終わりねとばかりに笑顔でソファに座りなおす母。
今のがこの人の本心なんだ、私が芸能界でどんなに頑張って結果を出しても、姉以上に評価されることはないんだ。
絶対に(私という存在そのものを)愛してもらえることはないんだーー

わ〜紗良がついに絶望しちゃいました。まああの紗良の成功の象徴とも言える家を売るってあんなにかる〜く言われちゃあねぇ、もうお終いですよね☆紗良母のゲスっぷり、他のマンガでは読めないですよね、ここまで徹底して描いてくれるなんてこやま先生すごい!
このことが2次審査にどんな影響を及ぼすのか?どんなカタルシスが待っているのか?最高に盛り上がってますね!次号が楽しみ!

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