「バラ色の聖戦」100話 最終回 感想 Kiss 2017年 1月号

[amazonjs asin=”B01N1I0JKI” locale=”JP” title=”EKiss 2017年1月号2016年11月25日発売 雑誌”] ついに最後の「バラ戦」の感想です!コミックスの最終巻が1月13日に無事発売され、めでたく全20巻で堂々完結しました。
本誌は表紙&巻頭カラー。薔薇づくし。表紙が真琴のアップで、中表紙のモデル3人のイラストが20巻の表紙です。特集記事の方に2009年の連載開始時のkissの表紙が載っているんですが、それも同じ3人。ーー真琴・紗良・茜子の3人のそれぞれの女の生き方を軸に物語が展開して来たのは、当初の構想通りだったということですね。
以下ネタバレありの感想です。
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「バラ色の聖戦」Stage.100 グランド・フィナーレ

「クロンヌ」のパリコレのモデルに決定したのは真琴ーーという連絡を自宅で受けた紗良。この私があの女に……! とショックは受けていますが、
(だけどーー正直いってわかっていた)
ランウェイをはける最後の瞬間、背中に観客の視線を感じなかった。皆が見ていたのは真琴さんだった。あのピンチに立って驚くべき柔軟な発想、それを実行する勇気。悔しいけど私には出来なかった。あの時は確かにあの女の方が上だった。
青ざめた顔で手にしたスマートフォンを眺めながら敗北を振り返っていた紗良は、ふっと笑いをもらします。
「おもしろいじゃない、これでこそ堂々の勝負よ」
戦いはずっと続いて行く。そういう生き方を選んだのは自分。
「次は絶対に負けないわ」
それでこそ女王です。ま〜へこんでしおらしい紗良じゃ魅了半減ですからね!

真琴たち一行はパリ入り。
「クロンヌ」のショーの会場は豪華な内装のレストラン。ショーは明後日の16時からで設営の真っ最中です。ショーはファッションウィークの初日で、初参加のクロンヌはマスコミ関係者やバイヤーに見てもらえるかもわからないという、厳しいチャレンジ。たった数十分のショーのために何ヶ月もの時間、何千万というコスト、デザイナーとスタッフが全身全霊をかけても「くだらない」の一言で終わることもある。
そんな過酷さを目の当たりにして一層気を引き締める真琴に、まどか社長がお礼を言います。
ここへ連れてきてくれてありがとう、あきらめなければ夢は叶うのねーー
私が背負っているのは自分の夢だけじゃないんだ。
(美鈴さん見てる? 私、やったよ)
この舞台で力を出し切ろう、そう心に誓う真琴です。

そして当日。茜子・浅野・三原編集長もパリへ。
バックステージで準備中の真琴は髪を黒くして、日本人の特徴を強調するメイクを施されています。あらゆる人種・飛び交う外国語・百年以上の伝統を持つ世界規模の祭典、ファッションの歴史の一幕に立ち会っているーーそれを喜びに思うゆとりもないほどの異常な熱気に圧倒されながら。
本番直前、デザイナーの羽鳥がやれることはすべてやった、あとはみなさんが魅せるだけ! と激励してモデルたちを送り出します。
真琴さん、頼むわよ! アジア人はあなただけよーーそう声をかけられて、世界の舞台へと足を踏み出す真琴。
いいですね〜♡過去に茜子が真琴を励ましてくれた言葉の通り!92話のあのエピソード大好きなんです。
瀟洒なファーと裾を引く長いブラックドレス……白い肌を強調する黒髪に赤い唇、切れ長の目というエキゾチックかつミステリアスな雰囲気で堂々と歩き切りました。
ショーは見事に成功!
そしてフェイクファーに化学繊維を提供した多田野繊維にも世界中から注目が。敦司の助言により半信半疑ながらもパリコレ以前から営業をかけていたみずの銀行をメインバンクにしたいと。
喜びに沸く社内の様子を眺めながら、自分の市場を見る目は間違っていないと確信する敦司。
帰宅して妻の陽子に相談します。
銀行をやめてトレーダーになりたい。市場経済にかかわる仕事がしたい。しんどくてもやりがいを感じて生きたい……と。
「いいよ」と陽子さんは即答。どんな仕事でもかまわない、一定の収入を確保して私たちの生活をちゃんと守ってくれたら。
改めて働く気はないこと、家庭の維持に責任を負うことを求められ、
「努力する……」と答えざるを得ない敦司。
夫婦で心を通わせて助け合う、同じ方向を見るという種類の愛をこの家庭では得られないことを痛感しつつ、先日百貨店で見た真琴のショーに思いを馳せます。
真琴が輝いているのは、あきらめずに戦い続けているから。俺だって死にものぐるいでやるしかない、納得のいく人生を掴むために! と決意する敦司。
陽子さん悪者っぽいですが、敦司は自分が夕飯食べ終わったからって座ったまま話を切り出して、その間陽子さんが食器下げて洗ってるんですからね。体が本調子じゃないとは言え、笑顔を絶やさずまめに働く陽子さんにお礼やねぎらいを言うわけでなし……。でもまだまだ長い人生、色んな気付きがあって変化していくといいですね。
こやま先生はこういう描写が抜群に上手い!

帰国後の真琴は絶好調であちこちから引っ張りだこ。 トークショーでパリコレの感想を聞かれ、トランス状態に陥るほどの素晴らしい体験だったと語ってます。世界的なデザイナーからも声がかかりNYでもショーに出演する予定が(これはさすがにやり過ぎでは?^^; 最終回だからいいのか…)。
街には真琴の(ラッセンとかの)看板があふれ、大人気。例の裏話を掲載した「VENUS」は異例の緊急重版(そんな女性週刊誌みたいな内容で…?と突っ込んではいけない)で三原編集長は高笑い。
「ウェイブ」は表参道に引っ越して大手の仲間入りしてまどか社長が嬉し泣きしています。
紗良は相変わらず美生館を好きに使って、自分がイメージモデルの美白ラインのブランドを立ち上げて実質女社長として君臨しています。
茜子は無事モデルに復帰して、今度は私が真琴を追いかける番だね、と。いい男つかまえて結婚もする。
「欲しいもの全部手に入れて幸せになるぞ!」
家庭と仕事の両立にくよくよ悩むより、勇気を出して一歩を踏み出してがむしゃらに進んでいこう。
目の前にある一枚の扉。開ければ何が起こり、どこへ続くのかわからない。
開けずに素通りして、先の見えている平坦な道を選ぶことも出来る。
そんな時あなたはどうしますかーー
真琴が勇気を出して開けた扉の向こうはバラのあふれる道でした。薔薇を身にまとい前を見て進んで行く真琴。
全ての悩める女性を励ますラストシーンです。

でも別に開けなくてもいいんですよね、多分。問題は自分がそれで納得してるか、人生に満足できるかっていう部分だと思うので。自分を幸せに出来るのは自分だけなんだから、流されずにちゃんと折々に自分の頭で考えて行こうっていうことですね。現実には女性だけでなく男性にとっても、仕事と家庭の両立は難しいものだと思いますので……。真琴はきちんと選んで、それに付随する悲しいことも辛いことも受け止めて、時には周囲の力も借りてというその柔軟性のある生き方がよかったと思います。信念を持ちつつ自分の考えに固執しない、そんな素敵な生き方を示してくれました。
こやま先生、お疲れ様でした。ありがとうございます!

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