「とりかえ・ばや」episode.51 賭け
東宮様の梨壺は大祓と退位の準備で慌しい様子です。
そんな中でも三の姫は満面の笑みで沙羅を迎えてくれます。すっかり仲良しで軽口を叩き合っているのが可愛い!微笑ましいです。そして女同士の内緒話を。
承香殿で吉野の宮の文を見せられて、全てに得心の行った三の姫、これがまことなら東宮さまが廃位する必要は全くないものを……!と悔しがります。
しかし証拠がありません。
右大将、吉野の宮、そして私。みな東宮様を一心にお慕いし、状況を打開すべく秘密裡に動いています。孤軍奮闘しようなどと思わず、どうぞあなたも我らの同志となって下さい……沙羅にそう説得されて、感激する三の姫。
以前東宮様の進退について帝に直接働きかけようともちかけた時、尚侍は良い返事をしてくれなかった、所詮自分の地位さえ安泰ならば良いのかと……
「あの時は少し……尚侍さまをおうらみ申しました。浅い考えでした。お許しあれ……」
頬を染めて、うつむきがちにそう明かした三の姫、沙羅の胸元に甘えるように額を寄せます。
「恥ずかしゅうございます」
「そのようなこと決してありませぬ」
そう言って心安く笑い合う二人……何これもう可愛い〜!美人さんが二人揃っていちゃいちゃしてるのすてきー!私得!
と友情を深めているところにまたしても、吉野の宮からの文が届きます。
場面一転して内裏の外、貧富の差が激しい都の風景、朱雀門を背に仁王立ちの僧のシルエットーー吉野の宮です。
この朱雀門の前で大祓の儀式が行われるとあって、東宮と主上の無事を念じています。そこへ貧しい者たちが施しを求めて足にすがりついてくるのを蹴散らした吉野の宮、米の入った小袋をばら撒き、有り難がられます。
「吉野の宮さま?」
往来で名を呼ばれた宮は、立派なしつらえの牛車に寄って行き、
「尚侍!!」
と呼ばわって性急に帳を引き開けます。中にいた三の姫は驚きます。
ーーそなたは一体?
ーー私は東宮さまの尚侍です。睡蓮の尚侍は内裏から出ることを主上に禁じられています。反対勢力の何者かに怪我を負わされたためです。今は平癒されてます…。
不躾に覗き込んでくる宮に頬を染めながらも、一生懸命に返事をする三の姫。
怪我を負ったけれど良くなった、と初めて聞く情報に「よかった!」とほっと胸を撫で下ろす宮の、率直で無骨なやさしさに触れて、恥じらいながらも思わずじっと見つめてしまう三の姫……絵に描かれてるのは目だけなんですけど、三の姫の娘らしい好奇心、初めて見るタイプの宮になぜか心惹かれることが余すところなく表現されています。
その眼差しを受けた宮も顔を赤らめ、「すまぬ!」と謝ります。女子の顔をまじまじとみてしまって……と率直に詫びると、こちらこそはしたないことを、と三の姫が返します。互いに飾り気のないお二人……めっちゃお似合い!今まで考えたこともなかったこの二人、意外にしっくりくる!お似合いすぎて萌え死ぬ!
五節の尚侍の忠信は聞いている、わざわざこのようなぶっそうな場所まで出向いてくれたのに粗野な振る舞いをしてすまない。
詫びを言う宮の言葉を否定して、三の姫は沙羅からの文を差し出します。
文を読んで、あなたは信頼のおける方のようだ……と、宮は沙羅宛の返事を書くので少し待ってくれるよう頼みます。
帳越しに宮の真剣な横顔を見つめる三の姫。睡蓮の尚侍が言った通り、本当に私は一人ではないんだ、この方も真剣に東宮さまのことを案じて下さっている、信頼できる人だ、それにしても何と美しく立派な方だろう、今まで見て来た殿方とまるで違っている……知らず知らず、熱っぽい目で宮を見つめてしまう三の姫。
文を書き終えた宮は、ついに証拠の品を三の姫に託します。睡蓮の尚侍に渡してほしいと。
「こ…これが…!」
興奮して礼を述べる三の姫に、宮は硬い表情で返します。
ーー私ではないのだ。これは右大将が命がけで手に入れてくれたものなのだ。
ーーまことです。右大将は今どちらに?
「行方知れずなのだ」
憂いを帯びた吉野の宮の横顔。
思ってもみなかった返答に衝撃を受ける三の姫ーー。
次号に続く!
ここで続いてしまいました。睡蓮が無事でありますよーに!
今回多分生まれて初めての恋を知った様子の三の姫、それだけにこの事実に打ちのめされたのではないでしょうか?今までは正直、右大将に対する東宮の思慕を理解しきれないところがあったのでは……と思うんですが。自分ではどうしようもない思いに身を焦がす辛さを知り、さらに東宮の力になれるのではないかと。
しかし吉野の宮はかっこいい!天然のタラシって感じですね(*´∇`*)おいしすぎ。