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「魔法使いの娘ニ非ズ」7巻(完結) 感想③

「娘」を読み返してみて改めて「非ズ」は大人のお話なんだなあ……と思いました。初音ちゃんが抱えている問題は解決しないまま終わるかもしれない。「娘」の時のようなカタルシスはないけれど、多分それが人生だってことなんでしょう!
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「魔法使いの娘ニ非ズ」7巻(完結)

最終話:前編
パパ(の中身が入った人形)にもう人殺しをさせたくない! と奔走する初音。
どうやら五猿の恨みというのは、ある新興宗教の後継者争いに起因することがわかりました。復讐の相手も殺し屋(!)です。無畏や兵吾は初音を関わらせまいとしますが……。
自分の中途半端な覚悟で周囲にーー兵吾に負担をかけていることに悩む初音。
そこで懐かしい人(?)と再会します。「娘」7巻・26話のゲストキャラの花ちゃんです!最初全然話がわからないくらい意外な登場でした。
パパが苦しんでいることを知り、子供の頃パパが大好きだったこと、でも騙されていたことが許せないこと、陰陽師の仕事をすっぱり辞めてそれでいいのか、辞めたくないのか……相反する気持ちが湧き上がって来て、初音は気付きます。パパも分裂しているんだと。

最終話:後編
ニ体の人形に入ってるのは、「変わりたいパパ」と「以前のままのパパ」。だから人形同士が争っていたんですね。
変わりたいパパ自身の助けで、見事鯉に魔力を封印出来たと思ったら、6巻25話の狐さんたちがお水を持って来てくれました。相変わらずいいキャラ。
とりあえず決着がついて、自分を庇って壊れた操名を抱きしめながら、無畏は初音に自由になれ、明るい世界で生きろと言います。血の繋がった方の父親・無定もそう望んでいたはずだ、と。
「そうですね……」と答える初音ですが、育ての父親を見放すことも出来ないわけで。病院で眠ったままのパパの身体。……鯉のままでどうやってなりたい自分になるんだろ? もう修行はしないの? 生きてるのか死んでるのかわからない状態でずっとこのままなの? よろずオカルト相談で生計を立てている初音ちゃんに何かあったらどうなるの? まったく何もすっきりしないままラストを迎えてしまいました。
最終話のタイトルが「魔法使いの娘」なんですよね。パパを信じきれなくて、向き合うことをずっと避けていた初音が、信じる、あなたと向き合うよ! この先もずっと……と宣言して、逃れられないことを引き受けて大人になるお話。
鈴の木無山の跡を継ぐこと、流派に所属する陰陽師として一人前になること、逆に全てを捨ててごくフツウの女性として平穏に生きていくこと……「誰の期待にも応えない」初音は名前を変えて、新たに自分の家庭を築くのでした。
兵吾が一人の女性として初音を愛している、そしてまた初音も……と、法子さんがスパッと言ってくれたのは嬉しかったですね。役に立つとか立たないとか、そんな問題じゃなく。大事なのは好きな相手と人生を共にすることでしょ、と。
無畏の頭の上で幸せそうな操名も可愛かったです。

いろいろの話。なすゆきへ先生作の二次創作w セルフパロディといいつつ本編の隙間を埋めてくれて嬉しい(*^▽^*)最高でした!
初音の両親のお話ですが、セーラー服の法子さんが……。ながーいお付き合いで「かわいそう萌え」にも歴史があることを感じさせてくれますw 初音の存在そのものにJr.さんが関わっていたとは。
テンテンの初音に対する深い愛情にもほろりと来ましたね……w あんなことまでしてくれるなんて……テンテンかわいい……。しかし初音から家庭を奪って、あちこち連れ回している張本人のパパが「あの子はひとりぼっちなんだ」という皮肉……。初音への愛情には嘘はないんですが、愛は万能じゃないってことですね。
そして朋絵ちゃん! この再会した時、初音は結婚してて、その報告だったんですよね? 「篠崎さん」って言われて、「兵吾ね!」って言ってるから、初音も「篠崎さん」になってるんですよね? まあ恋人関係になったことを伝えたかったのかもしれませんが、「前からわかってるのに!」っていう朋絵ちゃんの反応が優しい。そして初音がめっちゃフツウの女の子っぽくて可愛い! 二人の友情よ、永遠なれ……。゚(゚´ω`゚)゚ 人間関係にシビアな那州作品で(相手に対する批評抜きで)女の子同士がごくフツーに仲良くしているところを見られたのも朋絵ちゃんというキャラがあってこそ! 出会いを考えたら二人がこんなに親しくなるなんて……とほろり。二人とも大人になりましたね!
そして♡「あの日の話」。
もう萌えしかなかった! 素晴らしかった〜! 先生ありがとう!
初音がついに兵吾自身について知りたいと表明してくれて、内心めちゃくちゃ嬉しいくせに、たまたま俺がそばにいたからだ、彼女は心細いだけなんだ、男ってものがまだわかってないんだと予防線はりまくりの兵吾……かわいい。悶える。
無防備な初音ちゃんに愛おしさが抑えきれずキスしちゃうわけですが、ちゃんと受け入れてもらってるじゃん?(^^) 何をあんなにながーくいつか捨てられるかもと怯えて暮らす必要があったわけ?(^^) 初音がいなきゃ生きる意味がない! というのろけ? 初音ちゃんは初音ちゃんで、逃げられる心配してたし……。「それ以上の何か」にとっくになってると思いますけどね。ご馳走様でした!

ライフワークとして続けてくださって全然構わないんですが、現在発売中の「ウイングス」8月号には完全新作のホラーが掲載されているようですね。怖い話読めないんで未確認ですが……。
十五年間楽しませていただいて、ありがとうございました!

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