「銀のスプーン」10巻 小沢真理 感想

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小沢真理先生の「銀のスプーン」10巻です。
講談社KCDX、B6サイズだからデラックスってことですね。こちらも掲載誌のKISSが月2回刊だったころからの長い連載です。後書きにも「世界でいちばん優しい音楽」に次ぐ長さと書かれてました。皆さんの応援のおかげです、と。
自分的には一番が「世界で〜」、二番が「苺田さん」、「銀のスプーン」は今のところ三番目に好きなんですが、それも今後の展開次第かな?と思わせる巻でした。
「世界で〜」は、図々しくもキャラのお名前を勝手にお借りしているくらい、大好きなので、いつかまた語るとして。

以下、ネタバレしてます。

10巻を一言で表すと、主人公のはずなのに、律の出番が少ない!これに尽きます。・゚(ノ∀`)・゚・。
5話掲載の内、レシピ53・54・55が律の妹・カナの話でした。
そして57は親友優の話。
残る56は…ルカの母に新展開が!この56以外はほんと、律は添え物的な感じでした。

カナの話は3話に渡って、中学2年になったカナがいじめにあって、そこからいろんなことを考えるという内容でした。
結論から言うと、いじめがすっきり解決したわけじゃないけど、なんとかやって行くんだろうなって、希望のある終わり方でした。
進級して仲間とクラスが離れたカナは、いつの間にか新しいクラスで(一人)ぼっちになっていて、そのことに夏休み明けにやっと気付きます。自分からみんなに話しかけるのがこわい……と悩んでいたんですが、実際にはクラスの女子が悪意を持って、みんなでシカトしようと決めていたわけなのです。
この辺り、素直ないい子なんだけど、カナの末っ子らしい自己中さが見えます。カナが悪いわけではないけど、元々クラスに馴染む努力はしてなかったわけです。
まあ努力しても、努力のしがいのない相手だったわけですが。
「断るようなやつとは友達にならなくていい」言い切っちゃうP太、かっこいい!
その後、P太のアドバイスを受けて、ちょっとだけ勇気を出したカナの行動がきっかけとなり、三浦美由ちゃんと普通に話せるようになった!と喜んだのもつかの間、彼女もいっしょにシカトの対象になってしまい……。

小沢先生は視点がニュートラルで、お説教じみたところがないので好きです。
中学の教室内の雰囲気を、よくここまでリアルな感じに描けるなーと感心しきりです。
周りに流されそうになるカナの気持ち、追いつめられるみゆの想い、クラスメイトのそれぞれの立ち位置……説明的でなく、エピソードで読ませてくれます
特にカナに嘘がばれた時のみゆの逆ギレが切ないです。
実際みゆは、そうだったらいいなって願望を口にしただけで、虚言癖ではないですよね。あとにひけなくなって、後悔したって言ってるし。自分の嘘を信じてるわけじゃないので。
結局、みゆに対するクラスメイトの制裁に、どうしても納得できないカナは、今度は自分からみゆに話しかけます。ここの二人のやりとりは、「明日からの学校のことはとりあえず考えないことにして」とカナが思うように何も解決してないけれど、お互いに本音をぶつけてわかりあえたカタルシスがありました。泣けます。

カナが親離れしつつある描写が冒頭にあるんですが、元気がないのを心配してお母さんが声をかけた時、
(めんどくさいな…でも話さないともっとめんどくさいから)
と思いつつ、話すのが辛くて避けていたことを、カナは結局全て打ち明けます。親子の信頼があってこそ!
お母さん、カナだけでなくみゆの気持ちも考えて、冷静に受け止めてくれて、さすが年の功。見習いたいけど、なかなか子供の話を客観的に聞くのってむずかしいですよね……。特に友達関係のトラブルは。でも子どもの味方になるって、きちんと話を聞くことなんだな……と考えさせられました。

優のお話は、相変わらず女運ないよね!ってことでしたが、そんな優にまで、「いい年してああはなりたくないよな…」と言われてしまっているルカママが問題です。
ものすごくうさんくさい年下の彼氏との恋が始まってしまったんですが、これどこへ向かってるの?パチンコの開店待ちしてるし……お金貸してるし!
律が知ったらどうなるんでしょう??

11巻は2015年の春の予定だそうです。予告を見る限りでは、律の出番がいっぱいありそうです(*^^*)

<おまけ>9つあったレシピの内、エピソード的に感動だった焼きリンゴを、作ってあげるね~と娘に約束したんですが、りんごの芯をどうやってくり抜くのかわからなかったので、急遽材料の揃っていた、バナナとくるみのケーキに変更しました。

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稲田多佳子さんのレシピですが、もう絶対失敗しないし、美味しいんですよね~。おすすめです!
でも焼きリンゴも昔からの憧れのお菓子だから、そのうちチャレンジしたいと思います。

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