「魔法使いの娘ニ非ズ」 6巻 那州雪絵 感想

[amazonjs asin=”4403622135″ locale=”JP” title=”魔法使いの娘ニ非ズ (6) (ウィングス・コミックス)”] 今までの巻より面白かったので、ちょこっと感想。
表紙の初音ちゃんの表情が可愛い。
普段は怖い話は苦手で読まないんですが、このシリーズと「百鬼夜行抄」は作家読みしてます。
前作が素晴らしく面白かったので続けて「非ズ」も読んでますが、1〜5巻は一話完結の各話の質にバラツキがあるように感じるし、ストーリーの主軸が分かりにくくて進展が遅く感じて、正直惰性で読んでいる感があったんですが、この6巻は面白かったです!
[adchord] 第22話から26話まで。
22話には久しぶりに青石朋絵ちゃんが登場!会社の人間関係に困っていた朋絵ちゃんを初音が少し手助けするお話だったんですが、問題が一応の解決を見た後、朋絵ちゃんにまじりけのない好意を向けられてぼろ泣きする初音がいいです。
朋絵ちゃんの揺るぎない「普通さ」が非日常を生きている初音の心を打ったわけで、
「え?そんなに……」
と、返ってきたこれまた純粋な初音の予想外の喜び方に、朋絵ちゃんも感動しますよね。自分の何気ない行為が相手をこんなに幸福にしたんですから……。
二人が仲良く買い物してる表紙絵も可愛かった!

23話はついに明かされた兵吾の過去の話でした。初めと終わりに電話で初音と話して、「お義父さん」の力を借りて、待っている人のところに帰っていく、別人のように変わった兵吾。
そうかぁ、この流れで鑑別所に入ってたんだ、これ以上詳しい生い立ちは物語に必要ない感じなのかな?初音の「なんで⁈一緒に来てよ!ひとりにしないで……」に超萌えた私としては、今の二人がどういう関係なのかもっと詳しく知りたい!その一心で読み続けているわけですから、もっと!もっと詳しく描写して欲しいです!

24話
母の愛……。そして「フツウじゃないお父さん」のために根無し草のような暮らしを続けている娘の愛。思いの深さが切ない。普通の方のお父さんもいい人で泣ける。

25話
これまた味わい深いお話。
「ああ目が回る。今はずーっと空を見てるよ。何を考えてるんだろなぁ。ああきれいな夕焼けだ」
どこにでもいそうな中年の太ったおじさんのこのセリフ!那州先生の抑制の効いた演出が素晴らしいです!
人間から奪った目を使って、本意ではなく流れ込んでくる景色を見るはめになったのっぺらぼう。けれども目が回るほどにあちこち見回していることが、元の目の持ち主に伝わって来るのです。
何もせずに佇んでずっと空を眺めることなど少年期以降ないだろうと思われる中年男性の、きれいな夕焼けだ、という言葉がものすごく郷愁を誘います。自分もかつて見たことのある夏の日の夕焼け空。何を考えているんだろう。自分と同じようにあまりの美しさに胸が苦しいような気分なんだろうか……。
「ダークエイジ」にも夕焼け出てきましたね。あの頃からずっと一貫して戦うヒロイン像、感慨深いですね。

26話
この話は本来の発表順だと、5巻の第21話の前になるんですね。21話が前後編だったためコミックスに収録する際に順番を入れ替えたようです。でも20話はパパの今後に関する話で、初音の行動の真相も明かされるので、やはり発表順に読みたかったですね。
ワンピース姿で髪をちょっと結んだ小さい初音ちゃんがとにかく可愛い。この生活をしていた時も、初音は幸せだったんだよね。

何巻まで続く予定で、今はどのくらいの地点なんでしょうか?ページをめくるのがもどかしいほど続きが気になるということはないですが、今巻のようないい話が続くとキャラに愛着もあるし、いつまでも読んでいたい気になりますね。
世の中に自分の思い通りになることなんてほとんどなくて、晴れ晴れとした気分でいられる日は長くは続かなくて、でもいいことやきれいなものや心から感動して泣きたくなるようなこともいっぱいあるよね、っていうこの那州ワールドが、グリーンウッドの頃から30年!今も読めることが幸せ。

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