あ〜幸せ!この読後感の爽やかさ!
一人早朝の明るい日差しの中で読んだんですが、文字通り床を転げ回ってしまいましたよ、面白すぎて!!
まだ未読の方がいらしたら、ネタバレを我慢してすぐに読むべし!
とはいえ……帯がネタバレしすぎでは?と思わないでもないですが!安心して買えたから良し。この帯は裏表紙側にもちょっとした仕掛けになっているのが、なお良し!
隅々まで萌えますね。
以下ネタバレありの感想です。テンション高め注意です。
[adchord]
「海月と私」4巻(最終巻。さみしい……)
第十三話
梢さんが姿を消して、途方に暮れる旦那さん……宿の切り盛りも一人では上手く行かないし、食欲もないくらい心配なのに、待てど暮らせど電話の一本もない。
すり寄って来た猫に「…梢さん…?」とか言ってんのをすがやんに聞かれるという体たらく。
髪を切りに行くと言って出かけた梢さんですが、ちょっとしたウソをついていたので、自分の意志で姿を消したんだろうと警察には届けず、交通事故などのチェックだけする旦那さん。しかし手がかりがあるかもとすがやんに言われて、ついに梢の部屋を改めます。
本当は携帯を使っていたこと、偽名であることに加えて、下着が干したまま……旦那さんは「春日亜沙美」の足取りを追い始めます。
件の雑誌記者に連絡を取ると、交換条件として例の仲居について教えてくれと。
二人は情報を共有することに。亜沙美は赤羽の母親の店で働いていたと。しかしその店「和」はすでに閉店しているーー旦那さん、車で東京へ向かいます。強引に付いてきたすがやんと一緒に。
車内のラジオが衆院の解散、総選挙を告げます。仕事ほっぽりだして、何でここまですんの?とすがやんに聞かれ、雇い主としての責任だと答える旦那さん。梢さんと違って、嘘が雑です。
聞き込みもすがやんの立ち回りに助けられて何とか、和のママには内縁の夫がいたこと、田舎に一緒に行ったんじゃないかということがわかりますが、亜沙美については手がかりがないまま。
旦那さんの態度を不審がるすがやんに「娘かもしれない」ことを打ち明けると、さっそくお約束の「お義父さん!」ときましたが、必死さの正体に納得がいった様子。
亜沙美がほぼ梢さんと同一人物であることがわかったところで、二人は地元に引き返します。
一週間留守にしたとびうお荘のポストに、直接投げ込まれた植木屋からの封書が。中身はなんと、梢さんからの手紙でした。
顔も知らない父親が生きていることを母親から聞いて、無性に会いたくなったこと。自分は意外に感傷的な人間であること。
父親は竹本裕之であると。
たまたまとびうお荘に仕事を見つけることが出来て、「関係ないのにお世話になっちゃって」大変快適であったと。……
いつのまにか梢さんに心を奪われていたことを、やっと認めた旦那さん。梢さんの人生において、自分が「完全なる脇役」だったことを今更知らされて、大ショック。
でも。梢さんは確かに嘘がうまいけど、それでも。
「私に万が一のことがあったらこの手紙を公表してください」
さらにもう一週間休業の張り紙をして、旦那さんは追いかけます。梢さんの足取りを。
第十四話
得意先の醜聞とあって、話を渋る植木屋さんに、竹本の弱みを握っているから後の心配はない!と促す旦那さんかっこいい……。
どうやら梢さんは「お宿たけもと」の離れに軟禁されているらしいということが判明し、偽名を使って旦那さんは単身乗り込みます。
露天風呂の竹垣越しに、言葉を交わすことに成功しますが、梢さんは私は大丈夫ですから!旦那さんは関わらないで!と言うのですが、余計に不安が募るだけで。
竹本の秘書が関わっていることもはっきりして、旦那さんついに地道な方法で強行突破!
半年前の自分なら考えられない、無茶苦茶なことをして、こんなにも必死に、誰かのためにーー。万感の思いで開いた襖の向こうには、部屋付き露天で寛ぐ全裸の梢さんが……。(多分笑うところ)
監禁されてるけど、困ったことはないし、とにかくこの宿快適で!といつもの調子の梢さん。父娘の対面はまだで、秘書の言うままここで待ち続けていて、興信所や記者が訪ねて来た経緯はおろか、なぜ竹本本人が、知らぬまま別れたはずの自分のことを知っているのか、梢さん自身にもわからないと。
それでもこうなったからには仲居は辞めます、お世話になりましたと頭を下げられて、全て独り相撲だったのか。消えてなくなりたい。と男の純情を押し殺して和やかに笑い、これにてご破算となりかけたところに、やってきましたよ、父親が。
旦那さんを次の間に隠して、冷静に対応する梢さんに対し、すでに激昂している実の父親が色々暴露してくれました。
母親真佐美の情夫から、このことで脅迫されている。
そもそも堕ろせと言って、十分な金を渡した。
この2点は完全に梢さんのあずかり知らぬことだったようで……。顔色を失くした梢さんが切ない。
何が目的だ。金か!
…じゃあ認知。
売り言葉に買い言葉。
この女の口を、どんなことをしてでも塞げ。
最高にエスカレートしたところで、代議士先生は退場。
誰にも聞かれたくないはずのことを聞いてしまった以上、好きな女が今まで見たこともない顔をしてる以上、ここで熱くならなきゃどうする!
「逃げるぞ‼︎」
旦那さん、超かっこいい!
第15話
ページをめくると、「うちの大事な元従業員が心配で」人助けだ!って旦那さんが日和ってる……かっこ悪いなーもう。
しかし首尾よく逃げ出せました。
車で逃避行。母親のいる富山まで、責任を持って送り届ける!と頑張る旦那さん。
しかし頑張りすぎて車内が微妙な空気に……。捨て身の笑い話を提供しようと、梢さんのことを自分の娘かもしれないと疑っていた話をします。
真剣に驚いて、考えてもみなかったと、梢さん。……本当だ。脇役感ハンパない。しかも作り笑顔で、その方がどんなに良かったか!と言われた日にはもう。
知りたかっただけなのに、知らない方がマシだった。そう呟く彼女を慰めることも出来ないまま。
途中具合を悪くした梢さんのために寄ったホテルで、「君のために何かすればするほど」君が困るのは何も返せるものがないからかと、半ば分かっていながらも抑えきれずに、
「君を失いたく」ない、そう告げた旦那さん。頑張った!
その答えが「すみません」。ここまで言われたら、未練を残す余地もない……。これはもう無理。立ち上がれない。完璧に振られましたね……。
母親の元に無事送り届け、情夫はとっくに追い出されていると聞いて安心し、別れ際にはとびうお荘を褒めちぎられて、綺麗に別れ……と思ったら。車でやって来た例の秘書、ナイフを手にした狂人に、梢さんが拉致られた!
最終話
車で現れた例の記者に拾われて、何とか梢さんを追いかけることが出来た旦那さん。
たけもとの行方不明の支配人、ここで繋がりました。伏線回収!
秘書は精神状態が結構やばくて、目的のためには何をするかわからないような人物だそうで、生命の危険を感じた梢さん、必死にSAのトイレから逃げ出します。
そしてちょっと気まずく、追って来た旦那さんと再会……。
さすがに予想以上に危ない局面とあって、梢さんも前回のような綺麗事を捨てて本音をぶちまけて、何とか旦那さんを遠ざけようとしますが、ここで。
旦那さんの方も本音で。ロマンチックな理想なんだけど、梢さん自身が何よりもそうありたいと思っていることを。
二人ともがやっと等身大の自分をさらけ出して、今初めてのように向き合うこの一連の場面、感動!絵もすごくきれいだし、作品タイトルに繋がるモノローグも最高にきれいに決まってます!
父親とケリをつけるために、とびうお荘に呼び付ける電話を入れて、一足先に戻った梢さんが、夕日に映える懐かしい宿を見て、自然に浮かんだ涙を自分で訝しむシーンには思わずもらい泣き。自分の居場所に戻れたから泣いてるんだよ……と教えてあげたい。この世で一番美しい風景なんだと。
日が暮れて、旦那さん立ち会いの元で、父娘は話し合いをします。
まあここは父親にも良いところは一つくらいあったみたく、うーん、梢さんがいいならいいよ的なちょっと拍子抜けな展開だったんですが、もう完全にタイミングを外した例の秘書が現れて、すでにその必要はないのに、ナイフで梢さんを襲います。
このあとはもう!書く必要もないくらいです。こんなきれいに収まるところに収まるとは。
最後のシーンもセリフもこう来たか〜ってにやにやしてしまうこと請け合い!
面白かったです!読めて幸せ!
しかも最後に描き下ろしの後日談が!!旦那さんも梢さんも、二人とも可愛くて萌え死ぬ……!!スキンシップ最高!
3巻の感想はこちら