「紅茶王子」でも思ったんですが、やっぱり背表紙がダサい。おまけにコミックスの表紙に掲載誌が書いてあるのがすごい、便利だとは思うんですが……かっこよくはないかな〜やっぱり。と言いつつリアル書店で探す時は分かりやすくていいですね。あと先生のお名前のフォントがきれい。
以下ネタバレありの感想です。全体的に辛口なので、作品に満足されている方は読まないで頂けると助かりまーす。
[adchord] なぜ「花花」には辛口になってしまうのかというと、やはり期待値が桁違いに高いからかと……申し訳ない。何十回と読むほど「エイリアン通り」が好きで、ロイがL.A.に行くまでの「CIPHER」は神だった……という記憶がそうさせるのでしょう。
休眠打破
前巻からの続きです。お遍路の話。
憲ちゃんの恋人・葉月さんの元ストーカーが亡くなって、その幼馴染であるシオちゃんが、仕事を辞めて四国巡礼をしているのをみんなで応援しています。
と、かいつまんで書くとものすごいストーリーですが、あくまで淡々と。陰(静)が極まって陽(動)になる、その逆もしかり……と言うように、辛い気持ちの置き所をがむしゃらに求める行動によって、心が次第に静穏に変わっていく過程を、憲人はシオのブログを通じて見つめ続けます。この大筋には問題ないのです。最後に思いがけない贈り物があって、関係者一同、事件に決着をつけた形です。
ただ主役はあくまでも憲人ということで、挿入されるエピソードが微妙なのです。
・「土蜘蛛」の動画の件。子どもの発表会なんだから動画の方がわかりやすいのは当たり前では? →日高さんに借りを作るためのエピだが、憲人の考えが浅すぎる。すぐに反省して教え方を変えるのはカッコいい(ジーンズで稽古もいいエピ!)。そのすぐ後、シオの言葉として「“誇り”が“おごり”になっちゃってたかも」と入るのがくどいというか、靴ズレでその表現…? と微妙な気分になる。
・恭子先生は素敵。笑顔がとっても素敵だし、言葉もベテランの重みがある。憲ちゃんとの対比もいい! ただ、シオの言葉で先生の人生の行程をまとめるのはやめて〜と思う。それが無くても十二分に伝わっているし蛇足。
・「二人きりだと食事もなんだし」って、否定しているとはいえ食事が出て来ることに驚き。お弟子さんでめったに会わない相手ですよ、同僚ならともかく。おまけに「葉月さんの知らない人」ってなんだ。誤魔化す意味がわからない。どれくらい世話になったのか経緯を説明しなきゃ答えようがないし。葉月の「だいっきらい!」もおかしいし、とにかく二人ともおかしい! ごめん、聴いてなかったと言えばいいのに、憲人はなんだってこんなに不誠実なの? 葉月は事前に、今日はあなたのために弾くね、バレンタインだから。ってメールでもしとけばいい。
そしてこの人たち、喧嘩して相手の機嫌を伺う時でさえ、さっきはごめんて言わない派。しかも電話じゃなくメール。そして基本無視。
……読むだけでストレスたまる!
・しかも気持ちがすれ違うのは付き合いの長短が問題じゃないよね? 相手が目の前にいる時には別のことを考え、いない時にあれやこれや勘ぐってばかりだからだよね?
・「友チョコ」いくらなんでもありえない。中学生なの? 望さんも気を回しすぎてエスパーみたいになってるし、望さんから返すように憲人が言うのもどうかと。迷惑かけてごめん!って持って帰りなよ……ほんと望さんは寛大だ。
そしてこんなことがあっても頑なに電話しない・会わないというところが、ストーリーありきになっていて違和感があります。
・憲人が「自分の忙しさで頭がいっぱいで」って気付くところ、完全にただの友達対応って感じですね。頭がいっぱいのはずなのに気付くと想ってしまっているのが恋なのでは……付き合いたてで、ケンカ中なのに。
彼女のお父さんに花を預けるって普通に考えたら超絶ハードル高いことは出来るんだよね〜。カード添えるとか、メールで一言送ればいいのに……。憲ちゃんが気遣いのないキャラならともかく、かなり繊細な部類の人だからちぐはぐな感じ。そしてシオのブログにはマメにコメントするw
・彩紀ちゃんの進路をみんなで話し合う食事シーンは、あーもうこの後はみんなバラバラになって見られないのかな? と思うと感慨深いです。「言葉にできない」は、あえて憲ちゃんの方から飲み込んだ言葉を西門に言って欲しかったな、お兄ちゃんとして。お兄ちゃんやってる憲人、いいなーと思うので。
・一つのエピごとにシオが良いこと言って総括するこの形式、とにかくウザい。シオはいい子なのに……。
・しかしケンカして一ヶ月、直接話し合わないのって自然消滅コースなんじゃ? と思うけど、全くそんな心配してない憲人すごい。
・琳さんとは最近の仲なのにちゃんと親友っぽいなー。男同士の絡みはいい感じなのに。カラオケ楽しそう。
・「突然来ちゃいました」を何とも思ってない独身女性にするところが憲人だー。結局したいことはするんだね。
自分だって何も言わずに仕事のついでに来てるのに、どうして葉月に相談されないことにそんなにショック受けるんだろ??
・振り返って笑ってる写真でやっぱりうるっと来ました。でも智哉がしたことを考えたらこんないい感じで終わっていいのかな〜とも思うんですが。遺された人が吹っ切れたことが良かった……のかな?
・やっと憲ちゃんが謝ったんだから私こそ……とか言えー! 読者がすっきりしないから!
そして「おまえの大事な人」で一瞬たりともケンカ中の恋人を連想しないって、さすがにありえなくないですか? 普段はエスパー並みに鋭いのに。こういうところ、筋書きのための筋書きって感じ。
色々書きましたがつまり、この話は今私のための話じゃなかったということかな、と思いました。成田先生にとっては必要な物語。この旅をしたかったのは先生なのかな……と。歳を重ねてくると、いつのまにか失くすばかりになってしまう。その中でも特に自分にとって辛いことがあった時には、こんな風にサヨナラをするためにも心の旅が必要なのかと。本当に悲しくて惨めな時って人に話したり出来ないから、最後にシオが憲人に話せたのはやっぱりよかったって思います!
しかしやっぱり、憲人は優先順位を間違えているような気がしないでもない。
Something Old Something New
ゴミ屋敷編。
・冒頭に出てくる「ドラマ」が何のことなのかすでにわからない。
・自分が買ったチョコなのに何が入ってるか知らないとか……。さすがに最初のバレンタインなのに、ないない。でもこの三人が仲良くしてるのは和むので好き。いい意味で遠慮がない感じで。
・自宅に琳さんが来ると聞いてひそかにガッツポーズの彩紀かわいい。憲ちゃんが自画自賛してるところも。こういう明るいノリ、らしくて本当にいいからもっと読みたい!
・「臭い」が出てきてシャンパンとつながるw 強引だ〜。
・「リストラされて」ゴミ回収に〜ってちょっと失礼なので「」内を抜いたらよかったのに。
なんとも言えない、どうなるのかさっぱりわからない導入なので、次巻を読んでから書くことにします。
登場人物の年齢層が高いので読みやすいですね(^^)