最終ページの香菜・陽・晶のカット、これをカラーで見たかったな〜。それで裏表紙は町長・入市さんのモーニングで!ベッタベタに。
リア小だった頃はむしろ、ラブラブウエディングにそんなに興味ないし、こういう後日談なくても良かったけど、年を取った今こそ見たい、この不思議。
以下ネタバレありの感想です。
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43話
陽と香菜、初めてのキス。
大きな瞳からポロポロと涙がこぼれますが、「あやまらんから」と陽。何も言わず逃げ帰った香菜ですが、生まれて初めてのキスにびっくりしただけで、満更でもない様子(^^)目が大きすぎてちょっと怖いけど、可愛い。二人とも可愛いなあ!
町長さんのリコール問題でそれどころじゃないと思うのに、陽のーー男の子の考えがわからずジタバタする香菜。松木さんとつきあってるんじゃないの?誰にでもあんなことするの?と。
一方いつものように入市邸にやってきた晶。ドアを開けるとダンボールがあちこちに積まれ、入市さんが引っ越しの準備をしています。
「入市さん、まさか」町を出て行くの?問い詰めようとした晶ですが、いつの間に入って来たのか町長さんがいて、入市さんに思いとどまるよう頼みます。
ここの見開き2ページ、まんが的ですごくかっこいい!3人の表情も構図もセリフも全て決まってる!まんがの教本に載せて欲しいくらい過不足なく読みやすくて美しいです。
俺たちの気持ちは間違いなのか?俺のためにいてくれ、ここにーーあとで香菜には「説得」したってカッコつけてますが、実際は泣きついてます。
フラワーガーデンで偶然会った香菜と町長さん。悩める香菜の話を聞いて、キスする振りをして本当の気持ちに気付かせてくれます。初恋の王道展開をていねいに描いてくれて好感が持てます。
”本当の気持ちを一番大切にしよう”
それって…むずかしいね。簡単なことなのにむずかしい。
香菜の言葉は町長さんにも刺さります。むしろ町長さんの方が、簡単なことを貫くには、他人の何倍もの労力が必要なんですから……。
そんな中で開かれた役場での公聴会で、町長と町の住民は完全に決裂します。
44話
香菜は町長のリコール阻止のために奮闘します。それはもう恋なんて関係なく、自分の町を自分で何とかしたいという気持ちです。
説得に立ち寄った松木さんの家で、陽のことをどう思っているのか聞かれて、何とも思ってないとは言えないと答えます。
子供が頑張る中、夜中に車で町長さんの家に寄った入市さん。
「居場所ってやつを見つけたと思ったんだがな」
苦しむお前を見るのが辛い、もう無理だ……と去っていくサーシャ。町長さんの好物のロシア料理を残して行きました。
「おれはあきらめない。この町を豊かにするんだ!」そうしなければ結局人口の流出を止められず、いずれ町がなくなってしまう。町長には町長の信念があり、失った愛に涙を流しつつも、引き返すことは出来ないのです。
町の大人の説得を続ける香菜ですが、陽の件で松木さんのお友達から吊るし上げをくらいます。中学生っぽく「ビッチじゃん」「ちょっとかわいいと思って」など責められますが、本人に直接聞け!と晶が正論で止めに入ります。
友達は盛り上がりますが、ハッキリ振られるのが怖い松木さん、お互い冷却期間をおいて、どっちも当分陽くんに接触しないで結論を出してもらおうと香菜に提案して、香菜もそれを受けます。
女子の描き方、それぞれの性格がハッキリしてて超上手い!と感心するんですが、ここで注目なのはやはり、二人がキスしちゃったことを小耳に挟んで、幼馴染として内心ちょっとフクザツに照れくさい晶の可愛さ!
そして約束を守って陽を避ける香菜に、勝手にキスなんてしたことで負い目がある陽が、やっぱり俺のこと嫌いなんだな……と誤解する王道展開。た、たのしい……。
45話
松木さんと陽が店先で会って少しだけ会話するんですが、松木さんも陽の本当の気持ちはわかっているようで、彼女の涙を見て立ちすくむ陽。
道の反対側からそれを見ていて、自分も話したい、せめて誤解を解きたいと思う香菜は車道に出て転んでしまいます。
すぐに陽が助けて、泥で汚れた顔を袖で拭いてくれます。約束を守って言葉を発しない香菜の目が言葉よりも雄弁に気持ちを語り、思わず抱きしめそうになる陽ですが、人が来て未遂に終わりました。
ただ見つめ合っただけで、あまりの幸福感に、胸が苦しくて泣きたい。他には何もいらない。町長さんの時とは違う、生まれて初めて感じる気持ち。
町の人々はもうリコール後のことを考え、他の誰が町長になっても隣の市との合併は避けられない、しょうがないといった雰囲気。
町に漂う閉塞感、まんがにも行き詰まった晶は、入市さんとの思い出の防波堤にたたずみます。
ここでかつて晶と入市さんが交わした会話、自由と孤独、幸福と不幸、愛という名で相手を犠牲にしてはいけない……、入市さんは晶を本当に可愛がっていたんですね。晶もまた入市さんの居場所の一つだったのに……。
何があってもまんがは描き続けよう。荒れた海に晶は誓います。例え孤独でも、不幸になっても。
そして町に降り続く雨、雨、雨。町長も反発されながらも町中を走り回り、晶も香菜の家が古いので、心配だったらうちにおいでとお母さんに言われて来てくれました。
そして陽はトミエさんの家へ。
最終話
はこちら。
通して読むと、まとまってて本当に面白かった!45話の晶と入市さんの会話、本筋に入れると浮くかなってところを上手く回想としてあったり、香菜が恋を自覚するあたりもありきたりなんだけどスムーズで、とにかく掲載誌にあわせてわかりやすくて、それでいて大人の鑑賞にも耐える構成がお見事!絵も書き込みすぎない背景で、白と黒のバランスが絶妙で、キャラの表情がいいし、少女まんがらしい綺麗な描線と華やかさで、あれ?もっと売れても良くない?と今更ながら疑問でした。とっても面白かったです。
後日譚「恋と軍艦アナザー」前後編
高校生になった晶が主人公。なかなかまんがで芽が出ない。色んなことが停滞中。
香菜と陽はラブラブ。こぼの実もちゃんと継続しているようです。
遠藤さんちののんびりまったりぶりに嫌気のさした晶が、ごちそうさま!いろいろ!
と吐き捨てて帰るのがおかしい。
入市さんは今でも「ヤンガマ」の人気作家でした!入市さんも何があってもまんがだけは描き続けているのが嬉しい!だけど、プロになったら会いに行こうと決めてるのに……と、これも晶を追い詰める要因の一つになっているようです。
陽くんは電車で一時間かかる高校に一人通っていて、やっぱりモテモテ。香菜は毎日駅で帰りを待っているんですが、二人が並んで歩く時、お互い相手が自分を見てない時、相手を見つめている描写がツボでした。陽も香菜も幸せなんだね……!萌えるわ〜。
遠藤さんの彼氏かっこよくていいな〜。篠原さんは少女まんが描いてるのに彼氏いなくてリアリティ出せるの?と教室で女子トークしている時に冗談を言われて、考え込む晶。
東大に通う「ツヨシくん」、頭いいだけが取り柄のお兄ちゃんの友達。晶とはスカイプする仲……というか、ずっと晶のこと好きなんだね。
夏休み、談構社に持ち込みに行き、絵が雑。恋愛感情が描けてないと結構致命的なことを言われ、おまけにすごい美少女・お嬢様・まんが歴半年の天才という恐るべし投稿者に会ってしまい、へこみまくる晶。もう描けない……で前編終わり。
後編はツヨシくんとのデートから。とっても楽しみにして飛行機で来てくれたツヨシくん(晶のことを世界一かわいいと思ってる)なのに、デートの取材したかったの。キスとかしてもいーよと超投げやりに言われて、ツヨシくん激怒。
とぼとぼ家に帰った晶のもとに、前編で出た美少女が訪ねてきて、まあつまりあなたのコンプレックスに負けた!人生になんの不満もない自分に描けるものは所詮一過性のエンターテイメントでしかないからみたいな、わかるよーなわからないよーなどうでもいいことを言って、晶の自信を取り戻させてくれて、帰っちゃいました。まあここはエピソード的にちょうどいいものを選んだだけかなと。
ツヨシくんの去り際の一言、僕は君のまんが好きだよ。ーーそれはつまり晶の全部が好きだよってことですから、ごめんなさいと素直に謝る晶なのでした。
エピローグ!
アヤさんは女優の道を諦め(笑)元クラスメイトの大海くんと結婚して水産工場を継ぎました。お取り巻きも相変わらずで、忙しくて幸せそう!
ツヨシくんはなんと晶のそばにいたい一心で、小舟町の町長になったものの、まだ結婚してもらえてない。かわいそう。
香菜は男・女・男、そしてお腹に一人と4人のママだけど相変わらず元気で可愛い。おばあちゃんと晶におかず持って行くね、と手を振る先には、畑仕事を頑張る陽がいます。幸せいっぱいだあ。
猫を抱いた政治家のポスター、山下くんは参議院議員のようです。
晶は「なかよち」の連載作家。元入市邸に住んでます。
「ヤンガマ」で連載はしているけど、もう日本にはいないらしい入市さん。でも二人はきっと一緒にいて、幸せに暮らしているんだろうという香菜。
私たちこうして、いつでも二人が帰れる場所でありたいね、そう言ってお茶を飲む二人。
最後の香菜のセリフ、素晴らしい!脈々と受け継がれてきた少女まんがの系譜といった感じで、この長い青春の物語を締めるのにこれ以上ないくらいしっくりきます。
……久しぶりに読み返して、なんだかべた褒めしてしまいましたが、4年間楽しみに読んでいた読者に報いてくれる、素敵なラストシーンでした。香菜と晶の友情は永遠です!