「バラ色の聖戦」98話 感想 Kiss 2016年10月号

最終回が掲載予定の2017年1月号の発売日が近付いて来ましたね……!
といっても問題や伏線は99話までに片付いてしまったので、後は大団円を見るだけ、という安心感もありますが。
急いで10・11月号の感想行きたいと思います。
以下ネタバレありです。
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「バラ色の聖戦」Stage.98 二人だけの戦い

「最終オーディション、スタート!」なんですが……。
茜子の母の訃報を受けて、すぐにまどか社長に電話を折り返す浅野。
こっちはオーディションが終わり次第お通夜にかけつけるつもりだけど、浅野くんはまだ東京?大阪まで来てくれるって言ってたけど……どうする?
浅野はまどか社長の問いには答えず、真琴に電話をかわってもらいます。
「真琴はショーに集中しろよ」
「うん……浅野さんはーー?」
思い切ってたずねる真琴に浅野は答えます。
そっちに行きたいと思ってるーー。
真琴の一世一代の勝負だ。すぐに行くよ。……とは、浅野は言いませんでした。
(茜子の所にもいってあげたいんだねーー)
浅野の本心を悟る真琴。そういう情の深い、大きな愛を持った男を好きになってしまった。仕方がない。
「いってあげて茜子の所に」
真琴も答えを出しました。
「心配しないで。私 頑張るから。力一杯紗良と戦う」
だから、一人で泣いてる茜子に寄り添ってあげて。
「……ごめん」
茜子の様子を確認したら、すぐに大阪に行くから。
わかった、茜子をよろしく。そう言って真琴は電話を切ります。
会話を聞いていたまどか社長は真琴を気遣いますが、オーディションに集中します、と真琴は気丈に答えます。
きっと浅野さんはここへは来ないだろう。茜子だけじゃない、浅野さんだって、本当は今でもまだ茜子を忘れられずにいたんだろう。二人を隔てるものがなくなった今、私と浅野さんはこれで終わるのかもしれない。
滲んだ涙をぐいっとぬぐい、真琴はオーディション会場に向かいます。
(泣くのはすべてが終わってからだ)
家族ぐるみで付き合って、子どもたちも懐いていたのに、よく決断しました、真琴……。泣いてすがっても、一度離れた人の心を変えることは不可能だから。仕事と男、そんな単純な図式でもなく、浅野は浅野、真琴は真琴らしく自分を偽らずに生きるために、自立した大人として頑張りました。真琴えらいな……。全然偽善的な行いじゃないです。

憔悴しきった様子で病院の霊安室に座っていた茜子は、突然現れた浅野に驚きます。
「お母さん……おだやかな顔だな」
「私の手を握って『茜子、頑張るのよ!って……」
最後に言ったの。しっかりした声で急にね。びっくりした。
「最後まで娘のことだけを心配してたんだな」
浅野のその言葉に、無理に笑顔を作っていた茜子の表情が崩れて、堪え切れない涙が溢れます。声を上げて泣きながら、浅野の胸にすがる茜子。
「ごめん、今だけーー今だけこうしてて」
真琴に対する遠慮を忘れないまま、それでもすがりついてくる茜子を、浅野も抱きしめます。
(私たちずっと一緒よーー)そう笑い合った懐かしい日々を思い出しながら。

遠く大阪ではまもなく上急百貨店のリニューアルオープンの時間です。
「クロンヌ」のショーに出演するモデルたちが集められます。
「ワンピースにジャケットやストールをはおっていただきます」とデザイナーの羽鳥さん。すべて手仕事で施された刺繍やビジューの見事さに圧倒される真琴。当然値段はどれも5万円以上の高価格帯商品です。
表現は自由、一人ずつ1ウォーク、ただし紗良と真琴はラストに2ウォーク。しかも二人並んで同時に。
なぜならこのショーはお二人のパリコレ出演を決めるオーディションを兼ねているからです。「VENUS」モデルがこのイベントに参加することはお客様には告知していません。この条件下でお客様の反応がどうなるかーー楽しみにしています。
羽鳥がそう締めくくり、決戦の火蓋が切られました。

デパートの開店と同時にたくさんの客が入店してきます。吹き抜けのイベント広場で夕方からファッションショーだって!とはしゃぐ女性たちが各ブランドの展示ブースを巡ります。しかし「クロンヌ」は目の保養ではあるがデザインも価格も日常的でない、と敬遠されています。
かつて「普通の主婦」だった真琴は、一般客の取り込みの難しさを痛感します。特別な事態でもない限り、こういう服は着ないし買わない、それはわかる。じゃあどんな表現をすればいいの? 紗良はどう出てくる⁈
メイク中も必死に模索する真琴の元へ、実家の家族が顔を出してくれます。大阪名物豚まんを渡したりと真琴の母とまどか社長は歓談。
真琴がふと気付くと、クロンヌの販売ブースになんと元夫・敦司の姿が!
多分ショーを見るために来てくれた敦司、このフェイクファーは多田野繊維の商品ですか?と店員にたずねて、感心している様子です。ここで敦司が登場とは……まさかの元サヤ?とはらはらします!
準備の出来た真琴に「ウェイブ」一同から応援メッセージよと、スマホを見せるまどか社長。そこには美鈴の写真を抱いたモデル仲間たちが……。
浅野からはまだ連絡もありません。
覚悟を決める真琴。
ショーが始まります。クロンヌは2番手。
客席は今まで経験して来たショーとはまるで違います。泣く子供をあやす母親、素通りして行くカップル、物を食べながらお喋りしながら座っている若い女性たち。ショーはあくまで買い物のついで、暇つぶしでしかない客たちなのです。
舞台袖で待機する間に、ここまでの道のりを思い返す真琴です。辛いこと、楽しいこと、さまざまな出会いと別れを経て、今ここにいる自分を信じるしかない。
(ここまで来たらもう戦う相手は紗良じゃない。自分自身なのだ)
祈るように閉じた目を開けて、胸を張って上を向く真琴ーーついに出番です。ほんの数分間で真琴と紗良、二人の未来が決まります。
二人が揃って出て行くと、有名人の紗良が出ていることに観客がざわめき出し、みるみる人が集まってきます。会場中が一気にステージに注目し、舞台が整いました。
真琴と紗良、二人ともしっかりと狙いを定め、的確な表現で互角に競い合います。
ところがターンしてもう1ウォーク、となったところで不測の事態が!
ランウェイにまだ1、2歳の子供が這い上がって来てしまったのです!
立ち止まるわけにはいかない、どうしようーー焦る真琴の前で、紗良は不敵な笑いを浮かべ、手を伸ばして子供を抱き上げました!
片手で子供を抱いたまま、ショルダーバッグの金具を付け替え、ウエストに固定します。そこへ子供を座らせ、はおっていたファーマントで包み込む。一連の動作をなんとも優雅にやってのけた紗良。子供を抱えて、何事もなかったように堂々とウォーキング。
ファーマントを抱っこひもにアレンジした紗良に会場中から賛美の声が上がります。なんて素敵。すっごいオシャレなママになれるのね……!
豪華で非日常的なクロンヌの服に、紗良は一気に身近なイメージを作り出しました。
これは勝負あったかという、この流れを真琴は止められるのか? 起死回生の策は?
というところで99話に続く。

漫画の流れで見るとほんとに紗良のとっさの判断が素敵で、真琴やばいじゃん!って読んでる方も焦ります。紗良も堂々として、表現を楽しんでいるのが伝わって来るんですよね。正々堂々と戦ってまさかの負け?

命運をかけた99話はこちら!

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