「サムライファイト!」樋口大輔 感想 ( ホイッスル次世代編)②

「サムライファイト!」樋口大輔 感想 ( ホイッスル次世代編)②

[adchord] さて、衝撃の手繋ぎサッカーのあとも特訓は続き、2週間後の練習試合の日がやってきました。
蒼は3週間くらい日本にいるようですが、夏季休暇中なんでしょうか?ページがとっても足りない感じで、説明のない部分も多いので、色々考えるのが楽しいです(^ ^)
試合当日、誰よりもこの日を楽しみにしていたはずの朱羽の姿がありません。
なんと駄目オヤジがわざわざ外鍵を取り付けて、朱羽を納戸に閉じ込めてしまったのです。
朱羽には弟妹が一人ずついるのですが、母親が隙を見て2人を連れて行ってしまったこともあり、完全に八つ当たりです。みんなで俺を馬鹿にしやがって!という。
そんなこととは知らない皆は、蒼の父親を見てから、朱羽の様子がおかしかったという話になります。
蒼のうちが羨ましい。朱羽もそう思ったはずだ、と流星が言います。
「サッカーする上で何のストレスもないなんて……おれもうらやましいもん」
ページがないので蒼のリアクションは苦笑のみです。おまけに『両親そろってサッカー選手で』って、そうなの?!イリオンも??詳しい説明はないんですが、それは確かにレアな環境かも……。
何せ流星ママときたら、今回も場違いな海外の有名チームのスカウトを連れてきて、的外れなアドバイスをしたりと流星のストレスMAXなところに、マリナスの元チームメイトからも聞こえよがしに悪口言われたりと散々です。ほんと我慢強い子…。

一方朱羽のことで頭を悩ます蒼に、相手チームの少年が声をかけます。
「竜兄さんに君のこと聞いて今日の試合楽しみにしてたんだ」
桐原虎治(トラハル)くんです。とらはる……めっちゃ素直そうで可愛いミニタツボンなのに虎治……。「小パ…」て、さすがにその年でその呼び名はないだろ!とツッコミどころが満載です。
この水野の18歳年下の弟は、文庫版最終巻の15巻の書き下ろしで詳しいいきさつを見ることが出来ます。ええ、買っちゃいましたよ全巻セット!桐原家が円満で何よりです。

朱羽がいないことにどうしても納得がいかない蒼は、試合が始まる直前に、朱羽を連れに行ってしまいます。流星も付き合います。
玄関の鍵が開けっ放しのアパートで、納戸に閉じ込められた朱羽を見つけた流星は言います。
「こんなのしつけじゃない!ギャクタイだよ!」
その日の夜にはドイツに帰らなければならない蒼は、日本で出来た初めての友達とこんな別れ方はイヤだと訴えて、鍵を開けられる大人を探しにいくのですが…ここでまさかの!不破くんが登場です!自転車で!白衣で!三白眼で!よくこんな得体の知れない大人を呼び止めたな、蒼!!

主力を欠いた練習試合は5ー0と一方的な展開になっています。
この間にも、ブルネットの娘ちゃんが撫子というお名前だったり、落ち込む高井を励ます将が父親っぽい口を聞いたり、スカウトの人が怒って帰ったり、色々挟みつつ、不破さんが鍵を開けて、みんなで試合会場の桜上水中に戻ってきます。(とにかくページがないので昔を懐かしむシーンとか、旧交を温めるシーンとかは無しです、残念…)
流星が試合をすっぽかしたことで恥をかかされた!と人目もはばからずわめき散らす母親の矛先が朱羽に向けられた時、ついに流星が爆発します。
「いい加減にしろ!!クソババア!」
初めて怒鳴り返した息子にショックを受ける流星ママのフォローに入った美女が有希ですね。この辺初見の方には何が何やらだと思いますが、そこは続編ということで。
ページもないし。
どうして有希がここにいるのかは、巻末の番外編で明らかになります。

後半が始まり、蒼と流星が入ったことにより、試合は俄然活気付きます。
当事者の少年たちはもちろん、観戦の保護者たちも楽しそうです。
相変わらずのシゲタツコンビの掛け合いまで……!
そしてやっぱりページがないので、朱羽のお父さんもやってきて、息子は鍵をどうしたんだ?とかは置いといて、いかにもガラ悪く野次を飛ばし始めます。
「下手くそが!やめろ!やめろ!」と。
ああ例の、朱羽くんの……と他の子の保護者が遠巻きにする中、将は昔の将がそうだったように、ものおじせずに隣に寄ると、笑顔でサッカーについて語ります。
「(手でやるスポーツじゃないから)ミスが出るのはあたり前。だから、何度失敗してもいいんです!」
「失敗…しても…いいのか?」
「はい!」
朱羽の父親の心に変化が生まれる場面なんですが……、ここは泣けます。
いい笑顔ではい!とか言い切ってるけど、やっぱり本当は失敗しないで、順風満帆に進んで行けたらそれが一番いいわけで、将が一番そういう悔しい気持ちを味わって来たのに。プロになって、代表に選ばれて、すごいことだけどやっぱり試合に出るために苦労して、息子にも謝ったりして……。
でももう、悔し泣きしてた中学生の将はどこにもいなくて、いつの間にか立派な一人前の男になって、でも昔みたいに笑ってるのが嬉しいやら、寂しいやら……。

ストーリーは大団円で終わるのですが、ここまでキャラに入れ込んで読むのは久しぶりなので、もうほんと読めただけで幸せです!
樋口先生、お疲れ様でした!

多分③のキャラ萌え語りに続く……と思います。

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