「魔法使いの娘ニ非ズ」7巻(完結) 感想②

①はこちら
①の先生のお気に入りの話というのは、ネタが練れていて「うまく描けたほうなんじゃないか」というお気持ちもあるようです。
以下ネタバレありです。
[adchord]

「魔法使いの娘ニ非ズ」7巻(完結)

7巻は50ページ増量!分厚いです。

第27話
事務所を物置代わりに使っていたのを叱られて、いやいや部屋探しをする初音(と兵吾)。めったに帰らないからととにかく激安物件を見つけたい、となると……。
前にお祓いの依頼を受けた不動産屋に行って類似物件を迫る初音ちゃん、逞しいw
内緒で自分で除霊すれば誰も損しない!って真面目だ。
相手のことを心配するあまり喧嘩になっちゃう初音と兵吾。
「嫌になったの⁈ こんな根無し草の生活が⁈」
俺のことはいいよ、今さら……。
あたしだって同じ!
なんでこの会話で甘い雰囲気にならないんだろ〜?(^^) 似た者同士、相手に負い目を感じている二人。初音ちゃんには昔のように普通のお嬢さんみたいな暮らしが似合うのに、と思う兵吾(命の危険にさらしたくない)。兵吾の好意と同情を利用して自分に縛り付けているけど、いつか彼が去っていくのではないかとどうしても不安な初音……。
「ファイブスター物語」でラキシスが言ってました!
「だって百年も千年も一万年もひとりぼっちだなんてさみしいと思うの。ラキシスがいればさみしくないわ。ひとりより二人の方が幸せよ」
一万年一緒にいたいと思うのは相手が好きだから! シンプルの極み。
でもまあ「流れ者上等」で吹っ切られてもキャラかわっちゃうんですがw
そしてたくさん心霊物件抱えてる不動産屋さん、面白い、憎めない人です。
この間取りちょうどいい!って喜ぶ初音ちゃんの新婚っぽさ、空き部屋でキャンプもかわいい。
結局その部屋は断念して、「フツウのこと=たいせつなこれからのおふたりの暮らし」に思いを馳せる二人。……初音は「まだ」いいけど「ちゃんと考えなきゃ」パパも引き取らなきゃいけないんだし……って言ってるんだと思うけど、将来一緒にいるのは俺じゃないかも……って兵吾は思ってる。結局お互い、捨てられた時の覚悟だけはしておかないと。別れたら立ち直れないかもって、相手を好き過ぎてそんな思考になってしまってるんですよね、ああもどかしい! 一緒にいることが幸せって言い切って!

28話
操名、相変わらず可愛い。でもストレートだと初音ちゃん?と思ってしまうw
Jr.さんとパパが車にはねられた(最近の高齢ドライバーに事故が増加しているという社会現象がさりげなく入ってるのがすごい)! そしてパパの中身が身体から飛び出してしまった!
「…また、パパを探すのね…」という初音のセリフが物語のクライマックスを暗示します。
猫目でやだー!っていう操名かわいいよ〜。無畏の方が兵吾の百倍分かりやすい。
パパが今の境遇をどう思ってたか……「魔法使いでない者にならなければ、そうして生きていかなければ」。自分じゃない別人になる……更生する、真人間になるっていいことだと思ってましたが、こうして見るとかなりキツイですね。他に何も出来ないししたくもないのに、素のままの自分じゃダメなんだって自己否定して生きていくのかあ……。初音を裏切らない、ただそのために?
彷徨うパパの霊魂が草壁(弟)を殺したのではないかと追い詰められる初音。完成した無山の霊力の容れ物は鯉!
でも実際にはパパは人型の人形ニ体に宿ってしまっていて、しかも胡散臭い野良法師に見つかってしまいました。

29話
この扉絵かわいい。人形たち。
パパの中身は人形(ニ体)に入っているはず! と探し始める初音たち。「人形使い」に連れて行かれたというとこまで判明。ここまでの聞き込みの流れ、いつも思うけど普通のおばあちゃんや妖怪たちを描き分ける技術がすごい!それぞれにちゃんと背景を感じます。
蜃(はまぐり)・蚕(かいこ)どちらも様々な伝承を持つ生物の名を付けられた二体の人形は、人形使いによって人殺しを練習させられてます。
人形は自分の主以外の人形使いを嫌う……人形使いによって生かされているからその分情?が深いんですね。操名かわいい……。まさかのLUNeさんの再登場に「娘」を読み返してみて、現在の線の綺麗さにちょっと驚き!意外と画面が荒かったんですね。そして娘時代の初音はすっごい明るかった(^^;;
草壁くんの仕事や他の人形使い、操名のことを気遣う優しい初音ちゃんが鯉のことを「あたしたちのコレ」っていうの萌えます。
人形使い五猿の目的は復讐。そのために蜃と蚕を使いーー五猿の師匠を突き止め、話を聞くために向かった初音たちと人形がバッティングしたってことは、復讐のターゲットは元師匠なんですね。

第30話
7巻に収録のお話の扉絵どれも素敵! 初音の長い髪、もったいなかった……。
人形と小八汰の激突を避けられたと思ったら、兵吾が初音を庇って怪我を。
ニ体の人形も初音への想いで分裂気味で、五猿に操りきれない感じがぷんぷん漂ってますねえ。
五猿の復讐相手は師匠ではない模様。術の打ち合いで負けた相手ではないかと。
「決めるのは初音ですよ。俺はそれに従うだけ」って兵吾が言ってるの、健気だけど見方を変えればずるい男なのかも。初音の幸せに責任持たないのかよーって。弱い自分は「昔の俺」なんでしょって言いたい。
初音はパパに会うのが怖かったんだね。人間には変われる部分と変えられない部分があると分かっていたから。
「別にいいでしょ⁈ 充分でしょ⁈」ってやっぱり、兵吾をこれだけ深く愛して必要としてるあたしがずっと一緒にいるんだから、他に売り込む必要なんかないよね! そのこと分かってるよね⁈ ってこと……よね。「充分でしょ」ってあたしよりあんたを好きな物好きなんて誰もいないんだからねー! いい加減わかってよっていう魂の叫びなのかなw 初音かわいい。
30話はこちらにも感想が。

そして最終話は前後編。
すみません、③へ続きます

最新情報をチェックしよう!