「海街diary」感想③ フラワーズ2017年4月号

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「海街diary」32 満月と言霊

「今夜満月だったんだ」
海の上にぽっかりと浮かぶ月。デートといえば海岸にいる幸とヤスの二人。
ーー月の光は人をくるわせる。
聞いたことない?満月の夜は犯罪や自殺、事件が多いって。
そうヤスが言って、幸も真面目に聞いたことあるわーーと答えているので、今ググってみたのですが、ヤフー知恵袋では眉唾って言われてますね(^◇^;)そうなんだ〜とちょっとがっかりしてる自分がいます。
まあそれはどうでもいい話なので置いといて。
潮の満ち引きが月の引力で起きることは間違いないので、
「…なんか親子関係みたいね。良くも悪くも縁が切れない」
影がくっきりと地面に映る明るい月の光の中で幸は自分の両親について語ります。
父も母も自分勝手に家を出て行った無責任な人たちだった。今でも許せないけど……もういいかなとも思う。
何とか幸せになりたくて、もがいてたんだろうなって。他の誰かを不幸にするかもってところまで考えが及ばない、「ダメな人たちだったけど」。
チカは今回母に「理想の母親像」を期待して手酷く裏切られた。幻想なんて持つ方が悪いのかもしれないけど……。
「ダメだったかもしれないけど、幸せになろうと一生けんめいな人たちだった。
言葉って不思議だね。ダメだったーーで終わると、ああ やっぱりダメなんだなって思う」
「そうね。そうかもしれない」
言葉は時に思わぬ力を持って、怒りや不安を増幅させたかと思うと、何気ない一言が驚くほどたやすく心を溶かしてしまう。
ヤスが幸の手を取って、幸がゆっくりと振り返り、月の光の下で二人は見つめ合います。
ーーそしてベッドの中。「ずっとこうしたかった。ずっと以前から」と幸にすがりつくヤス。「今夜こそ」って言葉にすれば絶対実現できると思ってた。
ここに入るまでひと言も、何も言わなかったじゃない、と微笑んで受け入れる幸。
「言葉がいらない時だってあるよ」
「都合がいいわね」と、再び愛を交わす二人。……
ついにというかやっとというか、関係が深まった二人ですが、しっくり来てるのかどうなのか? よくわからないですね。言葉ひとつでダメじゃなくなるような問題なのか?とも思うし、でも大人だからこれでいいのかな? という気もするし……。

一方佳乃と坂下課長。
「すごい満月。明るーい」
月夜の宴に向かう二人が「氷頭なます」のことを楽しく話していると、幸からメールが。今夜帰れない、と。
「ふーん…」と全てを察して微笑む佳乃。
どうかした? という課長に、「なんでもない」と答えます。
「姉も今夜はお月見ですって」
「そう。いい月だものね」
そう微笑みを交わして、了解と短くメールを返した佳乃は隣を歩く課長に身を寄せて腕を組み、もうそれだけで顔を赤らめて振り向いたところを上目遣いでじっと見つめます(必勝パターン)。
しかし肉食系の佳乃に対して、坂下課長は草食系。
真っ赤になって湯気を出しながらも時間を気にして先を急ぐそぶりです。
ちっと拍子抜けな佳乃ですが……ぎゅっと、課長の方から手を握ってくれました。
月の光の中、手を繋いで歩く二人……というロマンチックな光景を、目的地が同じのスピーカー・マサがばっちり目撃しちゃいましたが、幸いなことにマサの兄も一緒でした。緒方の長男坊はマサよりオトナに近いので、今見たことは誰にも言うなよ! もちろん本人にも知らん顔しとけ。
「満月の夜はいろんなことが起こるんや」ときれいにまとめてくれました。

香田の家ではチカとすずがお留守番。
月がきれいだから、庭を眺めながら「とまとちゃんつぶし」を食べようーーと開け放った窓から虫の声が。
「まだ暑いけど、秋はすぐそこだねえ」
とチカが言うと、嫌がるすず。
「『夏が終わっちゃう』じゃなくて、『なんでもおいしい秋が来る!』って思えばいいのよー!」
そう言い換えるチカに、いつもの元気が戻って安心したよ、と答えるすず。
「すずのお弁当のおかげだよ」
今日、それに救われた自分がいたことを思いながらチカが言うと、
「チカちゃんのお母さんが送ってくれたシャケがおいしかったからだよ」
と何気なく謙遜してすずが答えます。
「風太もそう言ってたし」
チカはすっかりいつも通りにくつろいで、月光が明るく照らす畳に寝転がりながら、
「なーんだ。彼氏のついでかあー。だよねえー」
と笑って可愛い妹をからかいます。
「ちがうよ〜」
「いーのいーの」
皆がそれぞれに幸せを噛みしめる満月の夜なのでした。

今回もぐぐーっと進展がありましたね! みなさんラブラブでけっこーけっこー。もうエピソードが詰まり過ぎてて頭がパンクしそうでしたけどね!
次回は8月号(6月28日頃)!その頃もまだ「ポー」やってるかな? 「海街」の後ろに「春の夢」が載ってるんですから、紙面が豪華すぎてくらくらします……。
花だより(柱)によると先生のおうちではレモンが豊作で家中レモンの香りでいっぱいなんだとか。素敵……。レモンは冬に実るんですね。初めて知った。

最後に私の大好きな月夜の詩を引用していいですか? 読み飛ばしちゃってください(´ω`)

この月のひかりの中なら
どこまでも知らずに歩いて行くだらう。
ああ私の手や長い草に
燐のやうに反射してゐる やはらかい光り。
私ひとりではないやうな
誰かと歩いてゆくやうな明るい路。
あんまり美しいので
手にとつて見てゐたいひかり。
こんな月のひかりの中で逢つたら
彼女はなんにも言はないで
私についてくるだらう。
二人が嘘をついてゐたことがよくわかるだらう。

「また月夜」伊藤 整 「雪明りの路」より

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