「フラワーズ」2016年5月号 感想1 とりかえ・ばや

[amazonjs asin=”B01BCF9AZW” locale=”JP” title=”月刊flowers(フラワーズ) 2016年 05 月号 雑誌”] 猫可愛い。今月の表紙いいですね。中身も以前より読むところが増えて嬉しい。
「とりかえ」も最高でした!最後まで読んでにやけてしまいました。主上、あんた最高の男やで……!ってあやしい関西弁?になるくらいに萌えた(^ ^)
早速以下ネタバレありの感想です。

「とりかえ・ばや」episode45.鞍馬山

新たに男の東宮をたてると主上が宣言されたことが、沙羅の耳も入りました。病がちであるからと言う理由付けを聞いて、憤慨する沙羅は父に食ってかかります。沙羅の考えでは「東宮の姿のままで睡蓮を迎えたいのに違いない」ということですが、そうかな?(^_^;)東宮のままだと二人の想いが成就することもないし。
父にも諭されます。情に流されては政は出来ぬ、万一お母上のように若くして亡くなることがあってはという朱雀院さまの心配ももっともだ、主上も身を切る思いで決断されたのだ……と。
納得しきれない沙羅は、因縁の鞍馬山へと東宮さまの平癒祈願に詣でることを決めます。過去死にそうな目にあった恐ろしい場所ですが、行かねばならぬと沙羅は、十良子と十良光を供に連れて鞍馬寺を再訪します。
「魔が支配する山は転じて強い加護ともなる」畏敬と恐怖の対象である霊山に、沙羅は足を踏み入れます。
出迎えたのは天狗ではなく、人間の美しい僧侶でした。
関白左大臣家の姫がわざわざと歓迎を受け、依頼の件も東宮の平癒祈願ということで、手厚い対応を受け沙羅はほっと息をつきます。ここの髪を結った沙羅可愛い!主上に見せてあげたいわ〜あの方沙羅大好きだから(^ ^)
沙羅が一心に祈っている間も、十良子は僧の雅で美しい様子に恍惚としています。ああいうのこそ天狗かもしれぬぞ!と呆れた十良光が水を差します。
天井に描かれた龍の図に、幼い頃の恐怖心が蘇って来た沙羅は、部屋を出て明るい日のもとで心を落ち着けようとします。その時「尚侍」と自分について語る声を洩れ聞いて、外からそちらの部屋に近付きます。沙羅の背よりも高い窓から聞こえてくる声は、先程応対してくれた僧と、もっと位の高そうな「お坊さま」。
鞍馬まで来るとは見上げた忠義者、この御札と御供米を持ち帰らせよ、特別の念を込めたこれで、東宮の病は益々重くなろう!
話の途中まで聞いて、ありがたいと手を合わせていた沙羅。雲行きが怪しくなり呆然とします。
女東宮を廃嫡させ、我らの推す皇子(みこ)を東宮位につける。そして今の帝を失脚させた後、その皇子を帝とする。そうすればこの国の政は我らの意のままだ!
この恐ろしい「毒坊主」は誰なのか、一目顔をーーと焦る沙羅ですが、見つかる危険を恐れ、寺の中に戻ります。
東宮に皇子を推薦出来る立場、それなりに高位の僧侶に違いない。
御札と御供米を前にして、沙羅は祈祷してくれたという徳の高い聖の名前を聞き出そうと粘りますが、はぐらかされて終わります。
鞍馬詣での甲斐があったと無邪気に喜ぶ十良子ですが、沙羅は十良光に命じて御供米の包みを開けさせると、中身を全て山道にぶちまけます。
「うっかり落としてしまった!よいな?他言は無用じゃ!」
東宮と主上は私が守る!宮中にもどらなくては!と決意した沙羅が凛々しくて素敵です!冒頭の情に流される沙羅は、この決意のためにあったんですね。久々に沙羅がかっこよくて嬉しいです。

場面変わって清涼殿。お食事中の主上ですが、殿上の間が騒がしいと。東宮選びで連日荒れている模様です。
お髭のおじ様方が、侃侃諤諤の議論中。そんなにあっちもだめ、こっちもだめと言うなら誰がいいのかはっきり言え!と右大臣に詰め寄られて、左大臣は重い口を開きます。「吉野の君がよろしいかと」
出家してるし、過去によからぬ疑いがあったし、主上よりも年上だからまた次の東宮でもめるしダメ!第一吉野の君の皇籍復帰が認められるのなら、まだ若いうちの婿、石蕗の権中納言の方が良い!
驚くべき右大臣の発言に、末席に身を連ねていた石蕗は、思わず飲んでいた茶を吹き出します。ご冗談が過ぎますよ、本命がいないと混沌としますなあと周りの人に気を使われている石蕗が猫目でちょっとかわいい。真面目に仕事しているようで何よりです。
結局有力なのは式部卿の宮ただ一人ではないか?という空気になったところで、主上が臨席します。
出自も資質も世間の評価も申し分ないお方だと意見が集約しそうなところ、「私は(国を背負う)器ではない」と固辞する式部卿の宮。宮が推すのはーー
「弓弦王(ゆづるおう)!」
知らぬ名だ、どなただ?とざわめきが広がる中、主上だけはその名に心当たりがあるご様子。
「三代前の京極帝の第八王子、貞頼親王の息子に当たられる方ではないか?」
「さすが上様!」
式部卿の宮の従兄弟にあたりますが、「親王」ではなく「王」のままの全く無名の皇子だそう。(「王」は皇族男子一般に用いられ、特に帝と近縁であるなど一定の者を「親王」としてさらに上位の称号を与えたようです。wikiより)
私がその弓弦王の後ろ盾になります、全力で支えます!と頭を下げて式部卿の宮は宣言します。ざわめく殿上人の中隅に控えていた一人の僧侶がにやっと笑い、流し目でそれを見た宮もまた、ふっと笑いをもらします。
主上は何か不穏なものを感じ取っているのかどうか?険しいお顔で沈黙を守っています。

またしても場面が変わり、関白左大臣家です。
勢いよく戻ったわりに、優雅に箏を弾いている沙羅ですが(そんな悠長な!)、弦が切れてしまいます。
それをきっかけに沙羅は母と話し合います。宮中に戻りたいと。
娘の真意を見極めるため、母は質問します。
家で女の修行をするのに飽きましたか?書と和歌は完璧ですが箏はまだまだ。そなたが戻っても東宮さまの廃位は止められぬ。なぜ戻りたいのですか?
「私は…主上を守りたいのです」
母の巧みな誘導尋問に、心の奥底に秘めていた沙羅の正直な気持ちが出ました。
「命に代えても…!」
思わず手を上げて制止しなければいけないほど、間近に迫って来て必死に言い募る娘の情熱、これこそが母が待っていたものでした。至近距離の娘の頭をやさしく撫で、席を立った母は沙羅に美々しい衣を持って来ます。
それは主上より沙羅に賜ったもの。
沙羅には内密でしたが、主上からはすでに宮中に戻るよう命が下っていたのです。
「ただし尚侍が 自ら宮中に戻りたいと言うまで 戻るにあたわず」
戻るに及ばず(戻る必要はない)って意味でしょうか?戻ることは出来ない……沙羅の意思がなければ戻ってはいけないよ、くらいの意味を込めたのかな?
衣を抱きしめて主上のお優しい心遣いに感動する沙羅。早くお会いしたい…!想いは募るばかりです。
しかし東宮の尚侍としてはこの衣は豪華すぎるのではという懸念を示す沙羅に、そなたはもう東宮の尚侍には戻れませんと母は告げます。その言葉の意味は……。
賜った衣を見にまとい、供の者を引き連れて、沙羅が宮中に戻ります。衣の裾を持つために4人もの女童が。点描で描かれた牡丹といい、うっとりするほど美しい一枚絵です。ついにこの日が来ました!
多分執務中の主上が知らせを受け、少年のように駆け出して、息を切らしたまま沙羅を出迎えます。
「やっと戻られたか…!」
沙羅がいなくて主上に困ることがありますか?ないですよね、傍目には。
でも主上は、仕事を放り出して走って来るくらい、息を整える間も惜しむくらい、沙羅の存在を必要としていたんですよね。
恋の駆け引きなど必要のない身分とはいえ、なんと純粋で真摯な愛情なんでしょう。
何を失ってもこの人と生きたい。沙羅が同じ気持ちになってくれることをひたすら待っていた主上の想いが報われました。
そなたを帝の尚侍に任ずる。
常に傍にいて私を助けること。
そう差し伸べられた手に、沙羅も手を伸ばします。
「謹んで受け賜わりましてございます」
上気した頰ではいとこたえる沙羅の美しいこと!階を上がってくる沙羅に微笑む主上の嬉しそうなお顔。
この5ページのために今までの長い物語があったと言っても過言ではないのでは?なんという美しさ!ぜひ大画面で見て下さいね、感動ですよ!
沙羅に関する時だけ少年に戻ってしまう主上、美丈夫だからこそあえて言いたい、可愛い!萌え!素敵すぎる!
今月は待望の神展開で、一刻も早くこの素晴らしさを伝えねば、と私にしては神速で感想書けました(^^)
来月は表紙に登場です。多分巻頭だと思いますが、フラワーズの創刊15周年記念企画で、竹宮惠子先生との対談が載るらしいので、カラーはそれになるかも?楽しみですね(^^)

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