「フラワーズ」2015年12月号 感想1 とりかえ・ばや

お久しぶりです!1ヶ月ぶりに帰って来ました。
10月は行事の連続で、なかなか集中する時間が取れませんでした……。
気分転換にまんがはいつもより読みまくっていたんですけどね(^^)
もちろんフラワーズも発売日に読みましたが、もう!帝の贈り物がツボすぎて萌えまくった結果、読むだけで満足しちゃってたんですが、落ち着いたらやっぱりこのたぎる想いを吐き出したい……!ってなりましたので、良かったらお付き合いください。
以下ネタバレありの感想です。

「とりかえ・ばや」episode40 皆紅のもみぢ

前回の帝の情熱的な告白を思い返してはため息を吐く沙羅。
困っているといっても、満更でもなさそうな。表情が変わって来ていますね。恋する乙女のよう。
なんとも甘美なもの想いですが、並行して朱雀院に行く準備を進めなくてはなりません。
持っていくのは冬の衣と少しの道具だけでいい。たくさんある睡蓮の集めた書物を、いい機会だから返して上げたいと思う沙羅ですが、目立ったことをして入れ替わりを疑われてはいけませんと十良子に諌められ、それもそうかと思い直します。
置き忘れられたままの睡蓮の書いていた物語。それは東宮さまと睡蓮自身を仮託しているかのようで、沙羅は睡蓮の想いの深さに感じ入るのでした。

また沙羅は三の姫に対して、自分が朱雀院に同行するので、あなたは宮中に残って東宮の代理として色々差配してほしいと申し入れます。尚侍が二人いるのだからそうするのが都合がいいでしょうと。
三の姫は当然反発して、沙羅に直言します。
「主上と離れてしまうことになるけどよいのですか?」
相変わらず恋敵に対して公平ですが、三の姫はもう諦めてしまっているのでしょうか?
沙羅はここでもまた、誤解である、尚侍のお役目をまっとうするだけと言って、重ねて頭を下げて、三の姫に承知させるのですが、
「私の気持ちなぞどうでもよいのです」
と、これまでになく主上に心があるようなことを言っちゃってます。表情も一層女性らしく。
今回は完全にオリジナル展開のためか、キャラが物語に合わせて都合よく動くというか、台詞も伏線のために言わされている感が少しありますね(^^;;
でも朱雀院に下がった東宮さまのお可愛らしさが、違和感を吹き飛ばしてくれます!
娘に甘々のお父様も素敵です。癒される〜。東宮さまの「あらず」のお顔可愛いすぎます。
姉妹のように睦まじく過ごす東宮さまと沙羅、二人ともお人形のようでほんと可愛い。
そんな日々の中、何くれとなくお世話をする沙羅に対して、何もしなくていいからそばに座って顔をよくみせてと、東宮さまが願います。
「右大将とうりふたつじゃ」
夜着を引き寄せるようにして、はにかんだ顔を隠しながらも、睡蓮のことを話し始めます。
多分ずっとお話しになりたかったのだと沙羅も察します。
あの方の書いていた物語、出来上がるのを楽しみに待っていたのに。
あどけない童女のような顔が、睡蓮のことを語る時は苦しみからか、大人びて見えます。
右大将の奥方はどんな方じゃ?と、東宮さまは沙羅にたずねます。
沙羅は、何も返事が出来ません。
「優しい方か?
……それとも美しい方か?
たぶん……優しく美しい方なのだな……」
立場上決して叶うことのない想いだという無力感。
奥方は素晴らしい方だから、あの方も心を奪われてしまったのだろう。沙羅の沈黙を肯定と受け取り、諦めようと自分に言い聞かせるようにつぶやく東宮さま。
ここ最高です!ものすごく切ない心情が伝わって来ます。こういう言い回し大好きなんです!
東宮さまは沙羅に背を向けているのですが、多分見えなくても沙羅が気まずくていたたまれないのがよくわかっているはずです。でも当てつけで言っているのではなくて、吐き出さずにはいられないんですよね、苦しくて。そのくせ我慢することに慣れてしまっているから、表面上は淡々としているのがもう……。
沙羅もこんなにも思い合う二人が誤解を重ねているのが気の毒でたまらず、東宮に元気を取り戻してもらいたい一心で、右大将との逢瀬を提案します。顔を輝かせて涙ぐむ東宮のために、なんとか尽力しようと思う沙羅なのでした。
……という流れなのですが、直に会って話せば二人が仲直りできるとか、宮中と違って人目も少ないし警備も手薄だしいける!とか、結構軽々しいけどそんなんでいいの?(^◇^;)ともう心配になっちゃうんですが、手紙を受け取った睡蓮は大喜びで沙羅に感謝しています。

朔の日ついたち、新月の闇にまぎれて右大将がお忍びでやって来る。時刻は戌の刻(午後8時前後の2時間)と、よくよく考えたら、かなり艶めいた意味合いを持つ行動ですね?!
申の刻(15〜17時)くらいから、待ち遠しく思う東宮さまは起き出して、衣や髪を美しく整え、お身体を気遣う女房たちに、今日は気分がよいと告げられます。
「紅もつけたい」
では私がと、他の者を下がらせた沙羅は、目を閉じて紅をさしてもらう東宮さまの愛らしさに目を細めます。
夕陽が差して逆光が美しいこの場面、愛しいひとのために少しでも美しく装いたい少女のいじらしさ、自分にはなかったその浮き立つ気持ちを共有し、沙羅は心からその幸せを願います。先のことはどうあれ、今宵だけは……。
そこへ牛車の訪れが。
主上からの使い、それは三の姫でした。
色とりどりの美しい見舞いの品々、こんなにたくさんのものをと、主上のやさしい心遣いに、東宮と沙羅は感嘆します。
浮き立つ心のままに上気した頬で感謝の意を述べる東宮さまを見て、病はよくなっているようだと、三の姫は安堵します。
東宮がお休みになり御前を下がると、私の局でお話しなどいたしましょうと、沙羅は気安く三の姫を誘います。何か宮中で変わったことは?と水を向けると、二人が親しくなったきっかけの、例の狼藉者たちに島流しの処罰がくだされたと、三の姫は嬉々として告げます。
この朱雀院は宮中に比べると警備が薄いように見えますね、今夜は月もない闇夜、気を付けねば……いちいちもっともな三の姫の物言いですが、今夜だけはと沙羅は内心気が気ではありません。十良子が上手く手引きしてくれるはずと信じて、沙羅は自分の局に三の姫を引き留めます。
一方こちらも牛車で闇にまぎれて密かに訪れた睡蓮、「一人前の男なのだから」と、十良子に導かれるまま、一人で邸内に入ります。
もう伏線というよりネタ振りレベルに今後の展開を予測させてくれます。不謹慎ながらもちょっと笑えてしまいます(^◇^;)が、睡蓮がんばれー。
同じ時刻、美味しいものをつまみながら楽しく語らう(多分)最中に、遅くなりましたが主上から睡蓮の尚侍への賜り物があるのですよと三の姫が持ってこさせた品に、沙羅は一目で心を奪われます。
その品とは……「皆紅(みなくれない)のもみぢ」。
「これは……」
感動のあまり言葉に詰まる沙羅。
なぜもみぢなのか、主上の考えがわかりませぬ。餅でも包めということでしょうか?と茶目っ気を出して笑う三の姫ですが、若い娘がこのロマンチックな贈り物にその反応……しかもかなり聡い設定なのに……と、沙羅との対比のためとはいえ不自然さを感じずにはいられないのですが、今は冬なのに一体どこから?と訝しむ沙羅に、氷室などで保存しておいたものでは?と三の姫は特に疑問に思うこともなく答えます。
この季節外れの贈り物、以前男として参内していた頃にも、時期外れの桜花を賜ったことがあった……と、沙羅は心を揺さぶられます。あの時と同じ励ましの意味がこれに?ともみぢ葉を手にした沙羅はあることに気付いて、不自然にならないように席を外します。
もみぢの底には主上の文が!
もみぢ葉よ、幾重にも散り乱れて私の前から去って行こうとする人の道を隠してほしい。行かせないで、私の元に留めてくれ。
感極まって沙羅はもみぢに突っ伏します。沙羅がついに自分の気持ちを自覚したのです。
以前の贈り物は偶然の産物でしたが、今回は明確な意図が込められたもの。あの日芽生えた恋心を鮮度を保ったまま凝縮した、二人だけに通じる符牒。これに萌えずして何に萌えましょうか!素敵すぎる〜!
と、盛り上がっている間にも、ひとりぽつんと取り残された三の姫。庭が暗いのがどうにも気がかり、東宮さまの前庭なのに……と端近で暗さになれた三の姫の目に、ありうべからざるものが飛び込んできます。
東宮さまの寝所へと、今まさに忍び込もうとしている、男!
(ここの裸足でよじ登ろうとしている睡蓮の後ろ姿がちょっと情けなくて涙……)
「誰か!狼藉者がおる!」
三の姫の悲鳴に警護の兵たちがすかさず駆け付け、絶体絶命の睡蓮!
切っ先を突き付けられ、顔を隠しても最早なすすべもなく。
沙羅も慌てて駆け付けますが、名を名乗るよう狼藉者に迫る三の姫の手にしたろうそくの炎に照らし出されたその顔は、右大将その人!
密会が発覚ーー⁉︎とのアオリで次号へ続く。
原作付きのいいところで、大きな改変はない……はずと、そこまではらはらしてはいないんですが、この大問題をどうやって収めるのか気にはなりますよねー!
睡蓮たちが幸せになりますよーに(>人<;)

1月号の感想はこちら

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